ハマの一発病魔神
横浜ベイスターズの森新監督は大胆なチーム改編をおこなった.
金城のコンバート,波留のトレードなどであるが,
やはりその目玉は斎藤隆をストッパーに指名したことだろう.
しかし,斎藤隆は抑えに向いていないのではないか.
すばらしい速球,スライダー,制球力を持ちながら,
試合の要所で不用意な球を投げ,被弾し敗戦投手となる姿を何度も見て,
どうも気持ちが弱い選手だという思いを持っていたからだ.
シーズンももうすぐ半ばにさしかかる.
はたして斎藤隆はストッパーとしてふさわしいのか,
ここまでの成績を見てみることにしよう.
試合日 | 敵チーム | 成否 | |
4/1 | ヤクルト | ○ | 3-0の9回2死1,3塁で今季初登板.一発出れば同点のピンチも古田を三球三振で1998年以来の自身2セーブ目. |
4/7 | 阪神 | ○ | 5-2の9回.三者凡退でセーブ. |
4/11 | 広島 | ○ | 7-3の9回.セーブはつかない場面も3人でぴしゃり. |
4/14 | 巨人 | × | 2-1の9回から登板.2死とるも仁志にソロアーチを浴び同点.延長10回森中が松井にサヨナラホームランを打たれる. |
4/15 | 巨人 | ○ | 5-4の8回から打者6人パーフェクト.今季初勝利. |
4/21 | 巨人 | ○ | 4-3の9回.ランナー出すものの3セーブ目. |
4/28 | 中日 | ○ | 5-3の9回三者凡退でセーブ. |
5/1 | ヤクルト | ○ | 5-0の延長11回.3人ぴしゃり. |
5/5 | 巨人 | × | 2-1の8回.2死後松井,マルティネス,高橋由伸の3連打で同点.小宮山の勝ちを消す.その裏,小川の犠飛で勝ち越し.9回は三者凡退に抑え勝利投手に. |
5/9 | 阪神 | ○ | 4-2の8回から登板.8回裏に味方が3点とって5点差に.楽になった9回は三者凡退.5セーブ目. |
5/15 | 中日 | × | 1-0の8回.8回は抑えるも9回福留にソロアーチ浴び同点.延長10回木塚が打たれ,チームは4連敗. |
5/17 | 中日 | × | 7-5の9回.またも福留にソロ打たれ1点差.さらに波留,立浪,ゴメスの3連打で同点.その裏鈴木尚典のサヨナラ打で勝利投手に. |
5/22 | 広島 | ○ | 5-1の9回ぴしゃり.セーブはつかないものの復帰した三浦の勝利をアシスト. |
5/24 | 広島 | ○ | 1-0の9回.2死後,野村二塁打,浅井敬遠で1,2塁も西山を三振で6セーブ目. |
5/29 | 中日 | ○ | 5-3の9回三者凡退でセーブ. |
5/31 | 中日 | × | 3-3の8回.2死とるも山崎武ヒット,荒木二塁打で2,3塁.ティモンズの左前打で2点失い今季1敗目. |
6/2 | 阪神 | ○ | 7-2の9回 無死1,2塁で登板.代打ペレスを右飛,浜中併殺でゲームセット. |
6/10 | 中日 | ○ | 1-0の9回1死で登場.三ゴロ失で出塁を許すも,1点差を守って8セーブ目.横浜は今季初の3連勝. |
6/13 | ヤクルト | ○ | 12-9の8回2死無走者で登場.古田を一飛でチェンジ.9回は岩村内野安打.1死後,連続四球で満塁のピンチ.真中を遊ゴロ併で薄氷のセーブ.29歳のルーキー竹下が初勝利. |
6/15 | 阪神 | ○ | 6-3の9回.桧山を152キロの速球で空振り三振.失策で走者を出すも,星野修空振り三振,代打八木遊ゴロで10セーブ目.6回3失点の先発小宮山は通算99勝目. |
6/20 | 広島 | ○ | 3-3の延長10回に登板.町田,木村拓連続三振.東出遊ゴロでチェンジ.その裏佐伯のサヨナラ打で斎藤が勝利投手に.この東北での対広島2連戦はともにベイスターズがサヨナラ勝ち. |
(成否とは,リードを守りきった時,あるいは同点を維持した時を○とした)
5月の中日戦のころにはいったいどうなることかと心配したが,
ここ4試合はきびしい場面を抑え,ストッパーにも慣れてきたか.
チームは6月に入って9勝4敗と好調だが,斎藤隆の力投が大いに貢献しているようだ.
一発病魔神とは失礼なことを言ってしまった.
では状況別の投球を見てみよう.
試合 | 勝 | 敗 | S | リリーフ成功 | チーム勝利 | 投球回 | 安打 | HR | 三振 | 四球 | 失点 | 防御率 | |
接戦 | 17 | 4 | 1 | 10 | 12 | 14 | 20 1/3 | 17 | 3 | 20 | 4 | 7 | 3.10 |
大差 | 4 | 0 | 0 | 0 | 4 | 4 | 4 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0.00 |
全登板 | 21 | 4 | 1 | 10 | 16 | 18 | 24 1/3 | 17 | 3 | 21 | 4 | 7 | 2.59 |
(接戦というのは,3点以内のリードまたは同点時の登板.大差というのはそれ以外の時.
リリーフ成功とは,リードを守りきった時,あるいは同点を維持した時.
セーブ機会は14.四球は故意四球1をふくむ.死球は0.自責点は7.
成績はすべて6月21日の試合終了時のもの)
被安打,与四球が少なく,奪三振が多いとすばらしい成績だ.
斎藤隆は予想に反して責を果たしているといえるだろう.
かえすがえすも一発病魔神とは失礼だった.
しかしここでひとつの数字を挙げたい.
60試合26勝33敗1分 勝率.441 6位
これはベイスターズの成績だ.
いくらストッパーが好投しても,チームが低迷していてはなんの意味もない.
斎藤隆をストッパーにするという戦略ははたして成功だったのか.
「たられば」は禁物だというが,
故障者続出で崩壊していたベイスターズ先発投手陣に斎藤隆がいたらどうだったろう.
ローテーションはずっと楽になり,リリーフ投手の負担も減っていたのではないだろうか.