新世紀エヴァンゲリオン After Story


 

 GLORIA



 

 第七話 Just be conscious




 昼休み、昼食の時にシンジは腕のケガの事をトウジとケンスケに説明した。

 「そら危なかったな」

 「まあ、大きなケガにならなくて良かったよ」

 「二人ともありがとう・・・」

 シンジは二人が心配してくれて嬉しかった。

 先に食べ終わったケンスケがシンジに聞いてきた。

 「でも、誰がシンジを襲ったんだろうな?」

 「それは加持さんが調べているんだけど・・・」

 「とにかく学校の帰りも気をつけた方がええな・・・」

 「うん、今日から加持さんが直接護衛を付けるって言ってたけど・・・」

 「ふうん、それなら大丈夫だな」

 シンジからそれを聞いて二人は少し安心することができた。






 シンジは放課後になったら部活に顔を出した。

 腕のケガでいろいろ聞かれたが、上手く誤魔化して練習を始めた。

 もちろんマナも心配でずっとシンジの様子を見守っていた。

 シンジは何回か全力で走った・・・。

 しかし腕のケガが鈍く痛むので走り終わる度に顔をしかめた。

 「やっぱり少し痛いな・・・」

 軽くストレッチをやっていると、マナが側に来た。

 「お兄ちゃん・・・、やっぱり痛いんでしょ?」

 タオルを渡しながら心配そうにシンジの顔をのぞき込むマナ。

 「ちょっとだけね・・・」

 マナの頭に手を乗せて撫でながら微笑みながら応えた。

 「でも、今日はここまでにしとこうかな・・・」

 「うん、私もそれがいいと思う」

 部長に断った後、シンジは更衣室に着替えに行った。

 鞄を持ってグランドで待っているマナの元に急いだ。

 「おまたせ」

 「ううん、そんなことないよ」

 それから二人が歩き出そうとしたとき、校門の方から一人の女の子が

 シンジ達に向かって歩いてきた。

 ジーパンにTシャツ、ミサトがいつも着ている赤いジャケットに似た上着・・・。

 そして栗色の髪を靡かせ、蒼い瞳でシンジを見つめている

 「ま、まさか!?」

 シンジの目の前で止まると女の子は、初めて会った時のように自信に満ちあふれた

 笑顔で挨拶をしてきた。

 


 「久しぶりね、バカシンジ!」

 


