FinalNight
The End Of Sweet Dream


-3-



崩壊していくベイラグーンタワー…
翔は鉄パイプを持って、ウォン・リーを追い詰めていた。
…って、お前、藤沢はどうしたんだ!
奴を探すんじゃなかったのか…。まさか、こっちが真の目的!?
人格が入れ替わっている様子もないが…人格統合されてきたのだろうか。

ウォン・リーに歩み寄り、鉄パイプを振り上げる翔。合掌…

と、その時、花火のような乾いた音が響く。
ゆっくりとウォン・リーが倒れ、その後ろに見えたのは、シュナイダー。
左手に銃を構えている。ひょっとして、コイツが撃ったのか?

シュナイダー「君が手を下す必要はない。
時代に取り残された愚か者たち、彼らを葬り去る事。それが私の仕事だった。
ウォン・リー……そして……D‐Projectに関係した全ての人物」


て事は、石川達を殺ったのも、タワーを爆破したのもコイツの仕業か。
しかし派手にやったな。爆破すればいいってもんじゃなかろう。
爆破が男のロマンである事は認めるがな。


シュナイダー「私は『Diablo』を持ってヨーロッパに凱旋する。
『Diablo』の障害は克服されなかった……。出来損ないのサンプルは、哀れな失敗続きだった。
だが……それがなんだ?わかるか?今の『Diablo』にはそれ相応の使い道がある」


シュナイダーが勝手に解説してくれたところによると、Diabloの欠点である意識のホワイトアウトや恐怖感の欠如。
それによって引き起こされる事故は、一部の人間にとっては、大きな利益を生む。
既に世間で報道されている大事故のいくつかは、そのようにして生み出されたものらしい。

シュナイダー「ここが崩れるまでしばしの時がある。君とGAMEを続けるくらいの時間の猶予は十分にある」

「……俺と……GAMEだと……ふざけるな……!!」

シュナイダー「君にはApologizeしなければならない。
これから話す事は、ささやかなお詫びのしるしだと思ってくれ」


「Apologize(言葉で謝罪する)」などと、いちいち断るあたりがムカつくな、こやつ。

それはそれとして、シュナイダーの話とは翔についてだった。

北海道で射殺された男…彼は川志摩サトルといい、D‐Plojectのチーフレジデントだった。
10年前…横羽線の事故の夜。川志摩は運び込まれた翔が、実験体ではないと一目でわかった。
だが、もしそうであるとシュナイダーが知れば、処分されてしまう。
そこで翔の命を救うべく、実験体として10年間眠らせたというわけだ。
自分がしてきた事に対する、せめてもの罪滅ぼしのつもりで。

シュナイダー「『Diablo』の抗体情報など……君にはない。
……『最後の希望』……我々が後生大事にCAREしCUREした君は……
何の価値も生み出さない、ただの走り屋だったのだ。
あの事故現場に居合わせただけの……偶然の走り屋……。
川志摩サトルの感傷を刺激したに過ぎない誰でもない男……それが『君』だ……」


な、なんて間抜けな話だ。
じゃあ何か?現在のDiablo騒動に関わった人間は全て、勘違いと思い込みで踊っていたに過ぎないって事なのか。
この事件で命を落とした連中…難馬、沢木、藤沢(これは違う)、石川兄、楠木、健三(これも違う)…
もう、ご愁傷様ですとしか言えません。
おめでとう、川志摩サトル!
本当の勝者は…君だ!
(意味不明)


そして、LAST BATTLE。
もうここまで来たら、理由なんてどうでもいいや。思う存分走ってくれ。

シュナイダー「REWARDSは……生活する自由。豚のような人生…生きる自由。
生きてもいいんだ……君にはその権利がある。
準備を整えるがいい。BayLagoon先端までのRACE……
君が死ぬか……私が死ぬか……GOALはDeadEnd」


はー…これでシュナイダー教授の講義も、めでたく終了ですな。



Battleが始まったら、そのまま逃げてしまう…というわけにはいかんのかな。





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