LastNight The Long Good-Bye
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うむ…まさか、この期に及んで健三に助け出されるとは思わなかった。
シュナイダーやWON-TEC社長のウォン・リーがあれほど回りくどいやり方をした理由は、実のところ良くわからない。 ただ、今後も翔を走らせ、Diabloのデータを集めようとしているのは明白だ。 更に重要な事に、10年前の事故から生きて帰った翔の体の中には、Diabloの過剰反応を抑える抗体があるという。数々の実験の中で、唯一成功した…
まあ、そんな事実も翔にしてみれば、ふざけんなコンチクショー!というところだろう。 そういうわけなので、当然逃げる。 しかし、こういう悪の組織には、当然量産型黒服サングラスが配備されている。 進退極まった翔に救いの手を差し伸べたのが、冒頭で述べた山田健三だ。 健三は自分と愛車をボコボコにされながらも、翔を私に乗せ、更に牽引して脱出に成功したのだった。 す、すげーじゃん健三! ひょっとしてDiabloを投与されてないか? その活躍を称え、キミには「走り屋ケンちゃん」の称号を与えよう。(古い…)
ただ、この脱出劇で健三自身は負傷してしまった。翔が呼んだ救急車で病院に運ばれていく。 うう…なんて友情に厚いんだ、健三!お前こそ真の漢だ!
それはそれとして、意識をなくす前に健三が言っていたが、由佳や辻本が次の「サンプル」としてWON-TECに拉致されているらしい。 健三はサンプルとしての価値もないと判断され、放置されたとの事だ。 愚かなりWON-TEC。実験するなら健三しかないと思うのだが…。
実際は翔の行動を制限するための人質という可能性の方が高いが、健三の男気に打たれている今の翔には、救出という発想しかない。 いや、それはいいんだけど、もう少し下準備とか…
壊れてしまった健三のCVC。翔はそのトランクから、健三自作のステッカーを取り出した。 以前、自分がBLRのリーダーになったら張るんだと、嬉しそうに話していた逸品だ。
というような文字の配置で、バックにトレードマークのキャップがデザインしてある。 …あまりセンスが良いとは言えない。
しかし、翔は「お前も俺と共に戦うのさ…」とばかりに、それを私に貼り付ける。 いや、その…気持ちはよ〜くわかるんだけど…ちょっとカンベンしてもらいたいなあ…。
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