その28.光学センサの周運動実験
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1.夏らしく・・・

 万が一、タイトルで勘違いして夏休みの自由研究のネタを探しに来た人が居ると困るので、そういう自由研究っぽい、自由工作っぽいネタをやってみようと思う。

 というのはもちろん冗談だけど。

 それにしても、このページも気がつけば1年以上継続してしまった。
 当初は、こんなに内容を増やすつもりも無く、ストリームの改造だけで終わらすつもりだったんだけど、イロイロと疑問点などが出てきて止められなくなった。
 特に三猫さんの記事には、とても触発されるし勉強になる。
 触発されて実験してみた結果、否定的な結果が出たりもするけど、実験のネタを提供してくれる事には大変に感謝してます。

 という訳で、今回も三猫さんの記事を読んで思いついた実験です。

2.実験の目的と仕様など

 目的は、回転する面をマウス用の光学センサで見た時のデータの取得。基本的に直線的な動きが想定されている(と予想される)光学センサをトラックボールで使用した時に、回転軸の傾きに何処まで対応しているのか、を考察するのが目的。

 実験方法は、レコードのターンテーブルの上にホームセンターで買ってきた発泡樹脂のボードを載せて、その上にマウスを固定して、ターンテーブルを33回転で回す。

 測定位置は、マウスのセンサが回転の中心にある状態を原点0として、X座標、Y座標がそれぞれ(a,0)(a,a)(0,a)(a,-a)(0,-a)(-a,0)(-a,-a)(-a,a)の8点。aがそれぞれ1mm・3mm・6mm・10mm・20mmの場合で、原点を含めて合計41点で測定する。
 各ポイントでマウスからの信号を、汎用USBドライバとマウス信号を表示するソフト(「USBハード&ソフト開発の全て(CQ出版社)」に収録されたもの)を使ってx,yそれぞれを数値として読み取り、50ms置きに100サンプルしたものを1データとした。

 使用したマウスは、サンワサプライのトラックボールマウス(MA-TB33UPG)で、光学センサはアジレントのHDNS-2000(多分)。
 因みに、前回のターンテーブルを使った実験より、こっちの方がずっと前から構想してた。
 つまり、こっちが本番な訳だけど、前回の失敗を踏まえてイロイロとクオリティアップ?してるつもり。
3.仕様の補足など

<位置はかなり適当>
 ご覧のような固定方法なので、位置については絶対的にも相対的にもあまり精度は高くありません。座標軸自体が斜めにずれてるような塩梅なので、データの信頼性についてはまあ雰囲気だけというレベル。
 そもそも”中心”をどう求めたかという辺りからして怪しい。
 マウスを上側から見た時にセンサの中心が何処に有るのか、なんて良く判らない(ちゃんと計れば良いんだろうけど、四角いモノでも無いし)ので、画面のカーソルがだいたい止まった辺りを中心としたの。
 ・・・てことは、ほぼカーソルが止まる点が存在する事が判った、という事にもなってしまうんだけど。

<実験の幅は狭い>
 本来なら、センサの種類とか対象面の種類とか取り揃えて実験するべきなんだろうけど、データを取るのがかなり面倒なので、取り敢えず一つの条件で実験してみた。
 一応、ポイント数を減らしてボードの上にアルミホイルを被せて実験してみたんだけど、材質による差なのか、形状による差(どうみても平滑度が悪くなった)なのか判らないので、イマイチだった。
 この辺、さらに実験を継続するのなら、条件の幅をキチンと評価すべきだろう。

<平面と球の関係が良く判らない・・・>
 この実験のきっかけとなったストリームの操作球は直径40mmなので、赤道は約120mmだけど、センサが赤道を通った場合は軌道の曲がりは無くて、直線運動と同じになる(のかな?)。
 ストリームを普通に操作すると、軸とセンサの傾きが約60度という想定だけど、その場合の軌道の曲がり具合を平面に落とすとどうなるんだろう?直径20mmの円周・・・じゃないよな。
 図形とか地図とかに詳しい人、教えて下さい。
 アルミホイル上で計測している様子。

