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がんばれ!伊藤智仁

今季のセ・リーグの新人王には、ヤクルトスワローズの石川雅規投手が選ばれた。
ヤクルトからの新人王は、1993年の伊藤智仁投手以来のこと。
このふたりの1年目の成績をくらべてみたい。

  完投 完封 無四 投球回 安打 HR 四球 三振 自責 防御率
石川 雅規 2002 29 12 9 2 0 2 178 1/3 183 20 29 104 66 3.33
伊藤 智仁 1993 14 7 2 5 4 0 109    70 3 35 126 11 0.91

試は試合、無四は無四球、自責は自責点。ふたりともセーブは0。

石川は12勝を挙げ、新人王争いのライバル吉見祐治(横浜)に1勝差をつけた。
1993年は、2年目の斎藤隆(横浜)が8勝、ルーキー鶴田泰(中日)が7勝だった。
しかし、ヤクルトがリーグ優勝したことと、抜群の投球内容をもって、伊藤が大差で新人王となった。

伊藤はシーズン途中でリタイヤしたため、登板試合が14と少ない。
このままでは石川の成績との比較がしにくいので、いつものように換算してみよう。

  試合 勝利 敗戦 完投 完封 無四球
石川 雅規 29 12 9 2 0 2
伊藤 智仁 29 15 4 10 8 0

まずは、伊藤の試合数を石川と同じ29に換算し、勝敗数などをだしてみた。
伊藤は15勝を叩き出し、負け数はわずか4。
今年の最多完投は、上原、井川、黒田の8完投。
完封は、井川、パウエルの4試合がもっとも多い。
伊藤はそのどちらも上回った。

  投球回 安打 HR 四球 三振 自責点 防御率
石川 雅規 178 1/3 183 20 29 104 66 3.33
伊藤 智仁 178 1/3 115 5 57 206 18 0.91

今度は石川の投球回(178 1/3)にあわせて、投球内容を比較したい。
被安打115、被本塁打5は驚異的で、奪三振も200の大台に乗せた。
唯一、石川が優れているのが与四球だが、ストライクゾーンが広がった今年の状況を考慮する必要がある。

と、ここまで、伊藤智仁の成績を石川とくらべながら紹介してきたが、やはりすごい。
まるで、9年前に感じたあの衝撃が、よみがえってくるようだ。
こうなったら、1試合ずつの結果を知りたくなってくるのが人情というもの。

日時 相手 スコア a b c 備考
4/20 阪神 7-2 7    33 8 10 4 2   ヤクルトは2回に5点、5回に2点と順調に加点し、7対2で快勝。伊藤はプロ初登板で初勝利。
4/25 横浜 6-5
(延長11回)
3 1/3 13 2 2 2 0   救援 5回2死から先発高津を救援。延長11回、ハドラーの犠飛でサヨナラ勝ち。
4/29 広島 1-4 4 1/3 23 6 5 4 3   先発するも江藤、前田智に被弾。5回途中3失点で降板。初黒星。
5/4 中日 1-6
(延長10回)
8 2/3 36 8 11 2 1     味方の援護は1点。完封目前の9回2死に同点とされ降板。チームは延長10回に5点取られ負け。
5/12 横浜 6-1 2    7 1 0 1 0   救援 5回を投げきった先発川崎を救援。勝敗つかず。
5/16 中日 1-0 8    31 3 8 4 0   中日新人の鶴田に味方の援護は1点。完封目前の9回無死、2者連続与四球で降板。最後は山田勉が締め1点差勝利。
5/23 中日 11-1 5    21 5 5 2 1   5回投げきったところで3対1。6回伊藤に打順が回ると代打金森。終盤打線爆発で11対1の大勝。
5/28 横浜 3-2
(延長13回)
12    48 8 15 6 2     12回を2失点に抑えるが、味方も2点どまり。伊藤降板後の13回無死、ハウエルがサヨナラ本塁打。
6/3 阪神 4-0 9    31 3 9 2 0 完封 3回まで4点の援護。伊藤にはこれで十分。3度目の正直でプロ初完封を飾る。
6/9 巨人 0-1 8 2/3 36 8 16 4 1 完投 別掲
6/16 阪神 6-0 9    34 5 9 1 0 完封 4回まで6点の援護。完封で5勝目。
6/22 広島 1-0
(延長10回)
10    35 3 12 2 0 完封 佐々岡との投手戦。伊藤は10回を零封。10回裏先頭のハウエルが今季3本目のサヨナラアーチ。2試合連続完封勝利。
6/27 阪神 1-1
(延長15回)
13    47 7 13 1 1     1対0の9回に同点に追いつかれ、堀内恒夫以来の新人3試合連続完封を逃す。13回を1失点に抑えるが、延長15回引き分け。
7/4 巨人 1-0 9    31 3 11 2 0 完封 伊藤は9回を零封。しかし、ヤクルトも斎藤-橋本のリレーの前に、9回裏2死まで無得点。ここでハウエルがアーチをかけ、1対0のサヨナラ勝ち。この年ハウエルはシーズンサヨナラ本塁打5本の日本記録を達成する。この試合後、伊藤は右ひじの故障で戦線離脱。

