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柿木将棋Vは強かった

2001年1月27日に将棋倶楽部24において行われた近代将棋主催「第四回コンピュータをいてこませ」に出場し、柿木将棋Vと対決しました。
これがその自戦記です。

出場までの経緯と、考えた作戦を、日記形式で書いていきます。

2000年12月21日(木)
柿木義一氏のHPで Kif for Java がリリースされたのを知り、解けなかった詰将棋の変化手順を載せようと試用してみるものの、なぜか盤面が出てこない(T_T)。これはバグ?ということで、柿木氏にメールを送ってみる。
12月22日(金)
柿木氏から返事。バグのようなので、そのkifファイルを送ってほしいのとこと。「わからない」というだけの内容の棋譜を送るのは気が引けたが、他にバグの出るファイルがないので仕方がない。
12月23日(土)
さらに柿木氏からの返事。やはりバグで、直すことができたとのこと。Kif for Java が、ver.0.03から0.04にアップ。そして、同時に例の詰将棋を柿木将棋Vが解いたということで、答えを教えていただく。将棋ソフトの進化は知識としては知っていたが、こうして実例を見せつけられると驚きも深まるものだ。
12月24日(日)
24で行われた柿木将棋Vと人間との対決は柿木将棋Vの圧勝だったらしい。AI将棋の開発者 山下宏氏の「人間の方が熱くなっている感じ」というコメントになるほどと思わされる。
12月27日(水)
清水英幸氏の書き込みで、柿木将棋Vは詰将棋界でも話題になっていることを知る。詰将棋関係の掲示板を見てみると、たしかに、あの方もあの方も購入されたようだ。
12月28日(木)
パソコンショップで柿木将棋Vを視察。買おうかどうか迷った末やめることにする。機能的には値段以上の価値があると思うけれども、それを買うことにより自分が「実戦の詰み?」の検討を機械に任せてしまいそうなのが心配だ。私は詰みを考えるのが楽しくて将棋をやっているようなものなので、それでは何のためにこのコーナーを始めたのかわからなくなってしまう。


2001年1月20日(土)
いつものように24のトップを見ると、再び柿木将棋Vとの対決を募集している。前回はあまり関心がなかったが、今度は即、参加希望を出す。倍率はやはり高いが、初段からは2名出場なので可能性はありそうだ。
1月23日(火)
選ばれないかなと昼からそわそわ。とりあえず、本屋で近代将棋を立ち読み。こんな風に載るものなのか。(近代将棋は買ったことありません(^^;))家に帰ってから、コンピュータ将棋関連のサイト(↓)を眺める。以前もめぐったことがあるが、目的意識があると集中して読める。柿木将棋はコンピュータソフトの中では序盤型で、手を絞って読んでいるらしい。
1月24日(水)
メールボックスを開けると24の席主 久米氏からメールが来ている\(^o^)/。柿木将棋Vとの対局OKなら返事をとのことで、当然すぐに返信する。メールが来たタイミングから考えて、前に一人キャンセルが出たのだろうか。
対策を練るべく、まず柿木将棋V試用版をダウンロード。コンピュータの強さがレベル4しかない(製品版はレベル7まで)というのはつらいが、序盤の傾向を見るには役に立つだろう。さっそく指してみる。レベル4ということで常にノータイムで手を返してくるため、どうしてもこちらの手も速くなってしまい、ミスを何度もしてしまった。こんなことでよいのだろうか。コンピュータ対策は考えたが、それは明日書くことにします^^。
1月25日(木)
柿木試用版と対局して対策を練る。互角のままわけの分からない局面に突入したら、どう考えても相手が強いので、仕掛けまでで7:3の差を付けておきたい。他力本願になるが、コンピュータの下手な駒組を誘って圧倒的な作戦勝ちを狙うことにする。
近代将棋でのインタビューによれば、柿木将棋Vは持ち時間10秒で6から7手、30秒で8から10手読んでいる。前回のコンピュータの時間設定は秒読み18秒だったらしい(ただしCPUはPentiumIII/800MHz)ので、7から9手というところだろう。この程度の読みの深さでは、序盤で仕掛けに至るまでの駒組を大局的に考えらることはできない。そのため、ソフトは横歩取り、角換わりは得意だが、穴熊、矢倉は比較的苦手としているらしい。相手が飛車を振ってきたら、話は簡単。こちらは居飛車穴熊にすればいい。藤井システム流に組まれることもあるが、早めに ▲3六歩 を突いて定跡を外しておくと普通の美濃囲いに落ち着く。
 △5二金 まで 