 「アスカ!?」

 シンジの様子が変なのに気づいたマナは、目の前の女の子の事をシンジに聞いた。

 「お兄ちゃん、この人誰なの?」

 驚きで話せないシンジに代わってアスカがマナに説明をした。

 「初めまして、惣流・アスカ・ラングレーよ! アスカって呼んでね!」

 「あ、あの、霧島マナです・・・」

 我に返ったシンジは改めてアスカに話しかけた。

 「アスカ・・・その元気になったんだね・・・」

 「ハン! あったり前でしょ! それよりシンジ、ほかに言うことはないの?」

 心なしか頬を染めてシンジを睨むアスカ。

 「あ、その・・・綺麗になったね・・・」

 「ほかには?」

 今度ハッキリと解るぐらい顔を赤くして睨むアスカ。

 「うん、お帰りアスカ・・・」

 「ただいまシンジ!」

 アスカはそう言ってシンジに思いっきり抱きついた。

 「うわ、ちょっとアスカ!?」

 「何よ? 久しぶりに会ったんだから感激してあげてるのよ!」

 アスカはさらに自分の体をシンジに押しつけた。

 二年前より成長したアスカの体にシンジの顔は真っ赤になっていた。

 アスカはシンジの顔を見て予想通りの反応に笑っていた。

 いつの間にかじゃれ合っている二人を見ていたマナはジト目になっていた。

 「シンジお兄ちゃん・・・」

 「な、なに?」

 マナの視線にアスカに抱きつかれたシンジの額に冷たい汗が流れた。

 「浮気者! リツコお姉さんに言いつけるから!」

 「そ、そんな誤解だよ!」

 さらにアスカがいたずら好きの猫のように笑うとシンジを窮地に追い込む。

 「何よ! この間まで一緒に暮らしていたじゃない!」

 「アスカ!?」
 
 「お兄ちゃん!!」

 アスカに抱きつかれたままマナに詰め寄られるシンジをグランドにいた生徒達が

 遠巻きに注目しているのに本人達が気づくことはなかった。






 「またっくもう・・・」

 「何ぶつぶつ言ってるのよ? 男らしくないわね〜」

 「・・・・・・・・・・」

 とりあえず家に帰ることにして学校を後にしたシンジ達。

 シンジは何か口の中で呟いている。

 アスカはシンジの顔を見ながらニヤニヤしている。

 マナは黙ってアスカを見ている。

 妙な雰囲気を出しながら暫く歩いていた。

 「あ!」

 声を出してシンジが立ち止まる。

 「どうしたの、お兄ちゃん?」

 「そう言えば今日の帰りに加持さんがガードの人を付けるって言ってたんだけど・・・」

 そう呟いてから後ろを振り返ろうとするシンジの頬をアスカが引っ張った。

 「だからここにいるでしょ!」

 「えーっ、何でアスカが?」
 
 アスカは腰に手を当てて胸を張って言った。

 「加持さんから連絡があってね、シンジがピンチだから助けてくれないかって・・・」

 「だからってアスカも一応女の子なんだから・・・」

 「一応って何よ?」

 アスカが睨みながらシンジの頬をつねる。

 「ご、ごめんなひゃい」

 「解ればよろしい」

 頬を押さえて痛がっているシンジをほっといてアスカはマナと話しだした。

 「さっきはごめんね、ちょっとからかっただけだから・・・」

 「いえ、べつに・・・あの」

 「ああ、さっき言ってたこと?確かに前にシンジと暮らしてたわ、ミサトも一緒にね」

 「あ、そうなんですか・・・」

 「そ、ちょっと訳があってねミサトが私とシンジの保護者代わりだったの」

 アスカの説明でマナはとりあえず納得したようだった。

 「ところでアスカ、今どこに泊まっているの?」

 「はぁ?なに言ってんのあんた、あたしはあんたをガードしているのよ!」

 「うん」
 
 「だからあんたのとこに決まっているでしょう!」

 「えー! そんなの聞いてないよ・・・」

 加持からはそこまで聞いてないシンジは、顔にこそは出さなかったけど内心絶対からかわれるなと

 これを仕掛けた加持をちょっと恨んでしまった。

 「さあシンジ、あんたの家まで案内してちょーだい♪」

 ニヤニヤ笑いながらシンジをみているアスカをマナはちょっと複雑な表情で見つめていた。






 「へ〜ここがそうなんだ・・・」

 がちゃ。

 「ア、アスカ! そこは駄目だよ」

 「ふ〜ん・・・ここで寝ているんだ、二人で♪」

 じっくりと寝室を見られて顔を赤くして俯くシンジ・・・。

 「・・・・・・・」

 「・・・シンジ」

 「な、なに?」

 「エッチ♪」

 アスカはシンジの顔を覗き込む様にニヤニヤして見つめる。

 「そ、そんな・・・まだしてないよ!」

 「はぁ?」

 思わず力一杯ホントの事を言ったシンジを見てアスカは大きなため息を付くとお約束を口にする。

 「あんたばかぁ?」

 「へっ?」

 「いいからお茶の用意でもしなさい!」

 「あ、うん・・・」

 シンジがキッチンでお茶の用意をしているその間にアスカはマナにいろいろ話し始めた。

 「・・・そうなんだ、アスカさんて日本に留学してたんだ」

 「そ! その時に知り合いのミサトに家に来なさいって言われたんだけど、そこにシンジがいたのよ」

 「ビックリしました?」

 「まあ、確かに驚いたけどそれよりも凄かったのはミサトの料理よ!」

 「ミサトさんの料理・・・」

 「ん?」

 マナは顔をに両方の手を当てて頭を横に振り出す。

 「あ、あれは食べ物じゃない・・・」

 「そっか・・・食べたんだミサトの料理・・・」

 青くなったマナを見てアスカは心の中で加持のこれからの無事を祈っていた。

 