 もっと平らなものでやらないと意味無さそう。
4.取得したデータなど

 かなり大量のデータを取ったので、全部載せると大変な事になる(し意味無い)ので、とりあえずセンター位置のデータだけ載せてみる。
 因みに、右端はデータを取得した時間だけど、あんまり大した意味は無いです。
 これで、カーソルを見てると(データ取得中は動かないけど)ウニウニと微動していく感じになる。 
X Y X Y X Y X Y
16:42:58 -1 0 16:43:00 1 1 16:43:01 1 1 16:43:02 0 1
16:42:58 -1 0 16:43:00 0 1 16:43:01 -1 0 16:43:02 -3 -2
16:42:58 0 1 16:43:00 -1 0 16:43:01 -1 0 16:43:02 1 2
16:42:59 -1 0 16:43:00 -1 1 16:43:01 -1 1 16:43:02 0 1
16:42:59 0 -1 16:43:00 -1 0 16:43:01 -1 0 16:43:02 -1 0
16:42:59 -1 0 16:43:00 0 1 16:43:01 -1 0 16:43:02 0 -1
16:42:59 -2 0 16:43:00 3 1 16:43:01 1 0 16:43:02 1 1
16:42:59 1 0 16:43:00 -1 -1 16:43:01 -1 0 16:43:03 -1 0
16:42:59 0 -3 16:43:00 -1 0 16:43:01 1 1 16:43:03 -1 0
16:42:59 -1 0 16:43:00 1 0 16:43:01 -1 1 16:43:03 -1 0
16:42:59 -1 0 16:43:00 -1 1 16:43:01 -1 0 16:43:03 1 -3
16:42:59 0 -1 16:43:00 0 -1 16:43:01 1 0 16:43:03 0 -1
16:42:59 -1 0 16:43:00 2 -1 16:43:02 -1 -1 16:43:03 1 -1
16:42:59 -1 -1 16:43:00 -1 1 16:43:02 2 -1 16:43:03 1 -1
16:42:59 -2 1 16:43:00 0 -1 16:43:02 -1 1 16:43:03 2 0
16:42:59 0 -1 16:43:00 -3 1 16:43:02 1 0 16:43:03 -1 0
16:42:59 -1 1 16:43:00 1 1 16:43:02 -1 0 16:43:03 1 1
16:42:59 0 1 16:43:00 -1 5 16:43:02 -1 0 16:43:03 -1 0
16:42:59 1 -1 16:43:01 -1 0 16:43:02 1 -2 16:43:03 -1 0
16:42:59 1 0 16:43:01 -1 -1 16:43:02 -1 0 16:43:03 1 0
16:42:59 -1 -1 16:43:01 -2 0 16:43:02 -1 0 16:43:03 1 1
16:42:59 -1 0 16:43:01 0 1 16:43:02 0 -1 16:43:03 1 0
16:42:59 1 1 16:43:01 1 -1 16:43:02 2 -1 16:43:03 -1 0
16:43:00 -1 0 16:43:01 -1 0 16:43:02 3 1 16:43:03 2 0
16:43:00 0 -1 16:43:01 -1 0 16:43:02 1 1 16:43:03 1 1
 このデータから最大・最小値と平均値・標準偏差をエクセルで計算して、だいたい測定位置辺りに配置した表が下のもの。測定位置の単位はmmで、最大・最小・平均値は信号の値そのもの。
 表のまま貼るととても重そうなので、画像にして貼ってます。

 なお、全データ中一ヶ所だけ明らかに異常な数値が出ている部分(5個くらい連続でXY両方)が有ったのだけど、マウスが浮いてしまった可能性も有るので、そこだけネグってます。ていうか、再測定すれば良いんだけど、同じ位置に持って行ける自信が無いので。
 そこ以外はデータの暴れみたいなモノは特に見られない。  

 それから、アルミホイルのテスト結果も中心ポイントのものだけ、一応貼っておきます。
発泡ボード アルミホイル
測定位置 0 0 測定位置 0 0
X軸 Y軸 X軸 Y軸
最大値 3 5 最大値 9 6
最小値 -3 -3 最小値 -5 -8
平均値 -0.17 0.04 平均値 0.19 1.09
標準偏差 1.17 1.02 標準偏差 2.23 2.15
6.考察

<注:考察は初版から、全体的に追記・書き足ししました>

 今回のレベルの実験からでは、光学センサーに対する周運動の影響を評価するのは難しい。
 軌跡が曲がっていようと直線だろうと、単純に移動量をリニアに出力してくるようだし、データのばらつきも操作性に影響するほど大きいようには見えない。

 というか、今回知りたかったのは、光学センサーの特性により操作球の極付近の挙動の乱れが有って、人間の操作に影響を及ぼす程大きいか、大きいとすればどんな挙動か、という事なので、大した影響が無さそうという事が判ればそれはそれでOKだったりする。

 もし、このテーマをさらに追求するとすれば、直線的な運動と周運動を同じ条件で比較するため、速度を一定にして周の直径を変えてデータ取得する必要があり、なおかつ精度も大幅に向上させないとダメだろう。
 そんな実験環境を作るのは、とてつもなく大変そうで、挑戦してみようという気も起きない。

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