FinalNight The End Of Sweet Dream
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今や、「赤碕 翔」ではなく、【声】の男になってしまった翔。 どういうわけか自由になって、施設の中をうろついている。 とある部屋のドアを開けると、なんと石川や楠木、トゥルースにラッシュ等、WON‐TECのDriver達が、 鈍器で殴り殺されている。 げげっ、誰の仕業だ?まさか翔、お前… 他にも、10年間閉じ込められていた、かつての実験サンプルの生き残りとも出会った。 なるほど、こうしてみると、WON‐TECがいかに非道な行為を行ってきたかわかるが…
それにしても哀れなのは石川兄である。何も殴り殺されなくたって…。 しかし彼の活躍ぶりは、この話になくてはならない彩りを添えてくれた。(楠木は…?) ありがとう石川兄!! そしてさようなら!!
…少し前から警報が鳴り響いている。
「赤碕!目を覚ませ!!やばいゼ!!逃げるんだ!!」
「ねえ、赤碕!起きてったら起きて!」
倒れている翔に、辻本と由佳が必死に呼びかけている。
翔「……辻本……由佳……? ……俺は……」
おお、どうやら「赤碕 翔」に戻っているようである。 二人の話によると、扉のロックが外れたと思ったら警報が鳴りだし、地下駐車場まで来たら翔が倒れていたらしい。
翔「……ここは……?」
辻本「地下駐車場らしいな。オレ達のクルマは今のところ無事だ。 さっきの警報、聞こえただろ?Tower崩壊まであと5分だ!!」
…悪の本拠地が崩れ去るのは世の理か。
翔「……2分たってる……残り3分…………」
辻本「逃げるしかない……そうだろ?」
ええい、お前ら「…」が時間を食う原因だと、まだ気付かんのか!
いたる所で小爆発が繰り返され、瓦礫が床を埋めるTower地下。 辻本は全く何の苦もなく進んでいく。す、すげー、恐怖がないのか? 辻本アキラ…奴こそ最速の男なんじゃないだろうか。 やっとの思いでついて行く翔だが、この馬鹿…また身の程知らずに藤沢を探し出すなどと言い出した。
ええっ、まさか地下に戻るわけじゃないだろ? い、いやだぁ!せっかく処分を免れたというのに… いくら崖から落ちてもへっちゃらな私でも、ビルの瓦礫に埋まったら終わりだ! 行くんなら一人で行けっつーの!
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