ISDN / Integrated Services Digital Network
■ ISDN。Integrated Services Digital Network。 サービス総合デジタル網。 音声とデータの両方をサポートする総合的なデジタル通信サービスを、 既存の電話回線で実現するために設計された、国際標準規格。 1972年にITU-T(旧CCITT)で制定された。 OSI参照モデルの物理層、データリンク層、ネットワーク層をカバーする。 具体的な通信サービスとしては、 日本国内では、一般家庭向けの64kbpsサービスである“INSネット64”や、 企業向けの “INSネット1500”などがある。 ■ ISDNのプロトコル体系 ISDNのプロトコル体系はITU-Tによって定義されており、 いくつかのシリーズに分けて種々の問題を扱っている。 +------------+------------------------------------------------+ | Iシリーズ | ISDNの概念と用語とサービスを規定している。 | | | | +------------+------------------------------------------------+ | Qシリーズ | ISDNのシグナリングとスイッチングの方式を規定 | | | している。Q.921(LAP-D)などがある。 | +------------+------------------------------------------------+ | Eシリーズ | ISDNの国際的なアドレッシングを規定している。 | | | 例えばE.164などがある。 | +------------+------------------------------------------------+ ■ BRI。Basic Rate Interface。 基本速度インターフェース。 ISDN回線は、2種類のチャネル(論理回線)で構成される。 通信速度64kbpsのB(Bearer)チャネル(2本)は通信用、 通信速度16kbpsのD(Data)チャネル(1本)はシグナリング用である。 シグナリング用のDチャネルは、ISDN交換機との間で常時接続されており、 呼が開始されると電話番号をISDN交換機に送信し、 SS7シグナリングプロトコルを用いて、終端ISDNスイッチに伝達する。 このうち、Bチャネルを2本、Dチャネルを1本つかい、 通信速度144kbpsを実現するものを基本速度インターフェースと呼び、 2B+Dと表す。 ■ LAP-D。Link Access Procedure, D-channel。ラップディー。 ISDNのシグナリングに使用されるデータリンク層プロトコル。 ISDNの制御信号用チャネルであるDチャネル上で働く。 ITU-T勧告Q.921として国際標準化された。 LAP-B(X.25用)の仕様をベースとしながら、 ISDNのポイント・ツー・マルチポイント接続に対応するため、 1本の物理回線上に複数のコネクションを設定できるように拡張したもの。 端末を最大127台識別できるようにしてある。 ■ インターフェース規定点。 ISDN回線と構内の通信機器の接続には、TAやDSUなどの専用装置が必要となるが、 その機器インターフェースは、以下のように規定されている。 ■ PRI。Primary Rate Interface。 1次群速度インタフェース。 Bチャネル23本とDチャネル1本を束ねて1本の物理回線を構成することにより、 1.5Mbpsの通信速度を実現する方法。23B+Dと表す。 PRIは、米国や日本ではT1(1.544Mbps)、 欧・豪などでは(E1,30B+1D=2.0Mbps)のサービスとして提供されている。 ■ INSネット1500。 NTTが提供しているISDNのサービス名称。 INSネット1500の通信速度は1,536kbpsである。 64kbpsのチャネルで考えると24本分の容量がある。 このうちの1本を信号チャネルに割り当てる形態を23B+Dといい、 全てを情報チャネルとする形態を24B/Dという。 このうち、24B/Dでは、その回線内に信号チャネルが存在しないため、 ほかの回線のDチャネルと共存させる必要がある。 このためISDNでは、番号はDチャネルごとに付与される。 ■ H0チャネル/H1チャネル。 INSネット1500では、 64kbpsを6本束ねたH0チャネル(384kbps)と、 24本束ねたH1チャネル(1,536kbps)が提供されている。 H0チャネルは、23B+Dでも24B/Dでも利用することが可能だが、 HH1チャネルは、24B/Dに限られる。 また、H0チャネルやHH1チャネルでは、 回線交換サービスだけでパケット交換サービスは利用できない。 ■ B-ISDN。Broadband Aspects of ISDN。 広帯域ISDN。 動画像のような広帯域を必要とするアプリケーションに対応するために ITU-Tが標準化したサービス総合デジタルネットワーク。 具体的には、 SONET/SDHをベースとした光ファイバ伝送路に、ATMテクノロジーを使い、 155Mbpsや622Mbps程度、あるいはそれ以上の高速通信を実現する。 これに対し、通常のISDNのことをNarrowband ISDN(N-ISDN)と呼ぶこともある。 以上。 2004/02/06 pm