究極VS至高
第15集/第1話「究極VS至高」の対決において山岡は初っぱなからへまをやらかしてしまう。しかし結局、海原と唐山老のおかげで面目を保つことができた。
帰りの車中で海原は「おまえのおかげで士郎の面目が立った」(P.70)と唐山老にいわれる。その言葉に対して海原は「奴のことで先生に礼を言われる筋合いはありませんよ」(P.70)と言い、寂しそうに窓の外を眺め「ふ・・・士郎の奴めが・・・・・・・・・・」(P.70)と漏らす。
「究極VS至高」のはじめから山岡に対する感情を高ぶらせる海原だが、その次の「対決!野菜勝負」(第16集/第5話)では、ついに山岡に対する愛情が大暴発してしまう。
この話ではキャベツ・カブという二つの材料で勝負がなされた。そして最初のキャベツ対決は、山岡のボロ負けで終った。次のカブ対決でも最初に出された海原のカブ料理に山岡は真っ青になってしまった。
このとき、山岡のビビりまくっている顔とそれを心配そうに見つめる栗田さんの表情が素晴らしいのだが、それにもまして興奮せしめられるのが海原である(P148)。
彼はすごい形相で山岡を見つめると、自分のカブ料理を口にし、「海原雄山、不覚をとった」(P.149)と言い、自分の料理のガブの風味が抜けていることを訴え、勝負を後日に延長したのである。さすがの山岡も海原の愛情表現に気づき、「懐柔しようとしても、そうはいかないぞ!」(P.156)と海原の前で強がるが、海原は、自分の行為の目的が山岡を徹底的にたたくことによって再起不能にすることにあると言葉巧みに発言し、「わあっはっはっは、ほざけ負け犬がっ!」(P.160)などと山岡に嘲笑を浴びせるのである。
山岡に対して過剰な愛情を持っているが、それが発覚するのが嫌なのでついつい逆の態度をとってしまう海原。彼はついにこの時点で「臭すぎて爆笑」型キャラクターの頂点を極めたのであった。
その後も海原は、山岡の活躍が死ぬほどうれしいくせに、「ふ・・・」(第21集/P.85)などとすかした態度をとったりしながら、人情路線を進んでいく。しかしやがてその路線は、小娘の域を脱しつつあった栗田さんによって徹底的に破壊されることになる。