数日後、久々にBLRが揃って集まる事になった。 藤沢から大事な話があるっていうんで、翔のヤツは落ち着かない事しきりだ。 この前さんざっぱら洗脳されたってのに、まだ足りないのだろうか。
藤沢「これを見てくれ……」
まだ夜になりきっていないべイラグーン埠頭。 藤沢が手に持つテールランプの破片が、残照の茜を返して輝く。 沢木の事故現場から拾ってきたらしい。いつの間に…。 それを演説の小道具に、巧みに取り入れる藤沢。くう、泣かせる演出だ。 こうしてみんな洗脳されていくんだろうなぁ…。私はクルマだから関係ないけど。
…おっと、なんだか話の方向が変わってきたようだ。
藤沢「お前達も聞いたことはあるだろう? ………横浜GP………」
なに?
『横浜GP』 横浜全市の公道をクローズドサーキットとして使用する、 世界にも類を見ない大規模なGrandPrix。
…だという話だ。横浜地区の予選が今週末開催されるというが…。 初めて聞いた。 というか、横浜全市の公道がサーキットっていったら… いつもと変わんないじゃん。 何を今更…
藤沢「横浜GrandPrix!オレたち走り屋が待ちに待った世界初の公道グランプリレースだ」
…よくわからんが、普段虐げられている闇の住人が、太陽の下に出られる…と、そういう喜びだと思っていていいのか?
どうやら藤沢は、本気でこの『横浜GP』とやらで優勝するつもりらしい。 まあ…多分シューちゃんは来ないだろうから、可能性はあるか。
藤沢「昨日連絡があった…。悪いな……オレは、予選免除でGP本選への出場権を獲得する事になった」
・・・なめてるだろ、お前。 なにが「どんなにちっぽけな可能性でも賭けてみる価値はある」だ。 予選で苦労もしない人間の吐く台詞ではないわい。 ドカベンの不知火でも見習え。
とにもかくにも、BLRに与えられた予選枠は残り一つ。 後一週間に迫った予選に向けて、血で血を洗う内紛が、今始まろうとしていた。
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