現在では「スーパー四間飛車」で有名な小林健二八段ですが、この本はスーパー四間飛車より前に書かれた詰将棋の本で、5手詰から13手詰まで109問が収められています。
詰将棋作家としての小林健二はあまり知られていませんが、この本では比較的易しい問題がバランス良く出題されています。実戦に役立つ/役立たないで言うなら、この本は珍しく中間的な存在です。
よく「棋力アップに最適!」のようなうたい文句の詰将棋本がありますが、そのような本に載っている詰将棋はどこかで見たような面白くない問題が多くて、私はあまり好きではありません。この本にはそのような詰将棋もありますが、ところどころに作者の意図が伝わってくる詰将棋があって、当時まだ本格的な詰将棋になじんでいなかった私にはとても新鮮に映りました。
右の二問はそんな詰将棋です。
右上図は、今の私にとってはよくある筋としか感じませんが、初めて見たときにはすごいなあと思ったものです。実戦で役に立つようにと考えていては出てこない発想ですね。
右下図は、ヒントに「”偽作意”に御用心。」とあります。どれも簡単に詰んでしまいそうな中から最善の受けを考えるというのは、駒を捨てるばかりの詰将棋とはまたひと味違っていて、楽しいものでした。このあたりは、実戦の詰み?の問題選択傾向に影響しているかもしれません。
この本は将棋連盟から刊行された本なので、まだ手に入ると思います。とりあえず詰将棋をやってみようかという方にはおすすめします。
上の詰将棋の解答は、
▲2一金 △同玉 ▲2三龍 △同銀 ▲3三桂 △2二玉 ▲1一角 △同玉 ▲2一金 まで9手詰。
下の詰将棋の解答は、
▲4九飛 △2九飛合 ▲同飛 △同玉 ▲3九飛 △1八玉 ▲1九飛 △同玉 ▲7三角 △2九玉 ▲2八角成 まで11手詰。