6thNight
NightBefore D


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あれから三日がたち、いよいよ明日は横浜GPの予選だ。
ただ、せっかく勝ち取った出場権なのに、翔はどうも今一つ気が乗らないようだ。
その原因は、やはり難馬だろう。ヤツはあの代表決定戦以来、行方知れずなのだ。
GSミラージュのオヤジの話では、何の連絡もなしに突然姿を消したらしい。
たかがレースに出られないくらいで、そこまで思い詰めるかな。走りだけが人生の…
・・・全てなんだろうな。

顔はともかく、難馬はまだ二十歳だぞ。若い身空で人生に見切りをつけてしまうとは。
「男はいつだって見栄で生きている。同情されるのはまっぴらだ」
その言葉通り、死に場所を探しに行ったのだろうか?
恐るべしK・T・H。(厳しく辛い走り屋道)
難馬もそうだが、藤沢も辻本も、肩に力が入りすぎていないか?
もう少し気を楽に持ったってバチは当たらないぞ。
遅くても明るく生きている健三が、偉大な存在に思えるのは私だけなのだろうか。


街をうろついていると、名もなき走り屋達が次々に襲い掛かってくる。
皆、翔を倒して名を挙げようとしている。ふむ…翔も有名になったな。
悪事千里を走るってやつか?
そうであるとは限らんが、今までが今までだからな…
一体どれだけのパーツを奪ってきた事やら。
せんろっぴゃくはちじゅうまんえん
という所持金が、この男の所業を物語っている。
難馬も地道にバイトなんかするより、こっちで稼げば良かったのに。





パーツ狩りがてらにベイラグーンタワー付近を流していた時、ふと異様な気配が。
…凄まじいエンジンパワーに路面が引き裂かれるようなスキール音。
それは後方から現れ、瞬く間に視界から消えた。

「化物だ…あの車」

化物…ね。お前も私をそれに近い形にしてるだろうが。
いい加減に族車エアロ取ってくれぇ!


茫然としてタワーの前に私を止める翔。
これまで性能で勝ってきただけに、ショックも大きかろう。
…と、そんな事を考えていた、ちょうどその時だ。
真紅に塗られた新旧3台のSEVENが、いきなり私を囲んで急停車した。
そして、一般に言うところのジェイソンマスクをかぶった男(…だと思うが)が窓を開け、

ケケケッ!!BLRの横浜GP代表の実力、試させてもらうぜ」

…有名になるのも考え物だな、翔。




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