ペタジーニと小笠原を比較する
ペタジーニ(ヤクルト)と小笠原道大(日本ハム)といえば、球界を代表する強打の一塁手だ。
そんなふたりの比較だから、当然打撃を比べるのだろうと思ってしまう人はシロウト。
クロウトの私はちょっと視点が違う。
なんと守備を比較してしまおうというのだからたいしたものだ。
ペタジーニが来日したのが1999年。
小笠原が一塁手に定着したのも1999年。
以来3年、ふたりはほぼ全試合一塁を守りつづけている。
下の表がその3年間の守備成績である。
ペタジーニの守備成績 | |||||||
年度 | 試合 | 刺殺 | 補殺 | 失策 | 併殺 | 守備率 | RF |
1999 | 131 | 1149 | 124 | 5 | 102 | 0.996 | 9.72 |
2000 | 136 | 1164 | 96 | 5 | 90 | 0.996 | 9.26 |
2001 | 138 | 1261 | 105 | 6 | 109 | 0.996 | 9.90 |
合計 | 405 | 3574 | 325 | 16 | 301 | 0.996 | 9.63 |
小笠原の守備成績 | |||||||
年度 | 試合 | 刺殺 | 補殺 | 失策 | 併殺 | 守備率 | RF |
1999 | 135 | 1222 | 80 | 9 | 106 | 0.993 | 9.64 |
2000 | 135 | 1157 | 67 | 5 | 115 | 0.996 | 9.07 |
2001 | 140 | 1281 | 70 | 4 | 116 | 0.997 | 9.65 |
合計 | 410 | 3660 | 217 | 18 | 337 | 0.995 | 9.46 |
(小笠原の合計は1999〜2001シーズンのみの合計であり、それ以前の成績は含めていない。
また、一塁以外での守備成績も含めない)
1、失策と守備率
ほぼフル出場でありながら、失策は年平均6個程度と堅実だ。
失策しない確率を示す、守備率を見てみよう。
その算出法は (刺殺+補殺)÷(刺殺+補殺+失策) である。
守備率は.996と.995とハイレベルだ。
2、刺殺
ペタジーニの刺殺は3574。
これを試合数(405)で割ると、1試合あたりの刺殺数が出る。
その値は8.82である。
いっぽう、小笠原の1試合あたりの刺殺数は、8.93である。
一塁手の刺殺数とは、味方チームの投手によって左右されると思う。
刺殺とは次のような時に記録される。
敵の打者が三遊間へゴロを打つ。
遊撃手がゴロを捕って、一塁へ送球してアウト。
この時、捕球した一塁手に刺殺が記録される。
味方の投手がゴロを多く打たせるタイプ、つまり技巧派ならば、一塁手の刺殺が増えるわけだ。
逆に、本格派投手ならば、一塁手に刺殺はつきにくい。
三振や飛球の時は、一塁手に関係ないからだ。
そこで私は、1999〜2001年のヤクルト、日本ハムのチーム奪三振を調べた。
ヤクルトのチーム奪三振は2783個。
日本ハムは2477個だった。
すなわち、ヤクルトのほうが本格派投手が多いといえる。
1試合あたりの刺殺数、ペタジーニ8.82、小笠原8.93。
この0.11ポイントの差は、味方投手のタイプの違いから生まれたものだろう。
3、補殺
ここで違いが顕著になった。
ペタジーニの1試合あたりの補殺数は、0.80。
小笠原は、0.53。
ペタジーニが0.27ポイントも上回った。
一塁手に補殺が記録される場面といえば、やはり犠打だろう。
無死一塁で打者が一塁前にバント。
ペタジーニが前進してゴロを捕り、二塁送球は無理なので、
一塁にベースカバーに入った土橋に送球して打者走者はアウト。
この時、送球したペタジーニに補殺がつく。
したがって、チームの被犠打が多ければ、一塁手の補殺も多くなるといえそうだ。
そこで私は3年間のチーム被犠打を調べた。
ヤクルトは313、日本ハムは335。
なんとヤクルトのほうが少ない。
にもかかわらず、ペタジーニの補殺が多いということは、
ペタジーニのほうが守備範囲が広いということだろうか・・・
4、レンジファクター(RF)
最後に、レンジファクター(RF)を見てみよう。
RFは (刺殺+補殺)÷試合 で求める。
つまり、1試合あたりの守備機会であり、値が大きいほど守備範囲が広いといえる。
圧倒的に補殺が多いせいで、ペタジーニが0.17ポイント勝っている。
以上、4つの数値で比較したが、どちらが優れているのか判断し難い。
守備率、レンジファクターで好成績だったペタジーニに軍配を上げたい気もするが・・・
ふたりとも打撃だけでなく、守備でも球界を代表する一塁手である。
と、無難にまとめて終わりにしたい。
(まったくシロウト以下のまとめになってしまった)
最後にふたりの全守備成績を載せる。
ペタジーニの守備成績 | |||||||||
年度 | 守備 | 試合 | 刺殺 | 補殺 | 失策 | 併殺 | 捕逸 | 守備率 | RF |
1999 | 一塁 | 131 | 1149 | 124 | 5 | 102 | 0.996 | 9.72 | |
1999 | 外野手 | 5 | 9 | 0 | 0 | 0 | 1.000 | 1.80 | |
2000 | 一塁 | 136 | 1164 | 96 | 5 | 90 | 0.996 | 9.26 | |
2001 | 一塁 | 138 | 1261 | 105 | 6 | 109 | 0.996 | 9.90 | |
小笠原の守備成績 | |||||||||
年度 | 守備 | 試合 | 刺殺 | 補殺 | 失策 | 併殺 | 捕逸 | 守備率 | RF |
1997 | 捕手 | 38 | 128 | 13 | 2 | 0 | 2 | 0.986 | 3.71 |
1998 | 捕手 | 20 | 27 | 2 | 1 | 1 | 2 | 0.967 | 1.45 |
1998 | 一塁 | 3 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1.000 | 0.67 | |
1998 | 外野手 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0.000 | 0.00 | |
1999 | 捕手 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1.000 | 1.00 |
1999 | 一塁 | 135 | 1222 | 80 | 9 | 106 | 0.993 | 9.64 | |
2000 | 一塁 | 135 | 1157 | 67 | 5 | 115 | 0.996 | 9.07 | |
2001 | 一塁 | 140 | 1281 | 70 | 4 | 116 | 0.997 | 9.65 |