新世紀エヴァンゲリオン After Story

 

 

 GLORIA


 

 第五話 Raging Waves





 いつものように登校するシンジ達。

 しかしいつもより視線を集めているのが何となくシンジには感じられた。

 何しろシンジの横を見知らぬ美少女が歩いているからである。

 それもどこか親しい間柄のように振る舞っている。

 知らない人が見たらまさに恋人同士みたいだ。

 「ねえお兄ちゃん、みんな見ているみたいだけど・・・」

 「はは、そうみたいだね・・・」

 笑って誤魔化すシンジに変わって説明するトウジとケンスケ。

 「このくらいで驚いたらアカン!学校ではもっとすごいんや」

 「そうそう、何しろ第一高校のアイドルだからな」

 そのシンジの生写真を売っているのはもちろんこの二人である。

 「シンジお兄ちゃん!」

 まじめな顔をしてシンジを見るマナ。

 「なに?」

 「浮気したらリツコお姉さんに言いつけるからね!」

 「そんな事しないよ・・・全く」

 額に手を当てて肩を落とすシンジだった。
 

 

 


 マナを職員室に送った後教室に入るとシンジの周りに人集りができた。

 「ねえねえ碇君、朝一緒にいた女の子とどういう関係?」

 「碇、なぜおまえばかりもてるんだ?」

 「羨ましすぎるそ碇!」

 「リツコさんと別れちゃったの?」

 笑って誤魔化してシンジはクラスメイト達をかわして自分の席に着いた。

 そのシンジにヒカリは遠慮がちに声をかけた。

 「碇君、一緒にいた女の子って誰?」

 「うん、洞木さんも覚えていると思うんだけど・・・マナなんだ」

 「それって霧島さんのこと?」

 「詳しい話は後でするから僕の話に合わせてくれないかな?」

 「解ったわ、それじゃ後でね」

 シンジの言い回しから何かを感じ取ったヒカリは素直に言う通りにした。

 その後すぐに先生が教室に入ってきた。

 「みなさんおはよう、今日は転校生を紹介します」

 そしてドアを開けて一人の少女が入ってきた。

 「霧島マナって言います、みんなよろしくね!」

 ニコって笑ってお辞儀をした。

 そしてシンジの向かって軽く手を振った。

 その様子を見てクラス中の視線がシンジに集中する。

 「それでは霧島さんはあそこの空いてる席に座って下さい」

 「はい」

 言われた通りの席に座ると横はお約束のようにシンジの席だった。

 『加持さんって相変わらず手際がいいんだから・・・』

 同じ学校で同じクラス、おまけに昨日は席替えをしてとなりが空席になった。

 いくらシンジでもそんなに都合が良すぎることに気が付かない訳がない。

 そんなことに全く気が付く訳もなくマナはニコニコして座っていた。

 「よろしくね、シンジ」

 その言葉を聞いてシンジは初めて会った日のことを思い出していた。

 『記憶が無くてもやっぱりマナはマナなんだな・・・』

 シンジが暢気に昔のことを思いだしてる時、クラスメイト達は休み時間に質問することを

 考えていた。
 

 

 


 休み時間ごとの質問責めを何とか無事に終わらせた後、ようやくお昼休みになった。

 みんなには事情があって離れて暮らしていた妹と納得してもらった。

 そしてシンジはいつも通りトウジとケンスケと食べ始めていた。

 ヒカリ達に誘われてマナは一緒に食べていた。

 マナが持っていた弁当箱の蓋を開けるとヒカリはそれを見て驚いた。

 なんて言うかまるで見本のようにデコレートされた可愛いお弁当だった。

 「霧島さん凄いわね、随分凝っているわね」

 タコさんウインナーを食べようとするマナは少し照れた顔をして答えた。

 「実はシンジ君が作ってくれたの・・・」

 エヘヘーと笑ってウインナーを美味しそうに食べ始めた。

 なんか今日は一段と気合いが入っている感じがしたヒカリだった。

 シンジ達は食べ終わった後マナの事を話していた。

 「それじゃ記憶亡いんかい?」

 「うん、それで加持さんが不憫に思ったらしく僕のことをお兄さんだって話したらしいんだ」

 「そう言う訳だったんだ、シンジ」

 改めて納得した二人はシンジに協力することにした。
 

 

 


