テロとともに去りぬ

テロとともに去りぬ

2001年、中日ドラゴンズは外国人野手3人体制で開幕を迎えた。
ティム・アンロー内野手、リー・ジョンボム外野手、オジー・ティモンズ外野手である。
しかし、3人とも期待通りの成績を残せず、打線の迫力不足は明白だった。

そこで急きょ昨年解雇したばかりのレオ・ゴメス内野手を呼び戻した。
4月下旬に復帰したゴメスは、以前と変わらぬ能力を発揮した。

優勝はできないもののAクラス入りがかかる戦いが続く9月。
アメリカ・ニューヨークでテロ事件が起きた。
ボルティモアに住む家族のために、ゴメスは17試合を残して帰国することになった。

ボルティモア豆知識
ボルティモアはニューヨークから南西へ270キロぐらい行ったところの都市。
270キロというとだいたい東京～名古屋間ぐらい。
ボルティモアの人口はおよそ70万人。
ボルティモア・オリオールズという大リーグ球団がある。
ゴメスはオリオールズの一員だった。

では、今シーズン帰国するまでのゴメスの成績を見てみよう。

上の段が実際の成績。
88試合出場で19本塁打だった。
もしも140試合に出ていたら、3度目の30本塁打を達成していた。
それでいて三振はたったの56。
確実な打撃術はまだまだ健在だ。

ゴメスの打撃がどれほど確実なのか見るために、
日本での5年間の成績を463打数あたりに換算した。
それが下の表だ。

本塁打は毎年ほぼ30本と長打力は折り紙つき。
打率はほぼ3割。三振は70個程度と少なく、穴がない。

今シーズンは打率、本塁打、打点で過去2番目のペース。
三振は最も少なく、四球は最も多い。
34歳にして衰えなく、まさに主軸としてふさわしい成績を残している。

気になるのは得点の少なさ。
今年の得点48はあまりにも少なすぎる。
これは前後の打者の力不足のせいだろう。

おそらく来シーズンもゴメスは安定した数字を残すはずだ。
しかし、前後の打者のさらなる援護があれば、
近鉄のローズのような大爆発も夢ではないかもしれない。

最後にゴメスの実際の成績をのせる。
※・・・チは所属チーム。
Balはボルティモア・オリオールズ（アメリカンリーグ）。
ChNはシカゴ・カブス（ナショナルリーグ）。