新世紀エヴァンゲリオン After Story

 




 
GLORIA

 



 
第四話 RHYTHM EMOTION U




 『どうしてここに霧島さんが・・・・』

 仕事から帰ってくると居るはずのない女の子がシンジと一緒にいることにリツコは驚きを隠せなかった。

 「お帰りなさいリツコさん」

 リツコの動揺に気づかずシンジはいつものように挨拶をする。

 しかしシンジは様子がおかしいことに気づくとリツコさんに小声で話しかけた。

 「リツコさん、事情は後で説明しますから話を合わせて下さい。」

 「う、うん、わかったわ・・・」

 シンジに促されてリツコもソファーに座る。

 「紹介するねマナ、この人がリツコさん・・その、僕の大切な人・・・」

 「初めまして、霧島マナって言います」

 「えっと、赤木リツコです」

 マナの笑顔に釣られてリツコも言葉を返す。

 少しの間マナはリツコを見つめていた、そしてすこし頬を染めて話し出した。

 「お兄ちゃんの言った通り綺麗な人」

 「えっ、ありがとう、でもお兄ちゃんて・・・」

 照れ笑いを浮かべながらマナは答えた。

 「私シンジお兄ちゃんの妹です、小さい頃に親戚の方に預けられていたんです」

 「それでいろいろあったんですけど、加持さんて人がお兄ちゃんのことを教えてくれたんです」

 加持の名前がでたときにリツコは何があったか少し理解できた。

 「そうなんだ・・・でも狡いなシンジ君て、こんなに可愛い妹がいるのを黙ってるなんて」

 「狡いってそんな・・・」

 シンジの困った顔を見てリツコの顔は綻んだ。

 「そ、そうだ、マナ夕食は食べたの?」

 「ううん、部屋の片づけや掃除をしてたから時間たっちゃて・・・」

 「じゃあ今日は家で食べようよ!」

 シンジの誘いに瞳を輝かせたけど、一瞬リツコの方に視線を向けた。

 「あの、お邪魔じゃないですか?リツコさん」

 「そんなこと無いわ、だってシンジ君の妹ですもの」

 リツコの返事に気をよくしたマナは満面の笑顔を浮かべた。
 

 

 


 リツコがマナの相手をしている間にシンジは夕食の支度を始めた。

 次々に仕上がる料理を見てマナ驚いていた。

 「お兄ちゃん料理凄く上手・・・」

 「そうなの・・・私の出番がないのよ」

 リツコは苦笑いを浮かべてマナに相づちを打った。

 そうこうしている家にいつものあれがやってきた。

 「しんちゃ〜ん、今日のご飯はなぁにかなぁ〜?」

 「お邪魔するよ、シンジ君」

 ミサトと加持が買い物袋を提げて入ってきた。もちろん中身はエビチュである。

 「また来たわねミサト、しょうがないわね」

 「どなたですか、リツコさん?」

 「ただの飲んだくれでアル中で家事不能女のミサトよ」

 「ほえ?」

 ミサトは派手にズッコケながらリツコを睨んだ。

 「リツコあんたね〜」

 「冗談よ」

 顔では本当でしょといいながら改めて説明する。

 「私の親友で加持君の恋人のミサトよ」

 「初めまして、ミサトって呼んでね」

 「霧島マナです、よろしくお願いします」

 さりげなくミサトの肩に手を回して加持が隣に立つ。

 「ようマナちゃん、どうだいシンジ君は?」

 「加持さんありがとうございました、聞いた以上に格好いい人でした」

 「そいつは良かった」

 リツコの方を見てウインクをする加持。

 後でしっかりと説明をしてもらいましょうと睨み返すリツコ。

 その賑やかなリビングにシンジが皿を運んできた。

 「ちょっと作りすぎちゃったんですけど大丈夫みたいですね」

 「お兄ちゃん、あたしも手伝う」

 「うん、ありがとう」

 マナも手伝ってリビングのテーブルに皿をならべていった。
 

 

 