 ヒカリに説明をしようと思ったがトウジがしてくれると言ったので任せることにした。

 シンジは部活に行く前にマナに声をかけた。

 「マナ、僕は部活に行くけどどうする?」

 「う〜ん・・・そうだ!あたしも見学しててもいいかな?」

 「いいけど退屈かもしれないよ?」

 「気にしないでいいよ、あたしも走るの好きだから」

 そう言ってシンジの背中を押して歩き出した。

 部室に行って着替えてからグランドに来ると、マナの周りに人が集まっていた。

 「あ、お兄ちゃん」

 マナがシンジに声をかけると今度はシンジを取り囲んだ。

 「シンジ君、妹ってホント?」

 「シンジ、紹介してくれよ?」

 などと教室と代わらない目に遭うシンジだった。

 それから十分にストレッチをした後にシンジは今日のメニューをこなしていく。

 ただ目の前を見つめて、集中して走るシンジの姿はしなやかで格好良かった。

 しかし困ったことに他の部員、特に女子達はシンジの姿に注目するため練習にならなかった。

 もちろんマナも例外ではなかった。

 「お兄ちゃんって格好いい・・・」

 などとぼーっとして呟いてるところにシンジがタオルを取りに来た。

 「どうしたのマナ?ぼーっとしちゃって・・・」

 「えっ、うん、お兄ちゃんて格好いいなーって思ってたところ!」

 「そうかな・・・・自分じゃよく解らないや・・・」

 汗を拭きながら苦笑いして答えるシンジ。

 「本当よ!もう犯罪に近いわ!」

 拳を作って力説するマナにシンジは思わず腰が引けてしまった。

 そこまで言って腕を組んでマナは考え出した。

 『お兄ちゃんてこれだけもてるのにリツコお姉さんは心配じゃないのかな・・・」

 シンジは汗を拭いて一休みしたらまた練習を再開した

 そしていつの間にか、考え込んでいたマナの横でケンスケが写真を撮り始めていた。

 「あ、相田君」

 「ケンスケでいいよ」

 ケンスケは喋りながらもシンジを撮り続ける。

 「シンジの奴格好いいだろ・・・本人はあんまり自覚がないみたいだけれど」

 「ホント・・・その辺のアイドルより凄いわ・・・」

 「おかげでシンジの写真はよく売れるんだ・・・」

 「え?」

 「最近じゃうちの高校だけじゃあきたらず、他の学校からの注文が多くて大変だよ」

 「・・・・・・」

 じーっとケンスケを睨むマナ・・・。

 ひょっとして怒られるのかなと思いつつ聞いてみるケンスケ・・・。

 「・・・何?」

 「・・・あたしにも格好いいの頂戴!」

 本音が出るマナに思わずカメラを落としそうになるケンスケだった。
 

 

 


