新世紀エヴァンゲリオン After Story

 



 
GLORIA


 
 

 第二話 BRAND NEW HEART





 シンジの朝は早い。

 何しろリツコはともかくミサトや加持にもお弁当を用意するからである。

 ミサトはリツコのお弁当をつまみ食いしてから味を占めてシンジに頼み込んだ。

 いろんな事で世話になっているので、お返しの意味も込めて喜んで引き受けた。

 もちろんミサトにそれが作れないのは解っているシンジである。

 ちなみにシンジのお弁当はNERVでも大人気で、それを一口食べた女子職員は

 シンジにレシピを聞きに来るぐらい評判である。

 弁当を作り終えたシンジはリツコを起こしにいく。

 ちなみにリツコは寝起きは悪くない、でもシンジに起こされるのを待っているのである。
 
 「リツコさん朝ですよ、起きてください」

 「うう〜ん」

 「遅れますよ」

 リツコは顔を上に向けてシンジに催促する。

 シンジは仕方がないと思いつつリツコの顔に手を添えてキスをする。
 
 「おはようシンジ君」

 満足してすっかり目を覚ますリツコ。

 いつもこの調子らしい・・・。

 起きたのを確認したシンジは朝食の用意に取りかかった。

 トースト、オムレツ、サラダ、オレンジジュース、次々にテーブルに並べられる。

 着替えて用意をしたリツコがテーブルにつき、シンジも食べ始める。

 「「いただきます」」

 ごくふつうの朝の風景、でもそれは二人にとって大切なこと。






 ぴんぽ〜ん。
 
 「「いっかりく〜ん、学校いこう〜」」

 いつものようにトウジとケンスケが迎えに来た。

 「おはよう、今いく」

 リツコとともに用意をして玄関にきた。

 「「おはようございます、リツコさん」」

 「おはよう」

 リツコの笑顔を見て朝からご機嫌の二人。

 そんな二人の背後からミサトが声をかける。

 「あたしには挨拶ないのかしら?」
 
 「「そんなことないです、おはようございますミサトさん」」

 振り向きざまに挨拶をする二人。

 シンジの迎えよりミサトとリツコに会いに来てるようなトウジとケンスケ。

 「朝から少年を脅すなよ葛城」

 ミサトの後ろにいる加持がため息混じりに呟く。

 「あのね加持君・・・」

 怪しい雰囲気を察知したシンジはすかさず行動する。

 「ミサトさん、加持さん、これお弁当です」

 「ありがと〜シンちゃん」
 
 「いつもすまないなシンジ君」

 「それじゃ行って来ます」

 「「「いってらしゃい」」」

 リツコ達と分かれて学校に向かった。






 学校に近づくにつれシンジ達に視線が集まっていく。

 嫌、シンジだけらしい。

 何しろ第一高校きってのスプリンター。

 おまけに中世的なハンサムで背も170センチを超えている。

 誰にでも優しくその笑顔は男子でさえも惚れてしまいそうなくらい凄い。

 その笑顔が効かないのはシンジの横にいる二人くらいである。

 とにかくシンジは学校では一番の人気者だ。

 リツコもミサトから何となく聴いているのでちょっと気にはしているが

 シンジを信じることにしている。

 嫌、もう一人シンジの笑顔が効かない少女が一人。

 教室にはいるとヒカリが挨拶をしてきた。

 「おはようトウジ、碇君、相田君」

 「洞木さんおはよう」

 「おはよう」」

 「おはようさんヒカリ」

 トウジの顔を見てニコリと微笑む。

 ヒカリとトウジは高校入学が決まったその時につきあい始めた。

 何でもトウジの方から告白したらしい。

 「これからも委員長の弁当が食いたい・・・」

 聴きようによってはプロポーズみたいな台詞を聴いてヒカリは耳まで真っ赤に染めて、

 ただ『うん』とうなずいていたそうだ。

