9thMidnight
AnotherName
For ANGEL


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北へ〜ゆこうランララン♪

…と、思わず歌いたくなってしまうような展開だ。スキップはせんが。
元DiabloTUNEのTUNERだった男は、北海道の山奥にいる。
それが織田から得た情報だった。
箱根から戻った翔は、すぐに向かうつもりのようだ。北へ。
なにもそんなに急がなくても…。飯ぐらい食っていけばいいじゃないか。

東北道に抜けようと湾岸に乗った時、周囲のクルマが数台、不審な動きを見せる。
2台ずつ組になり、横になって路を塞いでしまった。

「石川の野郎に金積まれちまったからなあ。通すわけにはいかねえんだよ」

そこの貴方、いくら積まれたら高速道路の真ん中で止まりますか?

翔もキャッシュで3700万円ほどは持ってるが、いつも正面突破しているせいか、こういう展開での駆け引きには才能がないみたいだ。やれやれ…。

他の出口も回ってみるが、やはり桜木町GTの面々が壁を作っている。散財だな、石川君…。
追い込まれるようにして環状線へと入った途端、後方からCカーエアロのR33が。

楠木「……昨日は恥かかせてくれたな。……『関東最速UNIT』……オレのメンツが丸潰れだぜ」

ゲッ、お前まで関わっていたのか楠木!恥かかせてくれたなって…翔が何をしたっていうんだ?
逆恨み以前に八つ当たりじゃないか、それは。

楠木「お前を関東から出すわけにはいかねえ。SHOW TIMEはこれからだ…覚悟しろ」



というわけでBattleなのだが、口ばっかのキャラが露呈してしまっている以上、翔にはかなうべくもない。

「なぜ、道を塞ぐ? 俺がどこへ行こうとお前には関係ない」

楠木「そうもいかないぜ。お前が『横浜最速の男』であるかぎりはな……。
お前より速く走ればオレにチャンスが来る」


「チャンス……?」

楠木「オレも『Driver』に選ばれる……。DiabloTunedSpecialCARのSEATに座れる……」

…なるほど、そうやって石川に丸め込まれたのだな。
Driver…WON‐TECが進めている、D-projectと呼ばれる計画がある。
走り屋の中から有望な人材を選び出し、将来レースの世界に送り込むという計画だ。
最近その限られた椅子を巡って、走り屋どもが躍起になっているらしい。こいつも狙ってたのか…。

だったらお祭り程度とか馬鹿にしてないで、横浜GPでしっかり優勝してしまえばいいのに。

その時、派手なスキール音とともに、Elephantが突っ込んできた。

「……そこまでにしとけ、な」

急ブレーキをかけて停止したElephantから、スーツ姿の男が降りてきた。
う、こいつ…死線を見てきた目をしていやがる。只者じゃないぜ。

「知らなくても生きていける。 走りの世界には…な、そういうことがあるんだ」

今来たばかりなのに…どうして経緯を知っているんだ?この男は。

楠木「と……等々力サン……どうして……?首都高はもう走らないって言ってたじゃないすか」

等々力「無性に走りたくなるときがある。たまには……な。今夜はそんな夜だ」

ああ、そうか、コイツが元C1‐RoadStarsのリーダー、等々力か。
どこぞの若頭かと思っちまったぜぃ。
いや…もうカタはついたから、出てこなくてもいいんですけど。
等々力は、翔に対し、これ以上の深入りを思いとどまらせる気らしい。
10年前の最速の男に良く似た翔に、危ういものを感じたのか…

でも、その方法がBattleってのが、どうにも間違ってる気がしてならないのだが。


The Night is COMPLETED




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