■映画関連情報 |
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●映画主要スタッフ |
本書はウィリアム・フリードキン監督による映画(1973)というもう1つの傑作が存在する。
フリードキンはこれでアカデミー作品賞と監督賞の候補となる(ゴールデン・グローブ賞は
獲得した)。ストーリは原作者自らが脚本・製作に関与しているので、忠実だ(アカデミー
脚色賞受賞)。フリードキンのリアリズムを重視したドキュメンタリー・タッチの手法──
無機質な都会的な風景を登場人物への無駄な感情移入を排し描写している。それが得も言わ
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れぬ迫真な映像を映画版に与えている。映画スタッフもいい。特に、撮影部隊は功労者だ。
『THE FRENCH CONNECTION
/ フレンチ・コネクション』(1971)でも撮影監督を務めたオー
ウェン・ロイズマンは同作同様アカデミー撮影賞候補に挙がった。『GANDHI
/ ガンジー』
(1982)でアカデミー撮影賞などを受賞するビリー・ウィリアムズの映像美も素晴らしい。
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ロイズマンの「白く視覚化された吐息」や陰影の使い方などは絵画的さえある。ウィリアム
ズのロケ撮影したイラクの渇いた光景は物語の予感を募らせる。大袈裟な特殊撮影技術に頼
らず、工夫が凝らされたSFXも好感が持てるし、アカデミー音響賞を受賞した音響効果も
秀逸だ。他のアカデミー賞候補は主演女優賞・助演男優賞・助演女優賞・美術賞・編集賞。
フリードキンの趣向がオカルト映画の中で花開いた、その分野の最高傑作の1つであろう。
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●映画主要キャスト |
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俳優 |
……
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役名 |
エレン・バースタイン |
……
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クリス・マックニール |
マックス・フォン・シドー |
……
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メリン神父 |
リー・J・コッブ |
……
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ウィリアム・F・キンダーマン警部補 |
キティ・ウィン |
……
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シャロン・スペンサー |
ジャック・マッゴーラン |
……
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バーク・デニングス |
ジェイソン・ミラー |
……
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カラス神父 |
リンダ・ブレア |
……
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リーガン・マックニール |
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本作でアカデミー主演女優賞候補となったクリス役のE・バースタインは、同作品賞&監督
賞両候補(ピーター・ボグダノビッチ)の『THE
LAST PICTURE SHOW / ラスト・ショー』
(1971)で、同助演女優賞受賞のクロリス・リーチマンと共に同候補になった人物である。
『ALICE DOESN'T LIVE HERE
ANYMORE / アリスの恋』(1974)のアリス役で同主演女優賞
を受賞する。同主演女優賞候補作品である『SAME
TIME, NEXT YEAR / セイム・タイム、ネ
クスト・イヤー』(1978)や『RESURRECTION
/ レザレクション 復活』(1980)に出演した。
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メリン神父役のM・V・シドーはスウェーデン出身の演技派。本作製作時は40歳ほどで老け
役への挑戦であった。『THE
GREATEST STORY EVER TOLD / 偉大な生涯の物語』(1965)、
『HAWAII / ハワイ』(1966)などを経て、本作(ゴールデン・グローブ助演男優賞候補)と
『エクソシスト2』(1977)へ出演する。他に、『FLASH
GORDON / フラッシュ・ゴードン』
(1980)、アカデミー作品賞&監督賞両候補(ウッディ・アレン)の『ハンナとその姉妹』
(1986)に出演。同外国語映画賞受賞のカンヌ映画祭グランプリ作『PELLE
EROBREREN / ペ
レ』(1987)で同主演男優賞の候補にもなった。近年は同特殊効果賞受賞などになったリチ
ャード・マシスン原作『WHAT
DREAMS MAY COME / 奇蹟の輝き』(1998)へ出演している。
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キンダーマン警部補役のL・J・コッブはエリア・カザン監督のアカデミー作品賞&監督賞
受賞作『ON THE WATERFRONT
/ 波止場』(1954)や『THE BROTHERS KARAMAZOV / カラマー
ゾフの兄弟』(1958)で、同助演男優賞候補になった名優である。1976年、64歳で逝去した。
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カラス神父役のJ・ミラーは映画デビュー作である本作に抜擢され、アカデミー助演男優賞
の候補となった。以後、テレビ俳優として多く活動しているが、『トゥインクル・トゥイン
クル・キラーカーン』(1980)や『エクソシスト3』(1990)など関連作品へは出演している。
俳優としてだけでなく、劇作家の側面も持っている。オフ・ブロードウェイ時代に書いた戯
曲『 THAT CHAMPIONSHIP
SEASON / 闘士の季節』はブロードウェイで上演され、ニューヨ
ーク劇評家賞、トニー賞、ピュリッツアー賞の3賞に輝き、1982年に映画化もされている。
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当時14歳だったリンダ・ブレアは本作のリーガン役にスカウトされ、一躍有名になった。同
役で、アカデミー助演女優賞候補(及びゴールデン・グローブ新人女優賞候補)になるも、
取り憑かれた少女の声色がマーセデス・マッケンブリッジの吹き替えと知れて、受賞を逃し
たらしい。『エクソシスト2』(1977)へも出演。彼女はもう40歳になったとは早いものだ。
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●映画こぼれ話 |
『エクソシスト』制作中に関係者が幾人か変死を遂げたと囁かれ、映画の前宣伝にも流用さ
れたという。変死の事実に信憑性があるかどうかは定かではないが、オカルト映画製作には
そういう因縁があるのかもしれない(くわばらである)。また、イギリスで公開された時、
検閲によって、取り憑かれた少女が十字架で自慰行為をするシーンはカットされたようだ。
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