 「う〜ん・・・やっぱりシンジの入れたお茶は美味しいわね♪」

 「そう、よかった」

 「ねえシンジ、ヒカリ達元気?」

 「うん、そう言えば洞木さんとトウジ今付き合っているんだ」

 「ええっ! ホントなの?」

 「トウジの方から告白したみたいだけど・・・」

 「明日が楽しみねこれは、ふふふふふ・・・」

 アスカのニヤリとした顔を見たシンジとマナは、明日学校で問いつめられるヒカリに同情してしまった。

 「さあシンジ! 今日はハンバーグが食べたいわ♪」

 「ちょっと時間がかかるけどいいかな?」

 「久しぶりの再会に免じて待ってあげるけど、なるべく早くしてね」

 キッチンに向かうシンジは立ち止まって振り返るとマナに声をかけた。
 
 「それじゃマナ手伝ってくれる?」

 「いいよ、お兄ちゃんの手の代わりをしてあげる♪」

 「ありがとう」

 シンジとマナはキッチンで夕食の用意を始めた。

 アスカは一人ベランダに出ると柵にもたれて星空を見上げる。

 「そっかぁ・・・まだしてないんだ・・・ちゃぁ〜んす♪」

 アスカは呟くといろいろと計画を練り始めた・・・。

 「まあ、とりあえずリツコが帰ってきた時にばっちりと決めないとね、ふっふっふっ・・・」

 まさに小悪魔の笑顔を浮かべてその時を待つことにアスカは決めたらしい。

 そんなアスカの考えに気づくはずもないシンジは何とか早くハンバーグを作り上げた。

 「アスカ、お待たせ」

 「さっすがシンジ、早いわね♪」

 リビングのテーブルの上に並べられた料理を味わうためにアスカは部屋の中に戻った。

 




 久しぶりのシンジの料理が美味しかったのかアスカは御飯を三杯もおかわりをしてシンジや

 マナを驚かせていた。

 食事の後のお茶を飲んで一息ついたところでアスカが口を開いた。

 「さてとそろそろ寝ようかな〜?」

 「アスカ・・・本当にここに泊まるの?」

 「ああ、あれは嘘♪」

 「それじゃ・・・」

 「ねえマナ、今日は泊めてくれないかしら?」

 「えっ、私の家?」

 「駄目ならここに泊まるけど・・・」

 アスカはニヤリと笑ってシンジの方を横目で見る。

 「べ、別にいいですけど・・・」

 シンジにちょっかいを出すかもしれないと考えたマナは、苦笑いをしながらもアスカを泊めることにした。

 「でもその前にちょっとシンジと二人だけで話すことがあるから、後から行くわ」

 「え、あのそれって・・・」

 「ああ、ちょっと昔の話をするだけだからすぐに終わるから」

 「う、うん、それじゃお兄ちゃんお休みなさい」

 「おやすみマナ」

 「後でね〜♪」

 マナを見送った後、微笑みを止めて使徒と戦っていたときのような顔つきにアスカは変わった。

 「・・・シンジ、あたしはあなたのこと許してはいないから」

 「うん」

 「でも、マナのお兄ちゃんのあんたは許してあげるわ」

 「アスカ・・・」

 アスカはそこでふっと表情を和らげるとシンジの首に手を回して抱きついた。

 「でもね・・・今ここであたしを抱いてくれたらすべてを許してあげるわ・・・」

 そう言ってアスカは瞼をゆっくりと閉じていく・・・。

 「ア、アスカ・・・」

 シンジはそのままの姿勢で動きが止まりアスカを見つめる。

 その綺麗な顔の頬はうっすらとピンク色に染まっていた・・・。

 「アスカ・・・僕は」

 がちゃ。
 
 「ただいまシンジ君、遅くなって・・・」

 靴を脱いでリビングに来たリツコはシンジとアスカが抱き合っているところを見てしまった。

 「リ、リツコさん!! こ、これはその・・・」

 慌てるシンジとは対象にアスカの唇の端は微妙に歪んでいた。

 「!!」

 リツコはキッとシンジ達を睨むとそのまま近づいてきてシンジの手を掴んだ。
 


 ぐいっ。






 「私のシンジ君に手を出さないで!!」






 顔を真っ赤にしてアスカから引き離したシンジをそのまま抱きしめて宣言した。

 「リツコ・・・」

 「何、アスカ?」

 リツコはまるで猫のようにふぅ〜と息を吐いて髪の毛を逆立ててアスカを牽制している。

 「ミサトの言った通りあんた可愛くなったわね!」

 そう言って思い切りお腹を抱えてアスカは笑い出した。

 「ア、アスカー!」

 からかわれたと知ったリツコの叫びと、息が詰まるほど笑うアスカの声がしばらくの間リビングに

 響き渡っていた・・・。



 つづく


 どうも〜じろ〜です。

 ちょっと間があきましたが第七話をUPしました。

 次の話からはようやくペンペンの登場です。

 ペンペンファンのみなさまごめんなさい。

 ホントの処アスカはシンジのことをどう思っているか・・・。

 違った意味でシンジの身の危険を感じたリツコさんは、どうするのか・・・。

 そしてついに時田博士が・・・。

 基本はらう゛らう゛話だからそれをふまえて次の話に向かいます。

 次回はもっと早めにUPします。


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