彼女がボリビアにやって来た B

               写真 :オキナワコロニアルにて

ボリビア到着後、食中毒という手厚い洗礼を受けながらも一日で回復した彼女はさすがであった。
俺の場合は、ひどい時は5日間程ベットとトイレの往復を10分に一度は繰り返したりしたものだった。

宿をチェックアウトして、バスターミナルへと向かった。
この日はボリビアの日本人移住地のオキナワコロニアルに行くことにした。
ここにはオキナワ診療所という病院があり、数十年前にここでボランティアをしていた日本人医師が、
この病院を舞台にしてボリビアの生活を面白おかしく書いたドクトールビエホのボリビア物語という本を
読んだことがあり、その本をたどる旅をするのが今回の旅行の一つの目的であった。
彼女もこの本を読んだことがあり二人そろって興味をもっていた。

満席の小さなマイクロバスは大平原の中を水平線まで真っ直ぐに伸びた道をひたすら進んで行く。
牛、馬、ヤギなどが、ところどころに見える。

モンテーロという町からから相乗りタクシーに乗り換え更に田舎道へと進むと、ようやくオキナワコロニアル
へと着いた。

この病院で働くボランティアの看護婦、あやちゃんの紹介でこの日は病院の一室に泊めてもらうことにした。
この部屋はこの前まで、アサヒスーパードライのCMに出てきたカメラマン・桃井氏が滞在していたそうだ。

午後からあやちゃんの車で案内してもらうことになった。
近くに美味しい沖縄ソバ屋があるから食べに行こうという事になった。
あやちゃんの車に乗り込む。

車は砂利道を砂埃を立てて進んでいく。
しかし周囲を見回してもあるのは水平線まで続く麦や豆の畑であった。
百キロ以上走ると、車はようやく小さな村にたどり着いた。
そこでそばを食べてビールを飲んだ。病み上がりの彼女も山盛りのそばを全部食べれるほど回復していた。

その後、ひまわり畑へ連れていってもらった。
またひたすら車は砂埃をあげて進むと水平線まで黄色くなったひまわり畑に着いた。
さすがに彼女も女の子で、この景色にはかなり感動していた。

再度車に乗り、今度はアマゾン川を見に行った。
乾季であるったため水は干からびていたが河の規模はやはり凄かった。

夕方、病院に戻りシャワーで汗を流した後、その日の晩はオキナワ診療所院長の日系ブラジル人の井上先生
の家で夕飯を招待してもらった。
この井上先生は、本の中で登場してきた人物でその奥さんである悦子さんとの結婚にいたるまでの話が書かれ
た部分がとても面白かったので、その本人に会えて、しかも食事まで招待してもらって、俺も彼女も本の中の人物
と対面して話していることに興奮を隠せなかった。

次の日、お世話になった人々に別れを告げ雨の中、オキナワコロニアルを後にした。 

                            オキナワ診療所にて



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