9thNight
Endless Nightmare


-3-



石川弟と別れた後、翔はベイラグーンタワーにやってきていた。
犯罪者は犯行現場に戻るという心理なんだろうか?
ここを含むBayLagoonショートコースは、難馬や沢木、藤沢が事故を起こし、更に初めてDiabloTuneと遭遇した場所でもある。
そういえばBLOOD REDSと会ったのもここだっけ…
新しい出会いのある場所…と言ってもいいのだろうか。


ふとタワーの前を見ると、そこには異様な形のクルマがハザードを出して止まっている。
特徴的なテールから、それが33type‐Rだと辛うじてわかる。
と、その33Rから降りてきた男が、話しかけてきた。

「会いたかったぜ?SouthYK…BLRの赤碕。横浜GP総合1位……横浜最速の男……」

向こうがこちらの自己紹介をしてくれた。親切な男だ。

「自己紹介が遅れたな。オレはC1‐RoadStars楠木。 横浜GP・TOKYO代表……」

ああ…そう言えば、そんなのが横浜GP決勝に出ていたような。
遅いんで憶えてなかった。

楠木「あんなお祭りRACE程度でうぬぼれるなよ。祭りで踊れるのは、しょせんMONKEY DANCE……」

負け惜しみ…なんだろうな。当然の如く。

楠木首都高は、STREETに張られたSPIDER'S NEST……最高に速い獲物を引きつけ……そして二度と離しはしない……。
そしてオレたち走り屋は、クルマという鋼のWEPONで武装した、STREET WARRIOR……首都高は、戦場のHOTLINE……SPEEDに飢えたオレたちの最前線なのさ……」


長い!
一体何しに来たんだお前は。演説したいなら昼間の東京駅でやったらどうだ。
せっかくハマの演説大王が入院して静かだというのに。

「一体何が言いたい……?」

楠木「最高の戦士は最高のパートナーを探してる。オレたちC1‐RoadStarsは
関東最速のメンバーをそろえ……そして
首都高を征する……!」


首都高を征する……!なんて、高らかに宣言されてもねぇ…
全くどいつもこいつも、横浜最速といい箱根の皇帝といい、
ローカルチャンプにこだわるのは何故だ?

どうせなら日本最速とか、世界を征するとか、言葉だけでも言ってみたらいいじゃないか。
…こいつらにとっちゃ、横浜とか首都高が全てなのであって、
世界なんて眼中にないのだろうか。ある意味カッコいい…か?

楠木「……『関東最速UNIT』……TEAMの枠にとらわれない最強の軍団を結成するのがオレのplanだ……。
お前もUnitMember候補の一人……興味があったら今夜、newC1‐HIGHWAYのDAIKOKU P.Aに来い。
楽しみに待っているぞ…赤碕……」


石川弟が言っていたのはこれか。
に、しても石川兄も誘われているとは…こいつの目は節穴だな。
九分九厘、このplanは失敗すると言ってしまおう。


「興味があったら」と楠木は言ったが、興味がない翔は、すぐに箱根へ向かうようだ。哀れ楠木。
だが、NothYokohamaの料金所から第三京浜に入ろうとした時、料金所のオヤジが立ち塞がった。

「お客さん、走り屋さんだね? 最近HIGHWAYが開通したの知ってるかい?
お客さんも行ってみたらどうだい?すぐそこの高速から行けるんだ。

箱根へはあとでも遅くないって!

だー!いつから走り屋の手先になったんだ、日本道路公団!

つまらんところでRPGっぽいのが腹立たしいというかなんというか……





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