原監督を泣かせた男
日本において、四番打者には特別な意味があるようだ。
単に四番目にあらわれるだけの存在ではない。
打線の核となる、チームで最も重要な打者を意味することが多い。
いわば、「四番」とは、「横綱」のような称号といってもいいだろう。
4月15日、巨人の原監督は、巨人の第68代の「四番」にペタジーニを任命した。
実績はじゅうぶんで、まさに攻撃の要となるにふさわしい選手だ。
ところが、それからひと月後、ペタジーニは左ひざ痛のため戦線を離脱。
巨人は長期にわたって「四番」不在で戦わなければならなかった。
優勝を逃した一因は、ここにあったといえるだろう。
戦犯ペタジーニの成績はどうだったのか見てみたい。
試合 | 打席 | 打数 | 得点 | 安打 | 二塁打 | 三塁打 | 本塁打 | 打点 | 三振 | 四球 | 盗塁 | 打率 | 長打率 | 出塁率 | |
ペタジーニ | 100 | 414 | 331 | 70 | 107 | 17 | 0 | 34 | 81 | 72 | 77 | 1 | 0.323 | 0.683 | 0.457 |
もしも | 140 | 580 | 463 | 98 | 150 | 24 | 0 | 48 | 113 | 101 | 108 | 1 | 0.323 | 0.683 | 0.457 |
上の段は、今シーズンの実際の成績。
ペタジーニは、来日5年目にしてはじめて規定打席(434打席)に足りなかった。
下の段は、実際の成績を140試合あたりに換算したものだ。
ホームランは48本。
10月11日現在、セ・リーグの本塁打王は40本のウッズ(横浜)。
もしもペタジーニがフル出場していれば、自身3度目の本塁打王は確実だったろう。
打点のタイトルは、120打点のラミレス(ヤクルト・残り4試合)にゆずる。
あいかわらず四球をよく選び、108四球はリーグ1位。
その結果、出塁率は2位の福留(.401)に大差をつけた。
長打率もダントツで、ラミレスの.616を圧倒した。
ペタジーニの力は、まさに「四番」にふさわしく、かえすがえすも長期欠場が惜しまれる。
さて、パ・リーグに目を転じよう。
ペタジーニのように、休みが多かったスラッガーはいないものか。
むりやり見つけてきたのが、日本ハムのエチェバリアである。
ヒルマン監督が泣いたかどうかは定かではないが・・・
試合 | 打席 | 打数 | 得点 | 安打 | 二塁打 | 三塁打 | 本塁打 | 打点 | 三振 | 四球 | 盗塁 | 打率 | 長打率 | 出塁率 | |
エチェバリア | 110 | 474 | 429 | 64 | 118 | 24 | 0 | 31 | 84 | 113 | 27 | 1 | 0.275 | 0.548 | 0.342 |
もしも | 140 | 603 | 546 | 81 | 150 | 31 | 0 | 39 | 107 | 144 | 34 | 1 | 0.275 | 0.548 | 0.342 |
※・・・成績の見かたはペタジーニとおなじ。
エチェバリアは、右手親指を痛めて、6月のほぼ1ヶ月間試合に出られなかった。
30試合に欠場したが、規定打席には到達した。
ホームラン31本はリーグ6位。
もしも全試合出場ならば39本で、ローズ(近鉄)、カブレラ(西武)に次ぐ3位となる。
打点はチームメイトの小笠原(100打点)を超え、チーム最多。
得点圏打率が.245と低いくせに、意外と打点を稼ぐ。
試合数以上の三振を喫し、113三振でもリーグ3位。
もしも144三振ならば、ローズの137個を抜いて最多となる不名誉を授かる。
なぜか死球も多く、実際の死球数17はリーグ最多。
140試合に出ていれば22死球を喰らい、1995年イチロー(オリックス)の18死球を更新するリーグ記録を打ちたてるところだった。