ACE COMBAT V electrosphere

 ANOTHER STORY






 翼を持つ者 



 第二話 「レナ」






 夜の基地は静かで待機任務以外の人は自分の部屋で思い思いの事をしている時間である。

 その中の一人。

 レナはいつもの様に一人で夜の散歩を楽しんでいた。

 いや、この時間でなければ彼女は自由に外を歩くことは出来なかった。



 「シルバーストーン病(先天性E照射症候群)」



 太陽光線に含まれる「E−ray」を浴びることが出来ず日中でも特殊な防護服をいつも

 着用していなければならず、満足に外も出歩けない。

 レナは生まれつきこの病気に掛かっており、それは今も変わらないのでこうして太陽が沈んだ

 夜の間だけ普段着で自由にできる散歩を楽しんでいた。

 「星が綺麗・・・」

 立ち止まりふと夜空を見上げると無数の星が輝いていた。

 作戦で何度も夜間を飛んだ事も有るけど、こうして地上から見る星空は綺麗でレナは大好きだった。

 「くすっ」

 不意にレナの口から笑いが零れる。

 「おかしな人・・・」

 今、レナの脳裏には今日会ったばかりの新人の顔が浮かんだ。

 どこか人なつっこい笑顔でみんなに挨拶をしていた・・・でも、その瞳に少しだけ悲しみが混じっていた。

 滅多に笑わないレナだったが、今日の散歩は不思議と笑顔が浮かんできた。



 「こんばんわ」

 「きゃっ?」

 いきなり地面の方から声が聞こえてきのでレナは思わず足下に見る。

 するとそこには一人の男が仰向けに寝転がっていた。

 「ああ、驚かせてすいませんホークです」

 「あの、ごめんなさい・・・」

 「いや、いきなり声を掛けた俺の方が悪かったです」

 そう言いながらも起きようとはせず、仰向けに寝ころんだままレナと同じように夜空を見つめていた。

 「あの・・・」

 「ホークで良いですよ、広瀬中尉」

 「私も・・・レナでいいです」

 「りょーかい」

 それにしても何でこんな所で寝転がっているのか気になったレナはその事を聞いてみた。

 「あの、ここで何をしていたのですか?」

 「星を見ていた・・・と言うより、疲れて寝てしまって目が覚めたら夜だったんですよ」

 「疲れて・・・あっ」

 どうやら司令官に命令された罰を実行した結果だとレナは理解した瞬間はなぜか笑顔になった。

 「あれ、そんなに可笑しかったですか?」

 「どうしてですか?」

 「だって笑っているじゃないですか」

 「ええっ?」

 思わず顔に手を当てて驚いているレナに、さらにホークは笑い掛けながら言葉を続けた。

 「そんな風に笑ってる方が可愛いですよ」

 「そ、そんな・・・」

 今度は顔が赤くなるのが手のひらを通して感じられて、絶句してしまうレナであった。

 その後、二人の間には会話は無かったが、気まずい雰囲気ではなくどこか穏やかでいい感じが二人を包んでいた。






 翌日は綺麗な青空で降り注ぐ太陽の光に、待機中のレナの機体『フランカー』の翼がキラリと輝いていた。

 「こちらレナ、これより先行偵察任務のため出撃します」

 「こちらコントロール了解、出撃してください」

 「了解、レナ・広瀬、フランカー発進します」

 レナは言い終わると、スロットルをアイドリングから徐々にミディアムまで上げて機体をゆっくりと駐機スポット

 からタキシングウェイを通って滑走路に移動させるとアフターバーナー全開で発進した。

 どこまでも広がる青い空に白い線を引きながら、次の作戦の目標に向かってフランカーは飛んでいった。

 それをハンガーで見届けていたホーク、エリック、フィーの三人は発進準備のため、それぞれ自分の機体に

 搭乗してコントロールからの命令を待つことにした。

 その待機の間、エリックはレナのことについてフィーに気になったことを聞いてみた。

 「なあフィー・・・今日のレナなんか変わっていたよな?」

 「そうね、どことなく楽しそうって感じがしたけど・・・」

 機体の最終チェックをしながらフィーは答えた。

 「なんか良い事でも有ったのかな・・・」

 「う〜ん、どうなのかしらねぇ〜・・・ねえ、ホーク?」

 「はあ?」

 いきなり話を振られて間抜けな返事をしてしまうホ−クに、フィーは続けて話しかける。

 「だって昨日の夜、二人で一緒にデートしてたんでしょ?」

 「な、なんだって〜!」

 エリックの叫び声を聞いて、ハンガーにいた整備員達がホークの機体を取り囲む様に群がり始めた。

 「おい、本当なのか?」

 「おまえここに来たばっかりのくせに・・・」

