幻の最多安打
福岡ダイエーホークスが3年ぶりにパ・リーグを制覇した。
しかし、優勝を決めた日の試合に、村松有人が出場することはなかった。
村松は1番打者として、文字どおりチームを牽引してきた。
リーグ最多の150安打を量産し、チームの全試合に出場していた。
8月23日の試合中にケガを負って退場するまでは。
その瞬間、村松の最良となるはずだったシーズンは終わった。
そんな不運のトップバッター村松の成績をふりかえってみたい。
試合 | 打席 | 打数 | 得点 | 安打 | 二塁打 | 三塁打 | 本塁打 | 打点 | 三振 | 四球 | 盗塁 | 打率 | 長打率 | 出塁率 | |
村松 | 109 | 510 | 463 | 85 | 150 | 29 | 13 | 6 | 57 | 67 | 35 | 32 | 0.324 | 0.482 | 0.372 |
もしも | 140 | 655 | 595 | 109 | 193 | 37 | 17 | 8 | 73 | 86 | 45 | 41 | 0.324 | 0.482 | 0.372 |
上の段は実際の成績で、下はそれを140試合あたりに換算したものである。
もしも負傷がなければ、村松は193安打を積み重ねることができた。
10月10日現在、パ・リーグの最多安打は、186本のオリックス谷佳知(残り1試合)。
おそらくそのタイトルは村松が手にしていたはずだ。
盗塁は41個。
惜しくも同僚の井口資仁にひとつおよばず、2度目の盗塁王獲得はならなかった。
特筆すべきは三塁打の多さだ。
13本でもリーグトップ。
17本ならば1953年のレインズ(阪急)の16本をこえるパ・リーグ新記録となっていた。
さて、セ・リーグ覇者の1番打者も村松と共通するところがある。
シーズン前半は最多安打ペースで飛ばしながら、後半に失速した今岡誠である。
ケガを抱え、9月以降はほぼ休みっぱなしだった今岡が、もしもフル出場していたらどんな成績だっただろうか。
試合 | 打席 | 打数 | 得点 | 安打 | 二塁打 | 三塁打 | 本塁打 | 打点 | 三振 | 四球 | 盗塁 | 打率 | 長打率 | 出塁率 | |
今岡 | 120 | 526 | 485 | 67 | 165 | 35 | 1 | 12 | 72 | 52 | 28 | 1 | 0.340 | 0.491 | 0.374 |
もしも | 140 | 614 | 566 | 78 | 193 | 41 | 1 | 14 | 84 | 61 | 33 | 1 | 0.340 | 0.491 | 0.374 |
※・・・成績の見かたは村松とおなじ。
フル出場なら村松とおなじ193安打となる。
これは1999年ローズ(横浜)の192本を更新するリーグ新記録だ。
新記録ならば今年の最多安打は安泰だと思いきや、ラミレス(ヤクルト)がひたひたと迫っている。
ラミレスは10月10日の時点で183安打。
まだ4試合を残しているので、逆転されないともかぎらない。
打率もラミレスが.333で2位と不気味だ。
村松が三塁打ならば、今岡は二塁打だ。
二塁打35本は緒方耕市(広島)とならんでリーグトップ。
ただ、広島も残り4試合なので、これもなんともいえない。