 シンジとケンスケはお似合いだねとトウジをからかっていた。

 もっともその後シンジがリツコとのことで突っ込まれたのは雄に及ばずだった。






 お昼休みはいつものように三人で食べていた。

 シンジとトウジは弁当、ケンスケはパンである。

 「トウジ、最近洞木さんの料理の腕あがったみたいだね?」

 「ん?見ただけで解るんかいシンジ?」
 
 「まあなんとなく・・・」

 「ヒカリにいっとくわ、多分喜やろし・・・」

 「シンジ、すっかり主婦だな」

 「毎日やってるし、それに最近は新しいメニューにいろいろ挑戦してるから」

 「シンジ、今度味見させてくれよ?」

 「わいもたのむ!」

 「うん、こっちこそたのむよ」

 なんか高校生の男が話す内容ではないような・・・。

 一方ヒカリも仲のいい友達とお昼を食べていた。

 「ねえヒカリ、碇君自分でお弁当作っているってほんと?」

 「うん、それにちょっと悔しいけど私より凄く上手なの」

 「ヒカリにそこまで言わせるなんて・・・」

 「でも凄いよね〜、優しくて格好良くておまけに料理の腕もいいし・・・」

 「その上強いいんだよね〜・・・」

 そう、シンジは前にクラスの女の子が街で絡まれていたのを助けたことがある。

 その時相手は三人でしかも一人はナイフをちらつかせていた。

 それでもシンジは相手に臆することなく、三人を叩き伏せた。

 日頃加持から手ほどきを受けていたおかげでもあった。

 翌日学校はその噂でもちきりだった。

 「でもヒカリ、碇君の恋人って知ってる?」

 「え?」

 「だっていろんな女の子が彼に告白したみたいだけどみんな断ってるみたいだし・・・」

 「それにヒカリって碇君達と中学の時から一緒だったし・・・」

 「うん・・、一応知っているけど・・・」

 「ねえ、どんな人?教えて〜」

 ヒカリは少し考えてから答えた。

 「凄い美人でその上頭も良いしスタイル抜群、優しくて笑顔の可愛い人かな」

 「何それ・・・どんな人?」

 「後は碇君に直接聞いて」

 ヒカリと一緒にいたクラスの女の子達はシンジの席まで詰め寄った。
 
 「ねえ碇君、『凄い美人でその上頭も良いしスタイル抜群、優しくて笑顔の可愛い人かな』

 て言う人が恋人なの?」

 「え?」

 驚いているシンジに変わってトウジとケンスケが説明する。

 「そやな、あんな美人ワシが知っている中でも五人といないで」

 「そうそう、碇がうらやましいよ美人に囲まれてさ・・・」

 「何いってんだよ二人とも」

 赤くなるシンジを見て女の子達はシンジに聞いた。

 「ねっねっ、名前は?教えて〜」

 「お願い碇君」

 もちろんこの子達以外のクラスの女子達も聞き耳を立てていた。

 シンジの恋人が明らかになるチャンスを逃すはずもない。

 「ほらシンジ?」

 「センセびしっと言ったらんかい」

 シンジは首まで真っ赤になりながら答えた。
 

 


 「赤木リツコ」

 




 「「「「えーーーーーーーーーーーっ」」」」

 女子達はおろか男子達まで声を上げた。

 「うっそー、あの赤木リツコ博士なの?」

 「俺知ってる、NERVの人だろ!」

 「確かマギシステムを管理している人だぜ!」

 「何で碇くんの恋人なの?」

 「どうやって知り合ったんだ?」

 「うう、あんな美人じゃ太刀打ちできない・・・」

 「碇の奴、自分だけ・・・」

 いつの間にかクラスにいた全員がシンジの廻りに集まっていた。

 更にトウジから爆弾が投げ込まれる。

 「おまけにちょっと前まであの葛城ミサトと同居してたんや」

 「ト、トウジ・・・」

 あわててトウジの口を押さえようとしたが遅かった。

 「なにーっ、あのナイスバディの人か?!」

 [NERVの代表じゃねえか?]