aはチームの勝敗。
回は投球回、打は打者、安は被安打、振は奪三振、球は与四死球、責は自責点。
bは伊藤の勝敗。空欄は勝敗セーブがつかなかった試合。
cは特記事項。全14試合のうち、先発が12試合。

行間から悲壮感が漂ってくる。
ヤクルトのチーム得点、チーム打率はリーグ1位なのだが、なぜか伊藤が投げる試合は点が取れなかった。
登板14試合のうち、延長にもつれこんだのが5試合もある。
5月4日、28日、6月27日の3試合は、勝利投手になっていても何ら不思議ではない。

巨人との6月9日の試合も、負け投手にするには忍びない。
金沢でのこの一戦は、まさに球史に残るものだった。
メンバーは以下のとおり。

ヤクルト ・・・ 巨人
  選手   選手 三振
1 中左   1 二左 緒方 0
2 荒井 2 川相 1
打中 飯田 3 吉村 2
3 古田   石毛 0
4 広沢克 4 1
5 ハウエル 5 駒田 2
6 6 バーフィールド 3
代打 八重樫 7 四篠 2
土橋 8 吉原 2
7 ハドラー 9 門奈 3
8 苫篠   篠塚 0
桜井        
9 伊藤        

ヤクルトは門奈、石毛の前に9イニング無得点。
対する伊藤も、巨人打線から9回2死までに16三振を奪い、得点を許さない。
しかし、36人目の打者篠塚にソロ本塁打を浴びてサヨナラ負け。
ぼくはテレビで観戦していたが、決着の瞬間、放心状態になったのを覚えている。

1試合16奪三振はセ・リーグ記録。
この年は奪三振の当たり年?で、16奪三振は、野田(オ)、今中(中)、山田勉(ヤ)も記録した。

 

このあと、天才伊藤智仁は、右ひじ、右肩などの故障に悩まされる。
一時復活を果たしたが、今季公式戦での登板は0試合に終わり、シーズン後、球団から引退を勧められた。
しかし、野球をあきらめきれずに、一転、現役続行が決まった。
もう一度よみがえることができるのか、来シーズンは応援したい。

伊藤とくらべるのに石川雅規を持ち出した。
タイプは違うといえども、もちろん彼もすばらしい投手だ。
2年目のジンクスに負けないように、彼の応援も忘れてはいけない。

 

最後に伊藤智仁の実際の成績を載せる。
1994、95、2002年は出場なし。

S 投球回 安打 HR 四球 三振 自責 防御率
1993 14 7 2 0 109    70 3 35 126 11 0.91
1994                      
1995                      
1996 14 1 2 3 15    16 3 14 15 9 5.40
1997 34 7 2 19 47 2/3 23 3 10 53 8 1.51
1998 29 6 11 3 158 2/3 114 14 57 154 48 2.72
1999 17 8 3 0 114 2/3 92 6 30 91 29 2.28
2000 18 8 7 0 109    102 10 30 107 38 3.14
2001 1 0 0 0 4    4 0 0 2 0 0.00
2002                      
通算 127 37 27 25 558    421 39 176 548 143 2.31

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