| ■4次方程式の根の公式(続き) |
| 前述で求めた4次方程式の根をもう少し別の形で表示したい。 |
| f(X)=X4+aX2+bX+c=0の根を |
α1= (a+2T1)1/2/2+M1/2(a+2T1)
α2= (a+2T1)1/2/2−M1/2(a+2T1)
α3=−(a+2T1)1/2/2+M2/2(a+2T1)
α4=−(a+2T1)1/2/2−M2/2(a+2T1) |
| とすると、 |
α1+α2=(a+2T1)1/2
α1+α3=(M1+M2)/2(a+2T1)
α1+α4=(M1−M2)/2(a+2T1) |
| が明らかに成立することが分かる。 |
| そこで、α1+α2=β、α1+α3=γ、α1+α4=δとおこう。 |
| また、4次方程式の根と係数の関係は |
α1+α2+α3+α4=0
α1α2+α1α3+α1α4+α2α3+α2α4+α3α4=a
α1α2α3+α1α2α3+α1α2α4+α2α3α4=−b
α1α2α3α4=c |
| であることに注意する。注4 |
| 注4 |
| X4+aX2+bX+c=(X−α1)(X−α2)(X−α3)(X−α4)を展開して係数を比べればよい。 |
| α1+α2+α3+α4=0より、
β+γ+δ=3α1+α2+α3+α4=2α1+(α1+α2+α3+α4)=2α1
β−γ−δ=−α1+α2−α3−α4=2α2−(α1+α2+α3+α4)=2α2
−β+γ−δ=−α1−α2+α3−α4=2α3−(α1+α2+α3+α4)=2α3
−β−γ+δ=−α1−α2−α3+α4=2α4−(α1+α2+α3+α4)=2α4 |
| となるから、 |
α1= (β+γ+δ)/2 α3=(−β+γ−δ)/2
α2= (β−γ−δ)/2 α4=(−β−γ+δ)/2 |
| と表される。 |
| 上記の根の表現から3次方程式の場合とパラレルに、変数を一つ増やしX=U+V+Wとおけば4次方程式は解けるということも分かる。 |
U=±β/2 4U2=β2
V=±γ/2 という組み合わせで根X=U+V+Wは決まるから、4V2=γ2
W=±δ/2 4W2=δ2 |
| という関係があるが、
β,γ,δの間には次のような関係が成立する: |
β2+γ2+δ2=−2a
β2γ2+γ2δ2+δ2β2=a2−4c ……(6)注5
βγδ=−b (β2γ2δ2=b2) |
| (6)を根と係数の関係として考えれば、β2,γ2,δ2を根とする3次方程式 |
| g(Y)=Y3+2aY2+(a2−4c)Y−b2=0 ……(7) |
| が得られる。g(Y)=0はf(X)=0の決定方程式と呼ばれ、D(f)=D(g)が示される。判別式を実際に計算すれば、注6 |
| D=16a4c−4a3b2−128a2c2+144ab2c2−27b4+256c3 |
| 以上をまとめると、注7 |
| 4次方程式X4+aX2+bX+c=0の根は、
X= (β+γ+δ)/2, (β−γ−δ)/2,
(−β+γ−δ)/2,(−β−γ+δ)/2である。
ただし、
β =(a+2T1)1/2
γ =(M1+M2)/2(a+2T1)
δ =(M1−M2)/2(a+2T1)
T1=(P1+Q1)/2−5a/6
P1={−B/2+(−D/108)1/2}1/3
Q1={−B/2−(−D/108)1/2}1/3
A =−(a2/3+4c)
B =−2a3/27+8ac/3−b2
D =−27B2−4A3
=16a4c−4a3b2−128a2c2
+144ab2c2−27b4+256c3
M1={(a+2T1)(a2−4c)−b2+2b(a+2T1)3/2}1/2
M2={(a+2T1)(a2−4c)−b2−2b(a+2T1)3/2}1/2 |
|
| 注5 |
| α1+α2+α3+α4=0より、 |
β2=(α1+α2)2=−(α1+α2)(α3+α4)
γ2=(α1+α3)2=−(α1+α3)(α2+α4)
δ2=(α1+α4)2=−(α1+α4)(α2+α3) |
| 根と係数の関係を用いて次のような関係が成立する。 |
β2+γ2+δ2
=−{(α1+α2)(α3+α4)
+(α1+α3)(α2+α4)
+(α1+α4)(α2+α3)}
=2(α1α2+α1α3+α1α4+α2α3+α2α4+α3α4)
=−2a |
β2γ2+γ2δ2+δ2β2
= (α1+α2)(α3+α4)(α1+α3)(α2+α4)
+(α1+α3)(α2+α4)(α1+α4)(α2+α3)
+(α1+α4)(α2+α3)(α1+α2)(α3+α4)
= (α1α2+α1α3+α1α4+α2α3+α2α4+α3α4)2
+(α1α2α3+α1α2α3+α1α2α4+α2α3α4)
×(α1+α2+α3+α4)
−4α1α2α3α4
=a2−4c |
βγδ
= (α1+α2)(α1+α3)(α1+α4)
= (α1α2α3+α1α2α3+α1α2α4+α2α3α4)
+α12(α1+α2+α3+α4)
=−b |
| 注6 |
α1−α2=γ+δ α1−α3=β+δ α1−α4=β+γ
α2−α3=β−γ α2−α4=β−δ α3−α4=γ−δ
であるから、 |
D(f)
={(α1−α2)(α1−α3)(α1−α4)
(α2−α3)(α2−α4)(α3−α4)}2
={(γ+δ)(β+δ)(β+γ)(β−γ)(β−δ)(γ−δ)}2
={(β+γ)(β−γ)(β+δ)(β−δ)(γ+δ)(γ−δ)}2
={(β2−γ2)(β2−δ2)(γ2−δ2)}2
=D(g) |
| また、Y=Z−2a/3とおくと、 |
| g(Z−2a/3)=Z3−(a2/3+4c)Z−2a3/27+8ac/3−b2
A=−(a2/3+4c)
B=−2a3/27+8ac/3−b2
であったから、
Z3+AZ+B=0で、D(g)=−27B2−4A3=D |
∴ D=−27(−2a3/27+8ac/3−b2)2+4(a2/3+4c)
3
=−27(4a6/729−32a4c/81
+4a3b2/27+64a2c2/9−16ab2c/3+b4)
+4(a6/27+4a4c/3+16a2c2+64c3)
=−4a6/27+32a4c/3−4a3b2−192a2c2+144ab2c +4a6/27+16a4c/3 + 64a2c2
−27b4+256c3
=16a4c−4a3b2−128a2c2
+144ab2c2−27b4+256c3 |
| 判別式の計算は決定方程式を経由しないで、定義に従って計算すると大変である。 |
| 注7 |
| これらを手計算で求めようとすると容易ではない。数学用計算ソフトを活用するのが望ましいだろう。もっとも、分かり易い形で求めることには限界がある。 |
| ■5次以上の代数方程式について |
| 3次方程式や4次方程式の上記で見た解法はそれぞれ低次の解法へと帰着させながら解いていった。5次方程式も4次方程式以下の解法へ帰着させればうまく解けるのではないかと思われる人がいるであろう。 |
しかし、5次以上の方程式は代数的に解けないことが、アーベル(Abel
1802-1829)
とガロワ(Galois
1811-1832)によって独立に証明されている。注8 |
| 注8 |
| 特に、ガロワの方法はガロワ群と呼ばれる概念を用いた代数学において重要な理論となっている。 |