モノローグ4th

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主人公「赤碕翔」のモノローグです。
役得なのか、文章は質、量ともに圧倒的。芸術の域に達しています。

冗談にしか見えねえが……
シナリオライターは本気のようさ……

ゲーム界の極北に燦然と輝くモノローグを、ここに一挙掲載!




沢木の事故から……
幾つかの夜を数えた

……アイツの容体は
変わらなかった……

それがいいことなのか
悪いことなのか……

誰にも……
判断はできなかった

……それぞれの想いを抱えて……

……俺達は、久々に……
TEAMで集まることになった

…………藤沢先輩から
大事な知らせがあるっていう

山田は電話で
早くみんなの顔が見たいって
言ってた……

傷の舐めあいはまっぴらだが……
藤沢先輩の強い言葉が聞きたい

……その気持ちは
誰もが一緒のようだった

そうさ……俺達は
押しつぶされそうになってたんだ

……底知れぬ不安ってヤツに……


(横浜GPに関する藤沢の演説)


誰もが、わかってた
藤沢先輩が無理して
俺たちを励ましてるってこと

だから、嘘でもいいから
応えてやらなきゃならないってこと

−−−−−−−−−−−−−−−−−

自分ではどうしようもない
大きななにか…運命ってやつを
変えていけるのは
一握りの人間だ

横浜GP……………
勝つためのチャンスをつかむ
誰にでもできることじゃない

俺たちがほんとに欲しかったのは
沢木のことを忘れられるチャンス
そうさ………

ちっぽけな夢物語を
本気で信じるほど
俺達は子供じゃねえんだ

横浜GP代表決定戦……
馴れ合いのチーム走行
なんかとは違う……

……勝つのは、たったひとり……

胸騒ぎはしてた
奇跡なんて簡単には
おきやしない

浮かび上がる誰かがいるなら
沈んじまうヤツがいる

運命を操る神様がいるとしたなら
そいつが笑ってた

沈んじまったら
そのままOUTさ

ここまで走ってきたんだ
暇つぶしの時間は過ぎた

俺はアクセルを踏み込む
最速の彼方へ

俺の腕がステアリングをにぎる
俺の足がアクセルを踏み込む

俺の意志で……
スタートラインを越えていく

身体の震えも
気持ちの震えも
俺のものだった

つかめそうな気がしたんだ
ちっぽけなチャンスを

−−−−−−−−−−−−−−−−−

不自然にでかい声のいらっしゃいませ……
いつものGS・MIRAGE……

そのはずだった……
だけど……………

似合わない深刻な顔をした難馬さんが
俺を待ってたんだ……

−−−−−−−−−−−−−−−−−

……星に一番近い場所……

……そんな陳腐なコピーで
宣伝されてたこともあった……

MARINE TOWER……
今夜は輝きを増して見える

無意識に訴える……
宣伝効果ってやつさ

−−−−−−−−−−−−−−−−−

星に願いをキャンペーン……

観覧車前で配ってたチラシが
風に吹かれて舞い上がる

……星に願うくらいで
なにかが起きるのなら
世の中は簡単さ

なあ、沢木……
お前の病室からも見えてるのか?

