夢を見ていた。
雪降る真冬の夜。
淡く輝く街頭の下に人影が二つ。
それが誰だか私にはわかっている。
泣き崩れているのは…私、美坂香里。
そして…
それを支えるように抱きしめているのは……

奇跡の後に…


カーテン越しに映る光がまぶしくて、私はベッドから体を起こした。
「…今日もいい天気のようね」
誰に言うというわけでもなく、一人つぶやいた。
眠気をふりはらうように軽く伸びをして、ベッドから降りると、手早く着替えを済ませてしまう。
…今日は図書館に行くだけだから、いつものでいいわね。
いつものように一階へと降りていった。


なんであんな夢を見たのかしら。
ふと、先ほど見た夢の光景を反芻する。
そう…あれは去年の冬…
運命という名の束縛を受けていた私を支えるかのように抱きしめていてくれたのは相沢祐一…
私の妹、美坂栞の恋人だ。
相沢君の第一印象は「不思議な人」だった。
ううん、彼のいとこで、私の親友である水瀬名雪からいろいろと聞いていたから、
第一印象とは呼べないかもしれないけど…
そうそう、名雪ったら、相沢君の話になるといつも眠たそうにしている目をぱっちりと開けて、
本当に楽しそうに話していたわね。
自然と笑みがこぼれる。
最初に名雪の横でおどけるように笑っていた彼を見て、
ふと、もしかしたら相沢君なら栞を救ってくれるかも、と思ったわ…
なぜかわからないけどね。
その時は、そんなわけないってすぐにあきらめた。
でも…
相沢君は栞を救ってくれた。
あの冬の日から9ヶ月の歳月が流れていた。
次の誕生日までいきられないだろうと主治医から言われていた栞は、
まだ病弱なのは変わらないけど、元気に、かけがえのない日常を過ごしている。
そして、その傍らにはいつも相沢君がいる。
感謝しているのよ、本当に…
あなたのおかげだから…
…結局、私はなにもしてやれなかった。
いえ、あのころの私は「妹の死」という現実から少しでも逃れるように、
栞の、妹の存在を否定していた。
でも…
あのこの態度は変わらなくて…
いつも私に笑いかけてくれて…
一番辛いのは自分のはずなのに、泣こうとしなかった。
それでも私は微笑み返すことはなく。
すれ違いの日々を送っていた。
私は…


「もうやめましょう…」
鏡に映る自分の顔を見ながらつぶやく。
もう、すべては過去の話。
反省しなくてはだめだけど、いつまでも引きずっていくことはない。
今なら栞に微笑み返すことができるから。
今なら栞を妹だと胸を張っていえるから。
今なら……
幸せな二人を祝福することができるから。
何かを吹っ切るように勢いよく顔を洗った。




Be continue...



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