詰将棋には、指将棋の実戦で強くなるのに役に立つものと、役に立たないものがあります。前者の代表としては、例えば、中原誠の「自然流詰将棋」があります(持っていませんが(^^;))。それはそれで面白いのですが、私が好きなのは後者に分類される詰将棋です。この「本棚」では、そんなタイプの詰将棋本について書いていく予定です。
この作品集の作者 若島正氏は、詰将棋界で最高の賞と言われる看寿賞を通算7回も受賞した第一人者です。この本には作者の作品が、1手詰めから19手詰めまで計110題収録されています。
作品は「華麗」という名の通りで、隙のない構成に驚かされるばかりです。例えば、右の作品を見て下さい。簡素な初形から思いもかけない手順が飛び出し、流れるようにして最後は当然のように二枚の大駒の捨てての詰め上がりとなります。この作品についての作者のコメントは、「解くのはやさしいが、鑑賞用として眺めるならそれなりの意味がある」だそうです。私は、ほとんど鑑賞だけでした(^^;。
そんな作者が難しいという作品はどんなかというと、右のような感じです。ぱっと見ただけで、鬼手が出現することを当てられる人はいないでしょう。初手は何だと思いますか?
2001/7/22 追記:「盤上のファンタジア」によれば、この作品は「鑑賞というより出題用の詰将棋」だそうです。
この本自体の価値もさることながら、私にとっては詰将棋にはまるきっかけとなった本なので、特別な思いがあります。しかし、この本は今は書店にはおいていません。表紙の装丁もなんだか変だし…。同じシリーズにある羽生の「天才詰将棋」はときどき見かけるのですが。うーん。
上図の解答は、
▲1一飛 △1二歩 ▲同飛不成 △2四玉 ▲1五金 △3三玉 ▲3四歩 △2三玉
▲1四金 △1二玉 ▲3三歩成 △2一玉 ▲1二馬 △同玉 ▲2三金 △2一玉 ▲2二と まで。
下図の解答は、
▲3三馬 △同銀 ▲1三飛 △2二玉 ▲3一角成 △同玉 ▲3三飛成 △2一玉
▲1三桂 △1一玉 ▲1二銀 △同玉 ▲2四桂 △1一玉 ▲3一龍 まで。