相居飛車での作戦はとにかく矢倉に組むこと。そのために、人間相手では考えられないような、相手をなめた指し方をする。
手始めに、右図のように早囲いを露骨に目指す。ここから後手に右四間などの急戦でこられると厳しいが、それはやってこない(はず)。2手目に△3四歩 ならこのようには組めないが、3手目に▲5八金右 としておいて無理矢理矢倉を狙う。


 △3五同歩 まで 

そうしておいて、早めに▲3五歩 からの歩交換をしておく。これに対して△4五歩 △5三銀 のような反発を受けると面倒になるがそれも大丈夫(のはず)。すんなり交換できたら、角を4六に引いて▲3六銀 ▲3七桂 の理想型に組める。組んでいる間に後手に先攻されるのが怖いが、角が4六にいれば受けにも効いているので後手は仕掛けてこない。


 △9一飛 まで 

そのような状態になると、もはやこちらの好き放題に手が指せる。自玉の安全性が今ひとつだが、後手が仕掛けてこないのでいくらでも手数をかけて駒組ができることになる。普通に矢倉に組んでも十分のところだが、さらに欲張って右図のように矢倉穴熊まで組んでみたい。ここまで来れば、7:3の差はついているだろう。早めに一筋の端歩を詰めておくともっと差をつけることができるかもしれない。

…というのが理想的な展開だが、試用版では通用しても、本番で果たしてこんなにうまくいくだろうか。そして、うまくいったとしても観戦する方はつまらないだろうなぁ。すみません。一応今のうちに謝っておきます。


1月26日(金)

昨日は、マプさんのお言葉に甘えて、フリー室で柿木将棋Vとスパーリングさせていただく。予定通り矢倉に組むが、コンピュータが△7三銀 △7二飛 △5三角 とよくわからない駒組をしてきたため、上で書いた作戦は空振りに終わる。しかし、コンピュータが攻めの体勢を作らなかったこともあって、3・4筋での小競り合いから優勢になる。桂もさばけて攻めが筋に入ったかというところで、私がダウンしてしまったが、あのまま行けば勝てた感じだった。とはいえ、自玉も薄かったので、予断を許さないところではあるけれども。

明日はいよいよ本番。しかし、心配なことがいろいろと頭をよぎる。

…とこのくらい並べておけば、たいていのことには対応できるかな(爆)。

1月27日(土)

何とか寝坊せずに時間通り特別対局室に入る。先手を引き当て、矢倉に進み一安心。しかし、、、
ここからは、自戦記をご覧下さい。

1月30日(火)
 △3三桂 まで 

矢倉愛好会会長のKengo Kさんに寄せがあったことを教えていただく。左図の局面で▲2三歩 が好手で、△同銀 なら▲2五金右 △同桂 ▲1六桂 △1五玉 ▲同銀不成 で受けなし。そこで、△4五桂 と粘ることになるが、▲2五金右 △3三玉 ▲3七金 △同桂成 ▲2二歩成 が詰めろとなって、先手の勝ちになりそうだ。

しかし、この手は早指しでなくても指せそうにない。結局、序盤でもっとリードを広げておかなければならなかったということですね。

2001年12月17日 追記
新発売になった柿木将棋VIをついに購入してしまいました。


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written by mozu

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