フィボナッチ数列(1)

■フィボナッチ数列
前節で説明した黄金比と関連する数列で、フィボナッチ(fibonatcci 1180?-1250?)が発見した数列がある。
{a}:1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,……
注意深く見れば、前2項の和を次項とするように作られた数列である。
即ち、a=a=1とし、3項間漸化式 an+1=a+an−1(n≧2)で数列は与えられる。
まず、どのような事象の数学モデルとしてフィボナッチ数列が現れるか見てみよう。
雌雄一組の兎がいたとしよう。まだ、この兎のつがいは幼生体であるが、一定期間の後に成長し、生殖能力を持つ成体になる。実際には成体になるまでの期間も、繁殖によって産まれてくる個体数もまちまちであり、成体になる以前に死亡する場合や繁殖能力を持たない遺伝的奇形もあるのかもしれないので個体数の増え方は一様ではないが、概ね繁殖を繰り返し兎の個体数は増大してゆく。
そこで、次のような条件を満たすと仮定して個体数の増加の仕方がどのようであるか計算をしてみたい。 
条件(a) 幼生体の兎のつがいは1ヶ月すると、必ず成体となる。 
条件(b) 成体の兎のつがいは1ヶ月すると、必ず1つがいを産む。 
条件(c) 兎は生殖能力を有し、考える期間において死亡しないものとする。
(最初の月) 幼生体の1つがいがいる。 
(1ヶ月後) 1つがいの幼生体は成体となる。 
(2ヶ月後) 1つがいの成体は1つがいを産む。 
(3ヶ月後) 1つがいの成体は1つがいを産み、1つがいの幼生体は成体となる。 
(4ヶ月後) 2つがいの成体は2つがいを産み、1つがいの幼生体は成体となる。 
(5ヶ月後) 3つがいの成体は3つがいを産み、2つがいの幼生体は成体となる。 
(6ヶ月後) 5つがいの成体は5つがいを産み、3つがいの幼生体は成体となる。
同様に、つがいを単位として個体数を数えた表は次のようになる。
 
期間
10
11
12
幼生体(組)
13
21
34
55
89
 成体 (組)
13
21
34
55
89
144
総つがい数
13
21
34
55
89
144
233
 
n≧2として、
 (nヶ月後の成体のつがい数)=(n−1ヶ月後の成体と幼生体のつがい数) 
               =(n−1ヶ月後の総つがい数) 

(nヶ月後の幼生体のつがい数)=(n−1ヶ月後の成体のつがい数) 
               =(n−2ヶ月後の総つがい数)

∴ (nヶ月後の総つがい数)=(n−1ヶ月後の総つがい数) 
                         +(n−2ヶ月後の総つがい数)
最初(0ヶ月後と便宜的に規約)と1ヶ月後の総つがい数はそれぞれ1であるから、 
f(n)=(nヶ月後の総つがい数)とおけば、
f(0)=f(1)=1であり、f(n)=f(n−1)+f(n−2)(n≧2) 
これはフィボナッチ数列である。
■3項間漸化式と特性方程式
一般に、a,a及び 3項間漸化式 an+1=pa+qan−1(pq≠0)が与えられている時、a一般項は以下のように求めることができる。
特性方程式(characteristic equation)と呼ばれるX=pX+qという方程式を作り、その根をα,βとおく。
根と係数の関係から、α+β=p,αβ=−qとなる。注1
∴ 漸化式は an+1=(α+β)a−αβqan−1と書けるので、次のように変形できる。
 an+1−αa=β(a−αan−1)……(1) 
 an+1−βa=α(a−βan−1)……(2)
α≠βの場合:
(1)は数列{an+1−αa}が初項a−αa、公比βの等比数列 
(2)は数列{an+1−βa}が初項a−βa、公比αの等比数列 
となることを示すので、
 an+1−αa=βn−1(a−αa)……(3) 
 an+1−βa=αn−1(a−βa)……(4) 
を得る。注2
(3)と(4)の辺々を引けば、 
 (α−β)a=αn−1(a−βa)−βn−1(a−αa 
とan+1が消去できて、両辺をα−β(≠0)で割ればaが求まる。
α=βの場合:
(1)と(2)従って(3)と(4)は一致し、 
 an+1−αa=αn−1(a−αa)……(5) 
を得る。
(5)の両辺をαn+1(≠0)で割れば、 
 an+1/αn+1−a/α=(a−αa)/α……(6)
(6)は数列{a/α}が初項a/α、公差(a−αa)/α等差数列 
であることを示すので、
 a/α=a/α+(n−1){(a−αa)/α}を得る。注3
上式の両辺にα(≠0)を掛ければ、 
 a=aαn−1+αn−2(n−1)(a−αa 
   =aαn−1+αn−1(n−1)(a/α−a 
となり、aが求まる。
以上を整理してまとめると、 
  
,a及び3項間漸化式 an+1=pa+qan−1(pq≠0) 
で数列{a}が与えられる時、 

α,βをその特性方程式X=pX+qの根とすると、 

一般項は 
     a=Aαn−1+Bβn−1  (α≠β) 
     a=(C+nD)αn−1   (α=β) 
となる。 

     ただし、 
         A=(a−βa)/(α−β) 
         B=(a−αa)/(β−α) 
         C=2a−a/α 
         D= a+a/α 
     とする。

 
注1
−pX−q=0と(X−α)(Xーβ)=X−(α+β)+αβ=0の係数を比べればよい。
また、pq≠0であるからp≠0かつq≠0で、αβ=−q≠0より、α≠0かつβ≠0
に注意しておく。
注2
数列{a}が初項a、公比rの等比数列である時、2項間漸化式はan+1=ra 
で与えられ、一般項はa=rn−1aとなる。
注3
数列{a}が初項a、公差dの等差数列である時、2項間漸化式はan+1−a=d 
で与えられ、一般項はa=a+(n−1)dとなる。
 
 (1999.8.27 高林廉)  
 
 黄金分割と黄金比
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