9thNight
Endless Nightmare


-5-



箱根を走り回っていると、何故かBattleをしている虎口と織田を発見。
…なんにせよ走るんだな、こいつらは。
嬉しい時はドリフト、怒った時はゼロヨン、悲しい時は最高速…
はた迷惑なBodyLanguageだ。

とにかく早いとこやめさせて、織田に話を聞かなくては。
箱根DDの溜まり場(通称『聖地』)に入った所を見計らって、織田に近付く。
が…


虎口「藤沢……あいつと俺は戦友みたいなもんだった。なにがあったのかなんてわかりゃしねえ。
そんなことは関係ねえ。走るのに理由はいらねえ!!

ズッギャーン! よくわからんが、衝撃的な物言いだ。
そりゃあ、(※)反射で走っているんだから理由はないだろうが…。
で、どうしてアンタが出てくるんだ?


虎口「だがな……ここは箱根の峠だ。 ………猛き猛者だけが進むことができる……
それが箱根の走り屋のだ。
俺の前に進みたければ乗り越えて行け!

この先の道は、俺の道だ!
進みたければ抜き去れ!
俺から奪ってけ!!
お前のものにしてから行け!!



ぐわっ!なんという熱さだ!熱過ぎる!流石は箱根の皇帝だ。訳もなく感動してしまったぞ!
公道を「俺のもの」と言い切ってしまうのはどうかと思うがな。
宇宙の海は俺の海ってか?

うむうむ、アンタを乗り越えなくちゃならん事は、良くわかった。
でも公道は公共のものです。



さり気なく虎口を乗り越えた後は、いよいよ織田と対面だ。心なしか、こないだよりやつれたような…。

織田「……なにブツブツ言ってる?」

うわっ、びっくりした。
…なんだ、翔に言ってるのか。 …え?

『織田ってのは…………あんたかあ?』

うひー、やっぱり入れ替わってる
そうなのだ。横浜GP以後、翔は時々人格が入れ替わる。
あの【声】の主らしい、SPEEDに憑かれた人格だ。
ただ、どちらの人格でも社会的な立場に大して変化がないのは、喜んでいいのか…。


『…………オレのことわかるか……。 わかんねえだろうなあ……』

織田「どうした……何言ってる?その顔色に声……………峠酔いでもしたか?」

『…………気にするな……10年前のJOKEだ。……時間がねえんだ…………
オレがこうしてられるのもわずかしかねえんだ……。無駄話をしてる暇なんかないぜ……』


私が見る限り、一番無駄話をしてるのは……まあいいか。

『織田さんよ、あんたに聞きたいことがある……』

織田「お前に話すかどうかは……俺と走ってから……………」

『ハッ……くだらねえ掟ってヤツかあ?』

うーむ……こっちの人格の方が、少しは常識的なんだろうか…?とか思ったり。


相手はどノーマルのEVO2000なのだが、そこはかつての皇帝。一筋縄ではいかなかった。
これは−後で本人から聞いた事だが−織田の残り僅かな命と関係しているのだろうか。
いわゆる、燃え尽きる前の蝋燭が…ってやつである。
織田は告知を受けて、峠に戻ってきた。クルマのシートで最期を迎えるために…
…迷惑な話だ。ドリフトの最中に真っ白に燃え尽きたらどうする気なんだ。

しかし、織田と会った事で、翔の前には大きな道が開けた。
かつてDiabloTUNEのTUNERだった男が、にいる。
そいつが10年前の真実を知っているらしい。

北…ね。
…北ってまさか……


The Night is COMPLETED





《反射》生理学用語で、刺激に対する動物の最も単純な反応形式を言う。

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