森 博嗣 もり・ひろし (1957〜)

  作家紹介  
 
■国立某大学工学部助教授というミステリ
1957年12月7日、愛知県生まれ。男性。国立名古屋大学工学部建築学科助教授(材料・生産
システム工学講座)。専門分野はコンクリート工学・レオロジー(フレッシュコンクリート
の流動解析手法とその応用などを研究している)。1996年4月、第1回メフィスト賞を受賞
した『すべてがFになる』で作家デビュー。その帯には「これぞ本格ミステリ! 綾辻行人
法月綸太郎我孫子武丸有栖川有栖 各氏絶賛!」とあった。前者3氏は島田荘司の推
薦によって講談社よりデビューした新本格派の面々、後者はほぼ同時期に東京創元社からデ
ビューした方である。これら諸氏のデビューによって起こった新本格ブームは一段落しては
いたが、京極夏彦という異才が前年に同じく講談社から出て、違う意味でのミステリブーム
の小波が巡っていた(とはいえ、この流れだけで僕が同書を手に取ったのではない。現役の
大学の先生が「ミステリを書いた」という興味深い事実が気になったからだろうと思う)。
■次回以降の予定というミステリ
『すべてが〜』は愛知県那古野(名古屋をモデルにした架空の地名と思われる)注記にある
国立N大学助教授・犀川創平と教え子・西之園萌絵嬢を主人公とするシリーズの1作目であ
るが、処女作ではない。同書(初版)折り返しには「次回以降の予定」と、4作品の題名が
列記されていた。デビュー間もない作家としてはこの事実は破格であり、出版社側(あるい
は作者自身)が絶対に売れるという自信を示唆するような記述が興味を抱かせる。森氏御本
人の開設しているホームページ 浮遊工作室 内のミステリィ制作部の情報によれば、処女作
はシリーズ2作目として発表された『冷たい密室と博士たち』で、1995年9月に書き上げら
れたとある。講談社主催のメフィスト賞に送った作品が『冷たい密室と〜』であるようだ。
3作目と4作目としてそれぞれ発表された『笑う数学者』(1995年10月執筆)『詩的私的ジ
ャック』(1995年11月執筆)の次に書かれたのが『すべてが〜』(1996年12月執筆)であっ
た。1作目が出版される2ヶ月前にはシリーズ5作目となる『封印再度』が完成していた。
そして、作者は知的でユニークな理系的観察眼と詩的レトリックを合わせ持った感覚で、魅
力ある登場人物と謎を提出することに成功したといえよう。しかして、同シリーズは10作が
書き継がれて、完結をみている。詩的感覚に重点が置かれた小品を集めた短編集『まどろみ
消去』と『地球儀のスライス』も出版されている。発表予定の新シリーズも楽しみである。
注記
愛知県名古屋市には実際に那古野という地名があることが判明した。名古屋市西区那古野な
どである。那古野(なごの)は名古屋の古い表記であるらしく、名古屋市は東へと開発が進
んだそうで、名古屋城以西の西区や中村区には那古野という地名が残存し、那古野神社とい
う由緒あるお社もあるという。上記情報を提供してくれた名古屋市在住のきょさんに感謝。
 
(1999.4.23 / 5.13 改訂 / 12.20 注記 高林廉) 
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