| ■極形式による複素数の表示 |
複素数を複数平面に図示するのに、三角関数を用いた極形式(polarform)と呼ばれる以下で説明する表示法は非常に便利である。
複素数Z=a+biに対し、|Z|=rとおく。P(a,b)で、実軸の正の方向を始線
としてOPを動径とする角をθとする(図4)。 |
図4 極形式
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三角関数の定義から
a/r=cosθ
b/r=sinθ
となる。
よって、
a=rcosθ
b=rsinθで、
Z=r(cosθ+sinθi)
と表すことができる。このθをZの偏角(argument)といい、argZで表す。注3 |
| 注3 |
| |Z|=r=0の時、偏角θは自由に定めると規約する。また、|Z|=0となる時はZ=0に限ることはすぐ分かる。ここで、argZは確定した値ではなく、2πの整数倍で同じ複素数を表すことに注意する。 |
| ■複素平面における和差積商の作図 |
| 作図の前に、複素数の極形式から分かる絶対値や偏角の性質を見てみよう。
2つの複素数Z1、Z2に対し、argZ1=θ1、argZ2=θ2とすると、
Z1=|Z1|(cosθ1+sinθ1i)
Z2=|Z2|(cosθ2+sinθ2i)となるから、
Z1・Z2
=|Z1||Z2|(cosθ1+sinθ1i)(cosθ2+sinθ2i)
=|Z1||Z2|
×{(cosθ1cosθ2−sinθ1sinθ2)+(cosθ1sinθ2+sinθ1cosθ2)i}
=|Z1||Z2|{cos(θ1+θ2)+sin(θ1+θ2)i} (∵ 加法定理)
∴ |Z1・Z2|
= |Z1||Z2|
……(1)
arg(Z1・Z2)=argZ1+argZ2……(2) |
ここで、Z2≠0とする。従って、|Z2|≠0
(Z1/Z2)・Z2=Z1であるから、
(1)より、|(Z1/Z2)・Z2|=|Z1|であり、|Z1/Z2|・|Z2|=|Z1|
∴ |Z1/Z2|
= |Z1|/|Z2|
……(3)
また、arg{(Z1/Z2)・Z2}=argZ1であるから、
(2)より、arg(Z1/Z2)+argZ2=argZ1
∴ arg(Z1/Z2)=argZ1−argZ2……(4)注4 |
| 注4(3)(4)はある偏角の値に対して、この等式が成立することを意味している。 |
| まず、Z1=a+bi
Z2=c+di
P1(a,b) P2(c,d)とし、Z1とZ2の和と差の作図をする。 |
| 和:
Z1+Z2=(a+c)+(b+d)i
であり、Q(a+c,b+d)とおく。
線分P1P2の中点の座標は
((a+c)/2,(b+d)/2)
で、線分OQの中点と一致するから、
OP1QP2は平行四辺形になる。
OP1とOP2を二辺とする平行四辺形
を描いて、対角線OQを与える頂点Qが
Z1+Z2を表す(図5)。 |
差:
Z1−Z2=(a−c)+(b−d)i
であり、R(a−c,b−d)とおく。
(Z1−Z2)+Z2=Z1ゆえ、
Z1−Z2とZ2の和でZ1が求まると
考えればよい(図5)。
OP1を対角線、OP2を一辺とする
平行四辺形OP2P1Rを描き、P2P1の対辺ORを与える頂点RがZ1−Z2
を表す。 |
図5 和差の作図 |
| 次に、Z1とZ2それぞれを表す点をP1、P2とおき、E(0,1)とし、上記の等式(1)〜(4)を留意しながら、Z1とZ2の積と商を作図する。 |
| 積:
∠EOP1=∠P2OS、∠OEP1=∠OP2Sとなるように点Sを取ると、
三角形OEP1と三角形OP2Sは相似となる(図6)。
そこで、
∠EOS=∠P2OS+∠EOP2=∠EOP1+∠EOP2=argZ1+argZ2
=arg(Z1・Z2)
OP1:OS=OE:OP2 ∴ OS・OE=OP1・OP2
OE=1より、
OS=OP1・OP2=|Z1||Z2|=|Z1・Z2|
以上から、点SがZ1・Z2を表す。 |
図6 積の作図 |
| 商:
Z2≠0とする。
(Z1/Z2)・Z2=Z1であるから、、積の作図より、
三角形OP1Tと三角形OP2Eが相似となるように点Tを取ればよい(図7)。
∠T0P1=∠EOP2で、
∠EOT=∠EOP1−∠T0P1=∠EOP1−∠EOP2=argZ1−argZ2
=arg(Z1/Z2)
OP1:OT=OP2:OE ∴ OP1・OE=OT・OP2
OE=1で、OP2≠0より、
OT=OP1/OP2=|Z1|/|Z2|=|Z1/Z2|
以上から、点TがZ1/Z2を表す。 |
図7 商の作図 |
| 上記のように、複素数の四則演算による結果は複素平面に作図できる。複素平面というものが簡単にではあるが、どのようなものかおおよその所はご理解頂けたのではないかと思う。次節では、代数学における複数平面の利用法を見てみたいと思う。 |