FTTH / Fiber to the Home
■ FTTH。Fiber to the Home。
事業者の端局とユーザ宅との間を
光ファイバ回線で結ぶインターネット接続サービス。
通常100Mbpsの通信速度で提供される。
FTTHの網トポロジには、
事業者局とユーザ宅を1対1で結ぶSS(Single Star)方式と、
1本の光ファイバを途中で分岐して複数のユーザをつなぐ
PON(Passive Optical Network)方式の2種類がある。
■ SS方式。Single Star。
1芯または2芯の光ファイバを用いて、
事業者局とユーザ宅を1対1で結ぶ、FTTHの接続形態。
ユーザは光ファイバとその帯域を1人で占有できる。
SS方式には、光ファイバを2芯使い、各々で送受信に充てるタイプと、
WDMを使って1芯だけで送受信を実現するタイプの2種類がある。
■ 2芯型 SS方式。
1人のユーザに光ファイバを2芯を割り当て、
それぞれ送信専用の芯線と受信専用の芯線として使用する方法。
一般に、イーサネット標準の100BASE-FXを適用するので、
ユーザ宅と事業者局はイーサネットLANで結ばれた形になる。
100BASE-FXは、シングルモード光ファイバを使用することにより、
20km程度まで伝送できる。
ユーザ宅内には、この100BASE-FXと
ツイストペアケーブルを伝送メディアとする100BASE-TXを
相互に変換するためのメディアコンバータを置く。
このメディアコンバータは、比較的安価に調達できる。
■ 1芯型 SS方式。
1人のユーザに光ファイバ1芯のみを割り当て、
1芯の光ファイバだけで送受信を同時に行なう方法。
具体的には、送信信号と受信信号に
異なる波長(それぞれ1310nmと1550nm)を割り当て、
光ファイバ1芯でWDM技術により多重して伝送する。
1芯型に対応するメディアコンバータでは、
単純に光信号を電気信号に変換する回路だけでなく、
波長の異なる光信号を多重・分離する機能を備える必要がある。
このため、2芯型と比較して価格が高い傾向がある。
なお、この1芯の光伝送方式は、TTC-1000として国内標準になっており、
このTTC-1000では、疎通テストを行なう保守用フレーム等も規定されている。
■ PON。Passive Optical Network。
1芯の光ファイバを途中で分岐して、
複数のユーザで共有するFTTHの接続形態。
PDS(Passive Double Star)とも言う。
すなわち、事業者局とユーザ宅を結んでいる光ファイバ(1芯)の途中に
受動的な分岐装置(スターカプラ)を置き、ここに複数のユーザをつなぎこむ。
こうして、16〜64のユーザが、光ファイバの帯域を共用することになる。
PONシステムでは、
事業者局のセンター装置をOLT(Optical Line Terminal)と呼び、
ユーザ宅内装置をONU(Optical Network Unit)と呼ぶ。
このOLTは、ONUの信号送出タイミングをコントロールすることにより、
上り信号の衝突を防止する高度な機能を持っている。
すなわち、各ONUへの距離の差を考慮して、送出タイミングを補正する。
一方、OLTから送出された下り信号はすべてのONUに届くが、
各ONUが宛先情報を参照して、自分宛てのデータのみを受信する。
さらにOLTは、各ONUに対してデータの送出量を指示する機能を持っている。
こうしてONUごとに帯域制御を行なうことが可能である。
なお、PON方式には、ATM技術を用いるタイプ(B-PON)と、
イーサネット技術を用いるタイプ(E-PON)の2種類がある。
■ B-PON。Broadband PON。
ATM技術をベースとしたPON方式。
光ファイバ部分のデータのやり取りに53バイトのATMセルを使うほか、
ONUの識別にATMのVPIを使用する。
ATM-PONとも呼ばれる。
B-PONの仕様は、当初FSANが勧告草案を提出したもので、
現在は、ITU-T勧告G.983.1〜4として、標準化されている。
(1) G.983.1 (1998年10月)
受動光網に基づいた広帯域光アクセスシステム。
(2) G.983.2 (2000年4月)
分岐数: 最大32分岐。
伝送距離:最大20km。
使用波長:上り1260〜1360nm、下り1480〜1580nm。
通信速度:上り155Mbps/622Mbps、下り155Mbps/622Mbps/1.2Gbps。
(3) G.983.3 (2001年3月)
従来のB-PONの下り波長帯域内に、
追加サービス用の波長(1550〜1560nm)を定義し、
デジタル放送等の多重を可能とした。
■ E-PON。Ethernet over PON。
Ethernet技術をベースとしたPON方式。
光ファイバ部分の伝送にMACフレームを用いる。
また、MACフレームのプリアンブルにID番号を埋め込み、ONUを識別する。
E-PONは現在、IEEE802.2ah(EFM)の一部として標準化が進んでいる。
EFMでは、上り下りとも最大1Gbpsの仕様が検討されているため、
G-PON(Gigabit PON)と呼ばれることもある。
標準化は完了していないが、
すでに機器メーカーが独自E-PON方式の製品を開発し、出荷している。
E-PON製品は、一般にB-PON製品よりも安価である。
■ EFM。Ethernet in the First Mile。
イーサネットをWANのアクセス回線として使うため、
IEEE802.3ahタスクフォースが標準化に取り組んでいる仕様。
EFMA(EFM Association)がこの活動を支援している。
EFMでは、物理層の仕様を3種類策定している。
すなわち、メタル回線(電話回線)を使用する10Mbpsの仕様、
光ファイバー1芯を使用する1Gbpsの仕様、
光カプラを使って途中で分岐する仕様である。
(1) EoCopper。Ethernet over Copper。
メタル回線を使ったPtoP接続方式。
電話回線上で最大10Mbpsを実現するもの。
伝送距離は750m以上。
(2) EoFiber。Ethernet over Fiber。
1芯の光ファイバで送受信を行なうPtoP接続方式。
1000BASE-LXや100BASE-FXの仕様を拡張してWDMに対応させたもの。
伝送速度は最大1Gbps。伝送距離は20km以上。
(3) E-PON。Ethernet Over PON。
1芯の光ファイバを
線路上の光カプラで複数ユーザに分岐する、PtoMP接続方式。
伝送速度は最大1Gbps。伝送距離は20km以上。
EFMではさらに、障害監視やバックアップを行なうための
OAM機能も規定している。
以上。
2004/02/20 pm