10thNight Pain Of Destiny
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…ええい、言わんこっちゃない!雪道で250q/hも出すから! ものの見事に墜落しおって!どうするんだ、こんな雪の中! しかし翔はと見れば、傷一つない。人間か、貴様。 その時、崖の上で響く銃声。例の男が撃たれた音だった。 サイレンサーも付けずに…なんて大胆な。 もし崖の上にいたら、翔も撃たれていたのだろうか? 運が良かった…のかどうかは難しいところだが。
追跡者は去り、北の地にただ、雪が降りしきる。 クルマの轍も、人の死も、その穢れなき静寂の下に包み込んでいくのだろう。 そして我々も。 だー!のんびりしてる場合じゃない!早く警察呼んでレッカーしてもらえ! …あ、そういや携帯は、横浜GPの夜に由佳があんまりうるさいんで、捨てたんだった。
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どこをどうやって脱出したのかは謎だが、北海道から帰る途中の高速道路。 独り言の多い翔にしては珍しく、道中はずっと無言だった。例の【声】も影を潜めている。 結局、横浜最速伝説の真実を知る男は射殺され、翔の手元には一枚のMOが残った。 なんだか走り屋のロマンっつーより、巨大企業の陰謀を巡るサスペンスになってきたな。 で、そのMOだが……ん?
『……Driver……』
な、なんだ?ラジオから妙な声が…?
『……導く者……』
『……お前を正しき場所へ……』
『……Diablo……』
『……世界をわが手に……』
新興宗教の宣伝放送か? 突然の世界征服宣言にもびっくりではあるが、それも吹き飛ぶほどの信じられない光景が目の前に出現していた。
正面から現れた3台のDiabloTunedCARが、 横に並んで道を塞ぐ。 お前ら、ここは高速道路だぞ。 逆走してきたのか!!!
そんな事はさして気に止めた風もなく、悠然とクルマから降り立つ外国人2人。
「ご苦労だったな。我らはDriver」
向かって右側に立つ銀髪の男が、妙なポーズ(図1)をキメながら、そう言った。
「正式な自己紹介は初めてだな。 私はジョン・トゥルース。隣はフォルツァ・ラッシュ」
言われてよく見ると、髪型がアザミ(図2)みたいな男が横に立っている。
図1 |
図2 |
あまりに雑魚っちい、品のない顔付きだ。石川兄輸出ver.とでも言おうか。
トゥルース「DISKは我々のものだ」
ラッシュ「預からせてもらうゼ〜!眠れる森の王子さんヨオ!!」
ああ…口調まで…
トゥルース「これはBUSINESSだ。保証しよう……。 我々がDISKを解析し君に情報をリークする。 君は大切なBUSINESS PARTNERだからな」
当然断る翔だが、お喋りの隙に黒服にディスクを奪われてしまう。間抜けな…。 最後にトゥルースは、South YOKOHAMAで開かれる 『DARKNESS GP』に来いと言い残し、今来た道を去って行った。
『DARKNESS GP』が何であるかはとりあえず置いとくとして、せっかく入手したディスクは奪われてしまった。 まあ…翔が持っていても仕方ないかもしれんからな。 携帯電話も使えないコイツがパソコンを使えるとは思えんし。
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