 「レナちゃんと何してたんだ!?」

 「さあ、正直に吐け!」

 「え、ええっ!?」

 来たばっかりのホークは知らなかったのも無理はない、レナは整備員達の間ではもはやアイドル以上に

 人気が有り、抜け駆けは許さないなどとみんなで誓い合っていたぐらいだ。

 そのレナが来たばっかりの新人と一日目でデートなどと聞いたら、当然嫉妬や妬みの嵐が吹き荒れても

 可笑しくは無いのである。

 「さあ、洗いざらいしゃべって貰おうか!」

 みんなの代表なのかエリックは自分の機体からわざわざ降りて、ホークの座っているコクピットまで

 よじ登り両肩をがっちりと掴んで放さなかった。

 「い、いや偶然、滑走路脇で会っただけで・・・」

 「嘘じゃないだろうな?」

 「だから言ってるだろう、偶然なんだって」

 「むむぅ〜・・・」

 それを聞いてもみんなはどこか納得出来ないと言った顔で、ホークの事を睨み付けていた。

 「勘弁してくれ・・・」

 そうホークが呟いた時、コントロールからの連絡がハンガーのスピーカーから聞こえた。

 「レナ機より連絡、『目標確認ただちに攻撃部隊の発進を要請します』との報告が有りました、待機中の

 攻撃部隊は至急出撃してください」

 「ほら、出撃命令が出たから自分の機体に戻れよ」

 「よし、続きは帰ってからじっくりと聞かせて貰おう、みんなもそれでいいな?」

 「「「「おう」」」」

 エリックの言葉に整備員達は大きく肯くと、自分の持ち場に戻って仕事を始めた。

 「ふふっ、モテモテじゃないホーク♪」

 「はぁ・・・」

 フィーにからかわれても、ホークは額を押さえて天井を見上げてため息をつくしかなかった。






 今回の作戦の目的は、ニューコム側がゼネラルリソースの航空機に対して電波妨害行為が行われているとの

 情報が入り、そのためにこれ以上両陣営の衝突をエスカレートさせないためにも、妨害電波基地の破壊をする

 との決定がされた。

 そしてその基地の近くで本隊の到着を待っていたレナはホークの事を考えていた。

 「くす・・・」

 なぜか彼の事を思い出すと自然に微笑むようになった自分が可笑しく思えたので、ついつい笑ってしまう。

 「くすくす・・・」

 しかしそれは戦場では命取りになる事を忘れていた。

 びーっ。

 「はっ、ミサイル接近中!」

 レーダーの警告音にレナはプロペラントタンクを外すと同時に素早くスティックを右に倒して、そのまま

 旋回してミサイルを振り切った。

 かろうじて回避したレナの前に、どこから現れたのか多数の戦闘機が出現していた。

 「いったいどこから現れたの?」

 その疑問は相手の機体を見て、瞬時にその答えを導き出した。



 「AFV8S、ハリアーV・・・」



 レナの顔は険しくなって相手を睨み付けると、上昇して高度を稼いでドッグファイトに持ち込む作戦に撃ってでた。

 「何とかしてみせる!」

 上昇していくレナのフランカーを追って、獲物を見つけたはげ鷹のごとくハリアーVは襲いかかった。

 1対16・・・先日のホークが相手にした数より多かったが、それよりも地上から飛んでくるミサイルまで

 注意しなければならないレナの方がかなり危険だった。

 そのために高度を上げて、ミサイルを食らわないように考慮したのである、それにハリアーVは高々度戦闘に

 向かないのをレナは知っていた。

 元々、垂直離着陸機であるハリアーVはスピードは大したことが無いので怖い訳ではなかった。

 それに、レナの機体は最新鋭のスーパーフランカーでありそのパイロットも最高の腕を持った一人だから、

 ドッグファイトになれば十分勝算があった。

 ホーク達が到着するまで後15分、レナの孤独な戦いが始まった。






 NEXT 翼を持つ者 第三話 仲間



 遅ればせながら第二話です。

 今回の話はゲームのMISSION2の話です。

 知っている人は笑ってください。

 ちょっとだけレナ素性と主人公の触れ合いを書きました。

 次はレナのドッグファイトです。

 果たして彼女はこのピンチをどう切り抜けるのか?

 今回の敵はハリアーです、これは有名な戦闘機で知らない人はいないですね。

 フォジャーと並び垂直離着陸出来る機体で横に飛んだりバックも出来るんです。

 確かシュワルツェネッガーが乗っていた映画が有りました、みんなで見てみましょう。

 そろそろライバルになる人も出さないとって考えています。


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