 例によって例のごとくミサトが仕切る。さすが宴会大魔王。

 「それではマナちゃんの引っ越しを祝ってカンパイィ〜!!」

 マナは一口シンジの作った料理を食べてみる。

 「美味しい〜!!」

 そう言った後、ものすごい勢いで食べ始めた。

 みんなの視線を感じたマナの箸がピタッと止まる。

 「あ・・・はずかしぃ・・・」

 箸をくわえて耳まで真っ赤にして俯いてしまうマナ。

 「遠慮しないでもっと食べてよ、マナ」

 「そうそう遠慮してるとリツコに全部食べられちゃうわよ〜」

 「失礼ねミサト、私はそんな大食いじゃないわよ!」

 「何よ、この間あたしの分のシチュー全部食べたくせに!」

 二人が顔を合わせて睨み合っていると加持が苦笑いしながら話す。

 「美味しいんだから遠慮することはないぞ、なあシンジ君」

 そう言われてマナが見ると、シンジは笑いを堪えながら言った。

 「二人に食べられちゃう前にもっと食べてよ、マナ」

 「「シンジ君!!」」

 お互いシンジに大食いのように言われて、真っ赤になるリツコとミサト。

 「あはははははっ〜」

 マナの明るく楽しい笑い声がリビングに響いていた。
 

 

 


 あれから飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎでシンジが気がついたときにはみんなは夢の中だった。

 ミサトは加持の腕にしがみついたまま寝ている。

 マナはソファーの上で横になって笑顔で寝ている。

 リツコもシンジの側で幸せな顔して猫のように丸くなって寝ていた。

 客間の押入から毛布を持ってきてみんなに掛けてあげる。

 シンジはそっとベランダに出てドアを閉めると壁により掛かり夜空を見上げた。

 そこには青く輝く月がシンジを照らしていた。

 それはシンジに一人の儚い少女を思い出させる。

 そして語りかけるように呟いた。

 「綾波・・・僕は頑張ってるよ・・・精一杯生き抜いてみせるよ・・・」

 シンジは心のどこかにまだ後悔の念があった。

 しかしもう一方で振り返ることより前に進まなければならないことも知っていた。

 過ちを繰り返さないためにも、愛する人と生き抜いていこうと決めていた。

 その瞳には迷いはなく少しの悲しみと強い意志が宿っていた。

 月は何も答えてはくれなかったが、綺麗な光がいつまでもシンジを照らしていた。

 そのシンジの様子を一人の男だけが見つめていた。

 『強くなったなシンジ君、がんばれよ・・・』

 そしてまた眠りに落ちていった。
 

 

 


 いつものように朝の支度をしているとリツコが起きてきた。

 「おはようシンジ君」

 「おはようございますリツコさん、クスクス」

 シンジが笑っているのを不思議に思ったリツコは自分のカッコがおかしくないか見回した。

 「リツコさんの寝てるときの格好が猫みたいだったからつい・・・」

 からかわれたことに気づいたリツコはシンジの背中に抱きついた。

 「シンジ君ていつからそんなに意地悪になったの?」

 「ミサトさんのおかげでかな・・・」

 ちょっと悔しいリツコはシンジの頬に思いっきりキスをした。

 「シンジ君、罰としてそのまま学校に行ってね」

 見事なキスマークがシンジの頬についていた。

 「え、そんな勘弁して下さいよ、リツコさん」

 「ふふふ・・・ダメよ」

 朝からキッチンで熱々の二人だった。

 「これは参ったな・・・」

 「全く朝から見せて付けてくれるわね・・・」

 声のした方を見るとそこにはミサトと加持がニヤニヤしながら立っていた。

 「そう思うだろマナちゃん?」

 加持達の後ろで今の言葉を聞いたマナも真っ赤になって俯いていた。

 「えっと、その、こ、これは・・・」

 そこまで言ってリツコは自分の部屋に逃げ込んでしまった。

 後に残されたシンジには逃げ場はなかった。

 「ひょっとして毎朝おはようのキスしちゃってるの?」

 ミサトの指摘に顔を真っ赤にして肯定してしまうシンジだった。

 しかしそのままで済むほどシンジも弱くはなかった。

 「マナ、ミサトさんお弁当いらないって言うからこれ食べてもいいよ」

 そう言ってミサトの弁当をマナに手渡す。

 「ああ〜ん、シンちゃん許して〜、お願い〜?」

 シンジを拝むように手を合わせて頭を下げるミサトだった。

 それを見て加持とマナは笑いを堪えるので大変だった。
 

 

 


