| ■分数と小数 |
我々は数を表す場合、使い勝手によって分数と小数の二通りの表現を用いる。分数で表現
できる数を有理数といったが、無理数の性質は小数で考えてみると、よりいっそう明確になる。 |
0.25
0.333333……
0.121212……
という三つの小数を例に考えてみる。 |
0.25=25/100=1/4であり、小数点以下の数列が有限で終わるものを有限小
数という。後者はこれと異なり小数点以下に数列が無限に続く小数であるが、その数列の並び方に特徴がある。 |
| 0.333333……=1/3はすぐ分かるであろうが、後者を分数で表すには工夫が必要になる。0.121212……=0.12+0.0012+0.000012+……という無限等比級数となることに注意すればよい。 |
0.12
0.0012 =0.12 × 0.01
0.000012=0.0012× 0.01
=0.12 ×(0.01)2
……という風に各項がなっている。 |
| S=0.12+0.0012+0.000012+……とおき、上に注意して、0.01×Sとしてみる。0.01S=0.0012+0.000012+……で右辺に同様の級数が現れるので、その差を考えると、0.99S=0.12を得る。注6 |
| ∴ S=0.12/0.99=12/99=4/33 |
| 循環する同じ節が含まれている上記のような小数は循環小数といい、循環節といわれる繰り返す数字の最初と最後(一桁ならばその上のみ)にドットをつけて、
・
0.333333……=0.3
・・
0.121212……=0.12
・ ・
0.123123……=0.123
のように表現を簡略化する。 |
| 有理数は有限小数か循環小数として表現可能であるが、√2、π、eなどは非循環小数である。 |
| 注6 |
| 一般に、数列{an}から作られた形式和a1+a2+a3+……を級数といい、狽nで表す。第n部分和Sn=a1+a2+a3+……+anという各項の和による新しい数列を考え、部分和列{Sn}が収束(つまり、確定した有限の値を持つ)して極限Sを持つ時、級数狽nは収束するといい、Sを級数の和と呼ぶ。その時、狽≠氏≠rと書く。 |
| {Sn}が発散する(つまり、有限確定な値が定まらない)時、級数狽nは発散するという。特に、{Sn}が∞(または−∞)に発散する時は、狽≠氏=(または−∞)と書く。 |
| 数列{an}がan=arn−1(初項a、公比r)なる等比数列の場合、Snは簡単に求めることができ、狽nの和が求まる(自明なa=0の時は除く)。 |
| r=1の時、an=a(一定)で明らかにSn=naであり、aの正負に応じ、Sn→∞(または−∞)となるから、狽n=∞(または−∞)となる。ゆえに、r≠1とする。 |
Sn=a+ar+ar2+……+arn−1
の両辺にrを掛けると、
rSn=ar+ar2+……+arn−1+arn |
それぞれの差をとって、Sn−rSn=a−arn ∴(1−r)Sn=a(1−rn)
1−r(≠0)で割ると、Sn=a(1−rn)/(1−r) |
ここで、−1<r<1ならば、rn→0(n→∞)ゆえ、Sn→a/(1−r)
即ち、狽n=a/(1−r)(−1<r<1)が分かる。
この場合には、a=0.12、r=0.01とすればよい。 |
また、S=0.1212……の両辺に100を掛け、100S=12.1212……として、その差から求めても同様の結果が得られる。
これは上記の論法でrの代わりに、1/rを掛け
て級数の各項を相殺したことと同じである。 |
| ■虚数と複素数 |
| 自然数、整数、有理数、実数と数の概念を拡張してきた。しかし、それだけでは充分ではない。例えば、X2+4=0という代数方程式を解こうとすると、X2=−4であり、二乗して負になるようなXは実数の範囲では見つからない。 |
そこで、二乗して負になるように虚数(imaginary
number)を導入し、特に二乗し−1になる数√−1を虚数単位iで表す。即ち i2=−1
そうすれば、X2=−4は解けて、 X=±√−2=±√2iとできる。 |
| 実数a、bに対して、Z=a+biなる数を複素数(complex
number)と呼び、その全体をCで表す。aを実部(real
part)、bを虚部(imaginary
part)といい、各々をRe(Z)、Im(Z)で記すこともある。a=0の時、純虚数と呼ばれる。 |
Z1=a+bi Z2=c+di(a,b,c,d∈R)に対し、
Z1=Z2⇔「a=cかつb=d」と定義し、
Cに四則演算を以下のように導入する:注7 |
| 和 Z1+Z2=(a+bi)+(c+di)=(a+c)+(b+d)i |
| 差 Z1−Z2=(a+bi)−(c+di)=(a−c)+(b−d)i |
積 Z1・Z2=(a+bi)・(c+di)=ac+adi+bci+bdi2
=(ac−bd)+(ad+bc)i |
商 Z1/Z2=(a+bi)/(c+di)
=(a+bi)・(c−di)/(c+di)(c−di)
={(ac+bd)+(−ad+bc)i}/{c2−(di)2}
={(ac+bd)+(bc−ad)i}/(c2+d2)
={(ac+bd)/(c2+d2)}+{(bc−ad)/(c2+d2)}i |
| (ただし、除法の場合、Z2≠0即ち「c≠0またはd≠0」) |
| 注7 |
| 虚部が0ならば複素数は実数であるからR⊂Cである。つまり、Rを含むようなものとしてCを作り、これらの定義はRまでで成立した性質を壊さないように自然な形で導入したものである。二つの複素数が実数つまり、その虚部が0なる時、実数での法則が成立することは容易に確かめられる。この演算規則に従って、結合法則、分配法則、交換法則などが実数の場合と同様に成立する。 |
| 今までごく直感的に数を拡張をしてきたが、厳密に数を構成してゆく為には代数学や解析学の抽象概念を学ばなければならない。Zは環(ring)、Q、R、Cは体(field)と呼ばれる演算構造などを有した集合であるが、抽象論を用いることによってその構造がより明らかになる。 |
| 興味のある方は以下のような少し進んだ専門書を読んでも面白いのではないかと思う。 |
『代数系入門』松坂和夫 岩波書店
(根気がいるかもしれないがいい本である)
『初等代数学』成田正雄 共立出版 共立数学講座7
(初学者にも親切であるが絶版だろう) |