 シンジは練習を終えてマナの処にやってきた。

 「お待たせマナ」

 「そんなこと無いよ、ケンスケさんと話してたし・・・」

 「あれ、そう言えばケンスケは?」

 「今日は写真の現像が沢山あるから先に帰るって・・・」

 「僕の写真なんか撮ってどうするのかな・・・」

 全然自分の人気を自覚してないシンジにマナはため息をつくしかなかった。

 お喋りしながら校門に来ると加持さんが車の前に立っていた。

 「よう、シンジ君」

 「どうしたんですか加持さん?」

 「ん?まあ・・ところで学校はどうかなマナちゃん?」

 「シンジお兄ちゃんの人気のすごさに吃驚てところです」

 「そいつは何よりだ・・」

 「それより加持さんどうして学校に・・・」

 シンジが理由を聞こうとしたその時、三人の男達がシンジ達に向かって早足で歩いてきた。

 加持の目が細くなって鋭く光ったのに、シンジは気が付いた。

 加持は素早く車のドアを開けてマナを押し込んだ。

 「きゃっ・・・加持さ・」

 マナの短い悲鳴を背中越しに聞く、と加持とシンジは三人の男達に向かって走り出した。

 シンジは加持よりも一歩早く男達の懐に飛び込むと、目の前の男の手をつかんで体を密着させて

 顎を思い切り手のひらで突き上げた。

 手加減なしの動作で男の体は地面から浮き上がって吹っ飛んだ。

 残りの二人はそれを見て一瞬反応が遅れた。

 その隙を加持が見逃すはずもなく相手の鳩尾に拳をたたき込んだ。

 二人目も白目をだして気絶した。

 しかし残りの一人は二人の犠牲でそのぶん余裕ができ、腰の後ろからナイフを抜くと

 シンジに向かって突きだした。

 予想以上に相手のナイフが素早くシンジは左腕の上腕部を切られた。

 「くっ・・・」

 顔を顰めながらも次々と迫り来る攻撃をかわすと、ナイフを持っている手を何とか掴んだ。

 そのまま掴んだ腕を捻りながら相手を背負い投げの要領で地面に叩きつけた。

 口からは泡を吹き、肩から脱臼して男は気絶した。

 この間、約一分もかからなかった。

 あまりの素早さに訳がわかんなかったマナもシンジの腕から流れている血を見て我に返った。

 「お兄ちゃん!!大丈夫!?」

 瞳に涙を浮かべながらマナはシンジの処まで走り寄った。

 「大丈夫だよ・・・心配しないでマナ」

 シンジはいつものように笑おうとしたが傷口が痛んで苦笑いになった。

 「シンジ君!」

 加持がシンジの傷口を持っていたハンカチで少しきつく縛ると車に乗せた。

 「マナちゃん、シンジ君の腕を押さえて手くれるかな?」

 「う、うん」

 マナは涙で顔をくしゃくしゃにしながら頷いた。

 「加持さん・・・あの人達は・・」

 「部下が後始末をするから大丈夫」

 加持はステアリングを握ると思いきりアクセルを踏み込んだ。

 騒ぎになるとやっかいなので加持はジオフロントを目指していた。

 後、思ったよりシンジの傷が深かったので一応検査もした方が良い思った。

 『参ったな・・・りっちゃんに怒られそうだな』

 猛スピードで三人の乗った車は夕焼けの第三新東京市を駆け抜けていった。
 

 

 


 「シンジ君!?」

 息を切らせて顔を青くしたリツコが医務室に飛び込んできた。

 「リツコさん・・・」

 シンジは腕に巻かれた包帯を軽く叩いて見せた。

 「大丈夫です、かすり傷だから・・・」

 いつものように笑顔を見せて安心させようするシンジだった。

 「すまんりっちゃん、俺がいながら・・」

 パン!

 加持のセリフが途中でとぎれた。

 「どうして?加持君がいたのにどうして!?」

 リツコは加持を叩いたポーズのまま、その瞳から涙を流していた。

 「すまない」

 再び頭を下げる加持。

 「ごめんなさい・・・加持君のせいじゃないわ・・」

 涙を拭いて加持に謝るリツコ。

 「ありがとう、シンジ君を守ってくれて・・・」

 改めて加持にお礼を言うリツコだった。

 落ち着いたリツコを見てシンジが加持に謝った。

 「すいません加持さん、僕が迂闊でした」

 「いやそんなことはない、充分過ぎる程良くやったよシンジ君」

 加持が笑顔で答える。

 シンジは後ろに座っていたマナに声をかけた。

 「マナごめんね、驚かせちゃって・・・」

 マナは自分の涙を手で拭うとシンジに笑いかけた。

 「もう、吃驚させないでよお兄ちゃん!」

 「うん」

 シンジの返事を聞いてマナも安心する。

 リツコはひとまず安心したら襲ってきた者達の事を考えていた。

 『よくもシンジ君にケガをさせたわね・・・ただじゃおかないんだから!』

 リツコの目が怪しく光り始めていたのに気づいたのは加持一人だった。

 そこに遅ればせながらミサトが飛び込んできた。

 「シンちゃん大丈夫なの?」

 「あ、ミサトさん、かすり傷ですから・・・」

 「でもその腕じゃ料理は無理みたいね・・・」

 「すいません」

 謝るシンジに代わってリツコが話す。

 「じゃあ今日は私が作るから・・・」

 しかし、ミサトは包帯に巻かれたシンジの腕を見て一人宣言した。

 「今日はあたしが料理を作るから任せてねん!」

 その瞬間みんなの顔が死にそうになるくらい歪んだのは言うまでもなかった。

 「ほえ?」

 ただ一人マナだけがぽかんとしていた・・・。

 これから自分の降りかかる不幸を知らずに・・・。

 ちなみに、それ以来マナは二度とミサトの料理を食べようとはしなかった。



 つづく
 


 エヴァSS第五話です♪

 一応ここまでで半分てところかな・・・。

 後半はシリアスな展開になっていきますのでほのぼのムードが少し減るかな?

 さて、お待たせしました、次からはよいよアスカの登場です♪

 彼女には大活躍をしてもらいますので期待しててねん♪

 ああ!ペンペンが出てない・・・どうしよう?

 次こそ必ずペンペンが出ますように祈ってて下さい。

 それではまた、じろ〜でした。


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