LastNight
The Long Good-Bye


-3-



辻本や由佳はベイラグーンタワーにとらわれているという健三の話だ。
辻本はともかく、由佳が混ざっているっていうのが何とも胡散臭い
彼女のドライヴィングスキルが健三に勝るとでもいうのだろうか。
勝っているかどうかについては、敢えて言及を避けるが…これは十中八九罠に決まっている。
のこのこと出かけていったら、たちまちの内に黒服に取り囲まれるという寸法だ。
更には、向こうには石川兄、楠木、そして藤沢までいる。(DARKNESS GPに出ていたのだが、忘れていた)
いくらなんでもちょっと分が悪いんじゃないか、翔?

だが、今やすっかり友情パワーに目覚めた翔は、何の迷いもなく救出に行くようだ。
うーむ、確かに、罠とわかっていても行かなくてはならん時が、人生にはあるが…
この男の場合、罠だとわかってない可能性も否定できないだけに複雑だ。

いずれにせよ、単なるクルマである私には意見も行動も許されず、こうして影で愚痴をこぼすくらいしかできないわけで…





さて、ベイラグーンタワーに通ずる道には、途中BLRの溜まり場がある。
BLRも現時点では翔しか残っていないので、誰もいないはず…だが、何やら団体さんが翔を待っていてくれていたようだ。
何故か青山菜々子…とその後ろには、予想通りトゥルースとラッシュを含む黒服(F型)が。

菜々子「チャオ!赤碕ちゃん、最初に謝っとくね〜〜、ごめんなさい〜!」

はあ?まさか、アンタもDriverなのか!?

菜々子「見ての通りのこの状況〜〜、直立不動の男、男、男〜〜。
う〜〜ん、信じてもらえるかわっかんないけど、はじめっからだますつもりはなかったの〜。
まっ、でも菜々子はいさぎよい子だから開き直っちゃいます。今から話す事は言い訳で〜す」


開き直る事が潔いのか…?
まあ、それはともかくとして、この女が翔を騙していたという話だが…どこで?
う〜ん、別に騙されたような覚えもないんだが、とりあえず話を聞いてみよう。


…話が長いので、要点だけ記す。(彼女が自覚している点は褒められる)
菜々子が初めてWON-TECと接触したのは、横浜GPの夜。祝勝会に紛れ込んでいたらしい。
そこでトゥルースに、チームが資金難でUnOfficialRACEを開催している事を話した。
その後色々あって、翔を積極的にUORに参加させる事で話がまとまったそうだ。
翔が自分を取り戻すためには、最高のSPEEDが必要であり、そのためのUORだったらしい。


いきなり見ず知らずの人間に、走り屋チームの資金繰りを相談するとは…わけわからん。
大体、勝った奴に¥1,000,000も出したりして、儲かったのは翔だけなんじゃないか?
それにWON-TEC、翔が自分を取り戻さないと困るというのはDiabloとその抗体に関係あるんだろうが、投与した薬剤のデータとあまり関係があるようには思えないのだが…
こういう事をしているから、10年前にも予算が不足したんだろう。

今、翔が自分を取り戻すために必要な称号は「ゲイル・ア・モーメント」だ。
一応、「横浜最速の男」以上の称号らしいので、合格なんだそうだ。嬉しいような嬉しくないような。
いや、翔の本来の性格はアレなのだから、自分を取り戻されても困る。全然嬉しくないぞ。

しかし、そんな私の思いとは関係なく、翔は晴れて拉致される資格ができたらしい。

早速ラッシュが、翔を薬で眠らせて連れて行く。
今の時点で、もし「横浜最速の男」未満だったら、そうなるまでUORをやらせるつもりだったんだろう。


…ついていけんわ。


The Night is COMPLETED




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