 朝食を食べた後、加持、ミサト、マナの三人はそれぞれ着替えに家に帰っていった。

 洗い物をした後、シンジも学校に行く用意をしたが、キスマークは顔を洗ったときに消したらしい。

 みんながいなくなったらようやくリツコは部屋から出てきた。

 「酷いなリツコさん、置いてけぼりにするんだから」

 「ごめんなさいシンジ君・・・」

 ちょっと苦笑いしながら答えるリツコ。

 そんなこといいながらもシンジはティーカップをリツコの前に差し出す。

 「ありがとう」

 そう言ってシンジが煎れてくれた紅茶を美味しそうに飲んだ。

 そろって玄関まで来るとリツコがシンジの服の裾をちょっと引っ張った。

 「ねえ・・・シンジ君」

 リツコはそのまま目を閉じて心持ち顎をあげる。

 その頬は少し赤くなっている。

 シンジはリツコの仕草に微笑みながら答えるようにキスをした。

 その時二人の時間を邪魔するようにトウジとケンスケがやって来た。

 「「おっはよう碇君、学校行こう〜」」

 ドアを開けて二人の前に出たシンジの顔を二人はじぃ〜と見つめていた。

 「おはようトウジ、ケンスケって・・僕の顔に何かついてる?」

 ケンスケはシンジの顔のアップをデジカメに撮り、トウジはため息をついてティッシュを渡した。

 「シンジ・・・口紅が付いとるからはよ拭かんかい」

 「朝から熱々で羨ましいよ、シンジ」

 あわてて差し出されたティッシュで唇を拭うと誤魔化すように話を逸らした。

 「そ、そうだ!今から会わせる人がいるんだけど、驚かないで欲しいんだ」

 「そらどお言うこっちゃ?」

 「俺達の知ってる人か?」

 「説明は後でするから話を合わせてくれないかな?」

 トウジとケンスケがとりあえず納得すると、シンジは隣の呼び鈴を押した。

 「は〜い!」

 元気な声とともにマナがドアを開けて出てきた。

 「おはようお兄ちゃん!」

 「おはようマナ」

 シンジと挨拶を交わしている少女を見て二人は唖然としていた。

 しかし、二人は驚きを隠すようにシンジをからかいだした。

 「シンジ、ミサトさんやリツコさんに飽きたらず他の女に手を出すとはワシは許さん」

 「全くだよ、どうしてシンジばかりもてるんだ?」

 「なに言ってるんだよ!どうしてそうなるんだよ・・・」

 シンジは呆れつつも内心二人の心遣いに感謝してた。

 「あはは、楽しい人達だねお兄ちゃん」

 シンジをほっといて二人はマナに自己紹介をした。

 「ワシは鈴原トウジ言います、よろしゅう!」

 「僕は相田ケンスケ、よろしく」

 「初めまして霧島マナです、えっと昨日この街に引っ越してきました」

 「で、シンジとはどんな関係なんや?」

 「ちょっと理由があって離れて暮らしていたんだけれど、妹なんです」

 「シンジ、ワシら親友やろなぜ隠してたんや?」

 「全く可愛い女の子は独り占めか?イヤ〜ンな感じ」

 「勝手なことばかり言わないでくれよ、全く・・・」

 シンジ達のじゃれ合いをリツコは温かく見守っていた。

 いつの間にかミサトと加持もリツコの側に立っていた。

 「どうやら大丈夫みたいね」

 「言っただろう、シンジ君なら心配ないって」

 「でも、ちょっと焼けちゃうかな・・・あの中には入れそうもないし・・・」

 何気なくぽろっと本音が出てしまったリツコの言葉にミサトは敏感に反応した。

 「しんちゃ〜ん、リツコが焼き餅妬いてるわよ・・・」

 「ミ、ミサト!?」

 あわててミサトの口をふさごうとしたが遅かった。

 「あの・・そうじゃなくて・・・あ」

 みんなの視線がリツコに集中すると耳まで真っ赤にしてリツコは足早に歩いていった。

 「あ、待ってリツコさん」

 リツコの背中にシンジが声をかけるとちらっとシンジに顔を向けた。

 「な、何シンジ君?」

 シンジは爽やかな笑顔を浮かべて一言言った。

 「いってらっしゃいリツコさん」

 その笑顔に釣られるようにリツコの表情も柔らかくなった。

 [うん、いってきますシンジ君」

 そう言って足取りも軽く歩いていった。



 つづく


 エヴァ第四話UPです♪

 じろ〜は結構リツコさんがお気に入りです。

 TV放送中はそうでもなかったのですが最近はエヴァのキャラクターの中では一番になっています♪

 クールに振る舞っているけれど実は誰よりも女の子らしいと思うのですが・・・。

 まあ感じ方は人それぞれだと思います。

 そういえばまだ彼女が出ていませんが、忘れてはいませんのでしばしお待ちを・・・。

 ああ!またしてもペンペンが出ていない〜・・・。(あとで加筆修正しとかないと・・・)

 じろ〜でした。


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