幾多の願いの消えていく
この星空が……

−−−−−−−−−−−−−−−−−

……今夜も観覧車は
回り続ける……

止まっちまったら……
OUTさ

意味を考えちまう

続けることの意味をな

回り続ける意味……
走り続ける意味……

生き続けることの意味……

そうさ……
回り続けるのが……
ひとつの答なのさ

−−−−−−−−−−−−−−−−−

……辻本は今夜も
病室を見上げてた……

声をかけようにも
俺はどんな言葉も
持ち合わせちゃいない

X1800のハザードの点滅だけが
なにかを堪えるように
辺りを照らしてた……

−−−−−−−−−−−−−−−−−

藤沢先輩のRS2000tb……
今夜は透明な星の光を浴びて
寝静まってる

部屋の灯りは消えてる
一時の休息……邪魔をするわけには
いかないだろ

−−−−−−−−−−−−−−−−−

傷ついた痛みを紛らわすための走りを
続けてるだけじゃ……
よけいに麻痺しちまう……

俺は夜の映るJHONNY’Sの
ウインドウに向かって
つぶやいてた……

……反射する街の光の中に……
ぼんやりと……
俺の顔が映りこんでた……

−−−−−−−−−−−−−−−−−

今夜のJHONNY’Sは
やけに騒がしい……

運ばれてきた黒い液体に顔を上げると……
店内の様子がいつもと違うことに
俺は気がついた……

店の喧噪に
閉じていた意識を促せば……

聞こえてくるのさ…………

「ねえねえ!
このポスター見た?
横浜Grand Prix!!
かっこいいよね」


「で、なにこれ?
WON−TEC?」


「あ、それそれ
公式スポンサーっていうの。
そういうやつらしいんだけど」


「ふ〜〜〜ん」

JHONNY’Sの
TONIGHT’S SPECIALは
『横浜GP』…………

しばらくは人気のMENUって
ことさ……

「で、最近どうなのよ?」

「横浜GPが開かれるってんで
チーム同士の対抗戦が
活発になってるな」


「誰が出るのかしらね?
Southだと……
やっぱり藤沢さんか
辻本さん…かしら?」


「Northは……
桜木町GTの川崎鉄史か
高島VRのフレディ・ロバーツか…」


「ま、その辺が本命だろうな…」

−−−−−−−−−−−−−−−−−

JHONNY’Sの店内は
横浜GPの噂で
お祭騒ぎさ……

……GrandPrixRACE……

すべての走り屋にとって
夢の饗宴…………

その頂点は、チェッカーを受け
表彰台に上がること……

……勝利への幻想…………
それもまた
RACEの醍醐味ってことさ

−−−−−−−−−−−−−−−−−

……車を停めてるものはない……

ここを通過する車にとっては
ただの道にすぎないんだ

沢木の事故ったこのコーナーも……

だけど……俺は……
ここに来ると……
スピードを落としちまう

…………沢木……
お前がコーナーの向こうから
走ってくる

そんな気がするのさ

−−−−−−−−−−−−−−−−−

FMBAY21にあわせた
CAR RADIOが……
何度も繰り返してる

……今夜は、今世紀最後の
大流星群の夜だっていう……

……星の降る夜……

……どこかで星が散ったとしても
いつもの空さ……

そうさ、俺たちにとっては……

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星に……願うこと……
祈りをささげること……

……できるだけでも
幸せだって……

そんな風に思える夜さ

そうさ…………
空に幾千の星があるのは
幾千の願いを受け止めるため

俺はなにを願うのか……
この夜に……

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WON-TEC……

限られた市場に
新規参入したばかりの
パーツメーカー

横浜GPの
スポンサー企業だって話さ

走り屋夢の祭典……

派手に盛り上がるのも
『金』次第……

興奮を駆り立てる前宣伝と
刺激的な売り文句

夢の舞台裏は
そんなもんだろ

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NorthYOKOHAMA……
PickUpシケイン……

俗称……
……ナンパシケイン……

誰かのそばにいたいヤツ……
誰かに連れ去ってもらいたいヤツが
夜毎、集まる曲がり道のコーナー

……出会いと別れの有効期限は
一夜限り……

こんなところでも
飛びぬけるためにはとびきりの
Tuneとテクニックが必要さ

誰より目立ちたいヤツラが
自慢の腕を見せにきてる……

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……ここは変わりつづける未来都市……

……星の数だけ人をひきつける……

NorthYOKOHAMAの
巨大な道標……

LANDMARK TOWER……

この街の走り屋が集う摩天楼さ……

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NorthYOKOHAMA
唯一のCARSHOP……

きっと掘り出し物が
眠ってるはずさ……

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NorthYOKOHAMA……
あの街には、速い奴が眠ってる
そんな気がするのさ

だが……そいつが今夜現れるとは
限らない

そうさ…………

そうさ、今夜の走りはここまでさ

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