PPP / Point to Point Protocol
■ PPP。Point to Point Protocol。 ポイントツーポイント型のWAN向けプロトコル。 OSI参照モデルでは、データリンク層に相当する機能を持つ。 RFC1661として標準化されている。 適用領域は、家庭からISPへのダイアルアップ接続など。 通常はアクセスサーバと端末間で使用する。 PPPプロトコル群は、3つのデータリンク層プロトコルから成る。 すなわち、ネットワーク層プロトコルを定義するNCP、 ポイントツーポイント接続を確立・構成・維持・切断する手法となるLCP、 パケットのカプセル化を行うMAC層プロトコルであるHDLCである。 PPPはSLIPと異なり、マルチプロトコルに対応しているため、 IP、IPX、AppleTalkなどを収容し、透過的に運ぶことができる。 またSLIPではできなかったマルチリンクに対応や 認証サーバによる認証(オプション)もできるようになっている。 ■ フレームフォーマット。 PPPヘッダはIPヘッダと比較して非常にシンプルな構造である。 PPPは、HDLC手順に類似したフレーム構成をしている。 HDLCヘッダと各ネットワーク層プロトコルのプロトコル番号で構成される。 またトレーラとして、FCSの領域を持っている。 PPPは、この領域で誤り検出を行い、再送制御を行なうことがきる。 +------------+------------+-------------------------+---------+ | HDLC | プロトコル | データ | FCS | | ヘッダ | 番号 | (IPパケット等) | | +------------+------------+-------------------------+---------+ ←------ PPPヘッダ ------→ ■ セッションの確立。 PPPセッションの確立には、3つのフェーズがある。 (1) リンク確立フェーズ LCPを利用して情報を交換し、データリンクを確立する。 (2) 認証フェーズ (オプション) LCPでリンクを確立した後、PAP方式またはCHAP方式による認証を行なう。 (3) ネットワーク層プロトコルフェーズ NCPを利用して、ネットワーク層の複数のプロトコルを接続する。 ■ LCP。Link Control Protocol。 PPPのリンク確立フェーズを担うプロトコル群。 リンク機能や品質を決めるパラメータを決定した上で、 ポイントツーポイント接続を確立、維持し、また必要に応じて切断する。 LCPはオプションとして、 認証プロトコル(PAPまたはCHAP)を決定し、 またRADIUS等と連携して、認証を実施する機能を持つ。 LCPによるリンクの確立、及び認証が成功すれば、 PPPセッションは、次のNCPフェーズに移行する。 ■ NCP。Network Control Protocol。 PPPのネットワーク層プロトコルフェーズを担うプロトコル群。 ネットワーク層プロトコルを確立し、また設定する。 たとえば、ネットワーク層プロトコルがIPであれば、 IPCP(IP Control Protocol)を使用する。 このIPCPは、RFC1332に規定されており、 IPヘッダを圧縮するほか、パソコンへのIPアドレスを割当て等を行う。 同様に、ネットワーク層プロトコルにIPXを使用する場合は、 IPXCP(IPX Control Protocol)を、 AppleTalkを使用する場合には、ATCP (AppleTalk Control Protocol)を 使用する。 ■ PAP。Password Authentication Protocol。パップ。 PPPで使われる認証プロトコルの1つ。RFC1334として標準化されている。 PAPは、単純なパスワード認証方式であり、ユーザIDとパスワードを使用する。 このときパスワードが暗号化されず、プレーンテキスト(平文)で送られるため、 途中で盗聴されると、第三者にパスワードが漏えいする。 またパスワードの桁数は限られるため、本質的に、 パスワードを片っ端から試す総当り攻撃に弱い。 このように、PAPは比較的セキュリティが低いとされている。 なおPAP認証は、最初のリンク確立時に1回だけ行われる。 ■ CHAP。Challenge-Handshake Authentication Protocol。チャップ。 PPPで使われる認証プロトコルの1つ。RFC1994として標準化されている。 CHAPは、チャレンジ・レスポンス認証方式を使用する。 クライアントは、サーバから受け取った乱数(チャレンジ)で、 パスワードをハッシュ演算(MD5)して、その結果を返送する(レスポンス)。 このとき、サーバでも同じ計算を行っており、 双方の計算結果が合致した場合に、正規ユーザと認められる。 もしも一致しなかった場合は、リンクは直ちに切断される。 このように、CHAPではパスワード自体を送受信することがなく、 またサーバから送られる乱数は毎回異なるため、セキュリティが高い。 CHAP認証は、リンク確立時だけでなく、一定時間ごとに定期的に行なわれる。 ■ PPPoA。PPP over ATM。ピーピーピーオーエー。 ATMの論理回線上でPPP接続を行なうための仕様。 RFC2364で標準化されている。 近年のADSLサービスでは、 通信事業者が設置するBAS(ブロードバンドアクセスサーバ)と ユーザ宅内のADSLモデムの間で利用されており、 IPアドレスの自動割当やユーザ認証のために使用されている。 なお、下記のPPPoEを利用する場合は、PPPoAは使用しない。 ■ PPPoE。PPP over Ethernet。 Ethernet回線上でPPP接続を行なうための仕様。 RFC2516で標準化されている。 近年のADSLサービスでは、 通信事業者が設置するBAS(ブロードバンドアクセスサーバ)と ユーザ宅内のブロードバンドルータまたはパソコンの間で利用されており、 IPアドレスの自動割当やユーザ認証のために使用されている。 なお、上記のPPPoAを利用する場合は、PPPoAは使用しない。 [参考] PPPoEブリッジ機能とは 以上。 2004/02/20 pm