 「碇・・・おまえって奴は・・・」

 いろんな視線がシンジに突き刺さる。

 『うう、トウジの奴なんて事を・・・』

 その後クラスメイト達から質問責めにあったのは言うまでもなかった。






 放課後、グランドのトラックをシンジは走っていた。

 高校に入ってから始めた陸上だが驚くほど上達して、今では一年生で短距離のレギュラーだった。

 一休みして汗を拭いていると同じ部員の女子達が集まってきた。

 もちろんクラスのことは全部広まっている。

 「ねえ、碇君・・恋人いるって本当?」

 「え?はい、いますよ」

 「えーっ、やっぱりそうなんだ・・・」

 「あの・・赤木リツコって言う人ですか?」

 「そうだけど」

 「ああーん、ショック!」

 「どうやって知り合ったの?」

 「えっと・・それは・・・」

 「そうそう、葛城ミサトと暮らしてたって?」

 「ええ、僕の保護者代わりだったんです」

 根ほり葉ほり聞かれてしまうシンジであった。

 やはり部活にきてもシンジの安息の場所はなかった・・・。

 今日は学校で散々な一日だったシンジである。
 





 ジオフロント。

 今では一般公開されて観光客やら見学者が後を絶たない。

 もちろんいくつかの場所は立入禁止である。

 いろんな施設ができて流行のデートスポットにもなっている。
 
 その人混みの中をシンジは職員専用ゲートに向かう。
 
 今でもNERVに籍はあるが退役パイロット扱いである。

 NERVが公開組織になってからもそのことは秘密であった。

 シンジの身の安全が第一だとリツコ達が決めた。

 今でも監視と言うより護衛の意味が強いが諜報部のメンバーが付いている。

 ゲートを抜けていつものようにトレーニングルームに向かう。

 「おっ、いつもより早いじゃないかシンジ君」

 先にきてた加持が体をほぐしながら聞いた。

 「ちょっと・・・」
 
 苦笑いして答えるシンジ。

 「何があったんだい?」

 「じ、じつは・・・」
 
 今日学校での出来事を話した。

 「なるほどな・・・」

 「まあ、隠すことでもなかったんですけど・・・」

 「そうだな、まあその方がりっちゃんは喜ぶかもな」

 「それなら良いですけど・・・」

 シンジの満更でも無さそうな顔を見て加持は微笑んでいた。

 「何話しているの?」

 二人の後ろからミサトが顔を出した。

 「男同士の話だよな?シンジ君」

 「ええ、そうですね」

 二人は顔を合わせて笑い出す。

 「何かやらしいわね・・・」

 ミサトは怪訝な顔をしてシンジ達を見ていた。






 加持との訓練を終えてリツコの部屋に向かうシンジ。

 途中でマヤと出会った。

 「あら、シンジ君」

 「こんにちはマヤさん」

 「あ、先輩のお迎えでしょう?」

 「はい」

 「私もこれを届けに行くから一緒に・・・」

 手に持っているファイルを見せる。

 「そうですね」

 二人は並んで歩き出した。

 会話をしながら歩いているときにマヤはシンジのことを見ていた。

 『いいな先輩・・・、私もシンジ君みたいな彼氏が欲しいな・・・』

 心なしか瞳は潤んで頬は赤くなっているマヤ。

 「マヤさん?」

 「えっ、な、何、シンジ君?」

 「ドアにぶつかりますよ?」

 ガン!

 「うう、イタイ・・・」

 「大丈夫ですか、マヤさん?」

 マヤの顔を覗き込む様に前に回り込むシンジ。

 その時目の前のドアが開いてリツコが出てきた。

 「何の音?全く・・・!!」

 そのセリフは途中で止まった。

 リツコから見てシンジがマヤにキスをしてるように見えたらしい。

 マヤが痛みに閉じていた目を開けるとそこにリツコが顔を青くして立っていた。

 「あっ、先輩・・・」

 その声にシンジも振り向いてリツコの顔を見て吃驚する。

 そこで二人はリツコが誤解しているのに気づいた。

 「せ、先輩、あの、誤解しないで・・・」

 「い、今マヤさんが頭をぶつけたから・・・」

 パシュッ。

 そこまで話したときに目の前のドアが閉まった。






 「・・・ごめんなさい」

 それがリツコの第一声だった。

 「そんなに謝らなくても・・・」

 シンジは紅茶を入れてリツコに手渡した。

 「クスクス」

 「なに?」

 シンジがニコニコしているのがリツコは気になった。

 「すねたリツコさんも可愛いなって・・・」

 「なっ!」

 耳まで真っ赤にして絶句するリツコ。

 シンジは優しい瞳で見つめている。

 紅茶を一口飲んで上目使いでシンジを睨むリツコ。

 「いじわる・・・」






 その日、シンジは寝る時までずっと笑顔でいたらしい・・・。


 

 つづく


 第二話です

 もっとリツコの感情表現を上手く書けたらいいなと思う。

 でもりっちゃんて結構焼き餅焼きだと思うのは私だけかな・・・。

 まだまだこれからでてきていないキャラも出演しますのでこうご期待。

 なんかミサトと加持の話も書きたくなってきたけどシティ○ンターになりそうで困っちゃうかな。

 まあ気が向いたら書いてみよう。

 それではこの次にスイッチオン!

 じろ〜でした。




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