1stNight Midnight PlusOne
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ようやく健三を助けに行く気になった翔だが、その前に寄る所があるみたいだ。 翔が向かった先は、マリンタワーのすぐ近くにある「GS MILAGE」だ。BayLagoonRACINGのbQ「難馬恭司」がバイトをしている。 元々BayLagoonRACINGのメンバーは、ここのバイト仲間だったが、あまりに時給が安いのでみんな辞めてしまって、今では難馬しか残っていない。 その真面目な仕事振りから、今では次期店長候補だっていう話も… しかし…いつも思うが、この男は影が薄い。 キャラクターもそうだが、実力の方も目立たない。 藤沢のように飛び抜けて速いか、健三のように飛び抜けて遅いのなら注目度も上がるが、昨夜も藤沢、辻本、沢木に次いで4位じゃあ…やはり目立たない。 仕方がない。ここは私が一肌脱ごう。
どうだ、これだけ目立てば十分であろう。
難馬「よう!知ってるだろ?NightRACERSの奴らが藤沢先輩を探してる。 昨日の結果に納得いかないみたいなんだ。 山田にも由佳ちゃんにも連絡つかないし……」
そりゃそうだ。健三は今、一世一代の大ピンチ中(推測)だし。
難馬「おれは仕事抜けられないから、おまえ、頼むよ。妙な事にならんようにみんなをまとめてくれ」
…アンタ、人を見て物を言え。誰が何をまとめるって?ホラホラ、翔も悩んでるじゃないか。
難馬「なに考え込んでんだよ〜!心配だぜ〜〜。気を付けろよ!」
あーあ、すっかり他人事だ。いざって時にそういう態度だから……みなまで言うまい。 さて、そうと決まったら、早速…
難馬「そうだ〜〜 赤碕〜〜、おまえ、得したぞ〜〜」
のわっ!なんだ!
難馬「今GSプレゼントキャンペーン中なんだ〜。これもってけ〜」
と言ってエアクリーナーを手渡す難馬。随分豪華なプレゼントだな…。
ここの時給が安い原因…わかったような気がする。
もらうものだけもらって立ち去ろうとする翔を、難馬はまたしても引き止める。 ええい、何度も呼び止めるんじゃない!用件は一度に言え!
難馬「ここはGSだ。なんか忘れちゃいないか〜」
おお、それもそうだ。GSでする大事な事を忘れていた。
難馬「んで!!GS満タンしてけ〜?」
翔「GS満タン…………?」
はあ? …世間知らずだとは思っていたが…ここまでとは思わなんだ。
難馬「おうおう! 頼むぜ! 元バイト青年!」
そうだ難馬!もっと言ったれ! 良いか翔、GS満タンというのは…
難馬「『GS』はつまるところ『GAME SAVE』の略だぜ」
????????
難馬「全国各地の『GS』で『GAME SAVE』できるからこまめに満タンにしとけよ」
ガーン!知らなかった!そうか…「GS」は「GAME SAVE」…世の中は常に動いているんだなぁ… これから、私はどこでガソリンを補給したらいいんだろうか…
難馬「『GS』満タンのたびに、おれの顔を思い出す〜。いいな〜!」
やなこった。
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