第8章 Novell IPXの設定
■ IPXとは?
IPXとは、Novell社が開発した
ネットワーク層/トランスポート層のプロトコルである。
Internet Packet Exchangeを略したものである。
詳細は別紙にて解説する。
■ IPXの起動
ルータ上でIPXを有効にするには、ipx routingコマンドを使用する。
IPXを有効にすると、自動的にRIPルーティングとSAPサービスも有効になる。
Router(config)#ipx routing
■ インターフェースの設定
インターフェース上でIPXを有効にするためには、
ipx routingコマンドに続けて、IPXネットワーク番号と、
カプセル化タイプを指定すればよい。
Router(config-if)#ipx network 10 encap sap
Ethernetのカプセル化タイプについては別紙に整理する。
ここで使用できるカプセル化タイプとCiscoキーワードとの対応は、
以下の通りである。
Novellフレームタイプ | Ciscoキーワード
---------------------+---------------------------
Ethernet_802.3 | novell-ether (〜ver.3.11)
Ethernet_802.2 | sap (ver.3.12〜)
Ethernet_II | arpa
Ethernet_snap | snap
■ 複数のフレームタイプの利用
単一の物理インターフェースで
複数のカプセル化方式をサポートするには、2つの方法がある。
セカンダリアドレスを指定する方法と、サブインターフェースを設ける方法である。
(1) セカンダリアドレスを設定する方法。
Router(config-if)#ipx network 10a encap sap secondary (sec)
(2) サブインターフェースを設ける方法。
Router(config)#int e0.10
Router(config-subif)#ipx network 10a encap sap
どちらの方法でも、機能的にはまったく同一となる。
ただし、実働環境では非推奨である。
■ IPX設定の確認
ルーテッドプロトコルを表示し、
ルータ上でIPXが有効になっていることを確認する。
Router#sh protocols
インターフェース上でIPXが有効になっていることを確認する。
各インターフェースのIPXアドレス情報を表示する。
Router#sh ipx interface
レイヤ3レベルでの疎通確認を行なう。
Router#ping ipx 40.0000.0c8d.5c9d
隣接ルータのIPXアドレスを確認する。
Router#sh cdp neighbor detail
■ IPX-RIPテーブルの表示
ルータ上のIPX-RIPテーブルを表示するには、
show ipx routeコマンドを使用する。
Router#sh ipx route
具体的なIPX-RIPルーティングテーブルの表示例を挙げる。
5 Total IPX routes.
Up to 1 parallel paths and 16 hops allowed.
No default route known.
C 10 (NOVELL-ETHER), Fa0/1
C 11 (NOVELL-ETHER), Fa0/0
R 20 [02/01] via 11.0010.7b81.65bb, 29s, Fa0/0
R 40 [02/01] via 10.00d0.58ad.0494, 17s, Fa0/1
R 50 [8/02] via 10.00d0.58ad.0494, 17s, Fa0/1
左端のRは、IPX-RIPを使用して追加されたエントリであることを示す。
また、エントリ中の[02/01]は、そのルートのティック値が2であることと、
そのネットワークへのホップ数が1であることを示している。
■ SAPテーブルの表示
ルータ上のSAPテーブルを表示するには、
show ipx serversコマンドを使用する。
Router#sh ipx servers
具体的なSAPテーブルの表示例を挙げる。
9 Total IPX Servers
Table ordering Is based on routing and server info
Type Name Net Address Port Route Hops Itf
P 4 BORDER1 350ED6D2.0000.0000.0001:0451 2/01 1 Et0
P 4 BORDER3 12DB8494.0000.0000.0001:0451 2/01 1 Et0
P 107 BORDER1 350ED6D2.0000.0000.0001:8104 2/01 1 Et0
…
■ デバッグ用のコマンド
ルータが送受信した、
IPX/RIP/SAPパケットの統計を表示する。
Router#sh ipx traffic
ルータが送受信しているRIPパケットを、リアルタイムで表示する。
Router#debug ipx routing activity (act)
ルータが送受信しているSAPパケットを、リアルタイムで表示する。
Router#debug ipx sap activity (act)
上記の表示を停止する。
Router#undebug all (un al)
■ その他のコマンド
IPX-RIPでは、1つの宛先ネットワークに対して、
同一コストの経路が複数ある場合に、これらの経路を使って、
ラウンドロビン方式の負荷分散を行うことができる。
これを等コスト負荷分散(Equal Cost Path Routing)と呼ぶ。
シスコルータ上で、この等コスト負荷分散を実行するには、
ipx maximum-pathsコマンドを使用する。
Router(config)#ipx maximum-paths 2
また、上記の負荷分散を行ないつつ、
同一ホスト宛てのパケットが全て同じ回線を通るようにするには、
ipx per-host-load-shareコマンドを使用する。
Router(config)#ipx per-host-load-share
以上。
2004/01/05 pm