ACE COMBAT V electrosphere

 ANOTHER STORY






 翼を持つ者 



 第四話 「休息」






 「レナ、後少しだからがんばれ!」

 「あ、うん」






 戦闘の疲れか時折基地へのコースが外れるレナに声を掛けて励ますホークだが、同時に無線をオープンにして

 呼びかけた。

 「コントロール、こちらホーク」

 「こちらコントロール、感度良好どうぞ」

 「現在レナを連れて基地に帰還中、燃料はぎりぎりだ」

 「了解、緊急着陸の体制を整えて待機する、グッドラック!」

 「了解」

 無線を切ってレーダーに注意しながら、周囲に目を凝らす。

 「さてと、送りオオカミが出なければ良いんだけどな・・・」

 バルカン砲の残弾は充分に残っているが、さすがのホークもアフターバーナー全開で飛んでいた為、

 レナと同じぐらい燃料を消費していた。






 ピーッ。

 安易な思いはレーダーの無粋な音に消え去り、ホークは気を引き締めた。

 「ちっ、来やがったか・・・三機か、手間取るとレナがやられるな」

 ホークの目にこちらのコースを塞ぐように敵機は向かってくるのが確認できた。

 口元に酸素マスクを引き寄せて、スロットルレバーを押し込むと敵機に向かって攻撃を仕掛けた。

 「ホーク?」

 「レナはそのまままっすぐ飛び続けろ!」

 「でもっ」

 「いいから行くんだ! レナの任務は基地に無事に戻ることだ!」

 「ホーク!」

 ホークのファントムに合わせた様に敵機も散開しながら向かってくるのがレナの目にも写った。

 「死なないで、ホーク」

 その小さな呟きがホークに聞こえたかどうか、今の彼女には知る術が無かった。






 ホークの反応の方が若干早かった為に三機の内二機は固まったままだったので、狙いをそちらに定めると

 スティックを倒してフットペダルを踏み込む。

 「ミラージュYか・・・何とかなるかな」

 性能的にはほぼ同じだから勝算が確信になった、これがもっと新しい最新鋭機だと苦しかったのは否めなかった。

 敵機が旋回運動に入った時ホークはスピードを殺さずに輪の内側に入るとスナップアップさせて敵機の後方に

 ぴたりと着けるとトリガーを引いた。

 「あばよ」

 ヴォオン。

 ドカカカッ。

 ファントムの機首下部に有るバルカン砲からまっすぐ敵機に向かって銃弾が吸い込まれていった。

 サイトの中で機体の破片をこぼしながら錐もみしながら火を噴いて落ちていく敵機が見えると、

 すぐに次の獲物を求めて周りを確認すると、一番近い敵機に向かってファントムを横滑りさせて最短コースを

 取ると燃料計を横目にスロットルを絞り込んだ。

 「よし!」

 味方の爆発を避けて旋回していく敵の後ろに着けるとサイトの中に必死になって逃げる姿が入り込んだ。

 機体を右に左にと死にものぐるいで避けようとしているが、ホークはしっかりと捉えて逃がさない。

 「悪く思うなよ、おまえが向かってきたんだからなっ」

 トリガーを引くと目まぐるしく残弾カウンターが回転する。

 そしてその分吐き出された弾丸は敵機の機体を砕き、破壊していく。

 三機の内二機はホークの手によって屑鉄になって地面に落ちていった。

 「後一機!」

 しかし短い戦闘時間で有ったにも関わらず、その最後の一気はホークの後ろに回り込みつつあった。

 「まずいっ? 後ろに張り付かれるな・・・くそっ!」

 「ホーク!?」

 「俺にかまうなっ、まっすぐ基地に迎え!」

 「で、でも・・・」

 「こんなのすぐに片付けてすぐに帰るから気にするなっ、いけ!」

 「必ず・・・」

 「おうっ」

 ホークの言葉を信じてレナはまっすぐ基地に向かって機体を飛ばし続けた。






 「来ました、レナ機です!」

 「よし、緊急着陸の準備は?」

 「OKです」

 「よし・・・レナ、こちらはいつでもいいぞ!」

 「了解、着陸態勢に入ります」

 基地からのビーコンを捕らえて着陸コースに機体を乗せると、徐々に高度を下げていく。

 「レナ、左に機体が流れているぞ! 注意しろ」

 「了解」

 「・・・よし、そのまままっすぐ来い」

 「了解、アプローチ開始します」

 ランディングギアを出して機首を上げてフルパワーでレナのフランカーは綺麗にタッチダウンを決めると、

 その後を追って待機していたスタッフの車が後を追いかけて走り出した。

 レナはスロットルを絞りブレーキをかけて機体を静止させるとエンジンをカットした。

 「ふぅ・・・」

 その瞬間、彼女の意識は途切れてしまい救急隊員の手によって医務室に運ばれていった。

 「ホークはどうした?」

 「レーダーに反応有りません、通信途絶えています」

 「そうか・・・攻撃隊もすぐに戻ってくるから警戒を怠るな」

 「は、はい」

 司令の顔がわずかに強ばったのをオペレーターは気がついたが、すぐに指示を出されたのでそれ以上は

 何も言えずに仕事に戻った。

 「死ぬなよ、ホーク」

 騒がしいコントロールセンターの中で司令の小さな呟きはすぐにかき消されてしまった。






 「・・・う・・・ううっ」

 レナはゆっくりと目を開けると少しだけぼーっとしてから辺りを見回してここがどこか理解できた。

 「医務室・・・あっ、ホーク!?」

 ベッドの上で体を起こした瞬間、目眩がしてふらついた体を支えているとそこにフィーとエリックが

 部屋の中に入ってきた。

 「レナ、大丈夫?」

 「そうだぜ、無理するなって」

 「フィー、エリック・・・」

 「今はゆっくり休んでね」

 「そうそう」

 フィーに諭されレナはベッドに体を横たえると、一番気になっている事を口にした。

 「ホークは?」

 「あ・・・そ、それは・・・」

 「まだ帰ってきてない」

 「エリック!?」

 「隠したってしょうがないだろう」

 咎めるように睨んだフィーの視線を正面から受け止めてエリックは言葉を続ける。

 「俺たちが戻ってきてからもあいつからの連絡はない」

 「・・・そう」

 その言葉が何をもたらしたかレナには解ってしまう。

 「レナ・・・」

 心配そうに声をかけるフィーにレナは目を閉じてから、呟いた。

 「休みます」

 二人が挨拶をして部屋を出ていくと静かになった医務室でレナの頭の中に、ホークと交わした最後の会話が

 繰り返し聞こえていた。

 『俺にかまうなっ、まっすぐ基地に迎え!』

 『で、でも・・・』

 『こんなのすぐに片付けてすぐに帰るから気にするなっ、いけ!』

 『必ず・・・』

 『おうっ』






 「ホーク・・・」






 声こそ出さなかった彼女だが、閉じた目から涙がこぼれ落ちた。






 NEXT 翼を持つ者 第五話 帰還


 かなり間が空いてしまいましたが第四話です。

 前の後書きの内容と違ってしまいましたが、この部分は書きたくなってしまったので

 こうなりました。

 なんかシリアスな展開で終わってしまいました・・・あれ?

 ほのらぶもどたばたも無いですね・・・どうしましょう?

 さて、次こそはほのらぶをめざしてがんばります。


 戻る
 

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル