第5章 IPルーティング
■ ルーティングテーブルの表示
シスコルータ上に作成したルーティングテーブルを表示する。
Router#show ip route (sh ip r)
ルーティングテーブルの表示例。
ルータに接続されたサブネットの総数と、
各サブネットに割り当てられたインターフェースが記載されている。
172.16.0.0/24 is subnetted, 2 subnets
C 172.16.20.0 is directly connected, Ethernet0
C 172.16.10.0 is directly connected, Serial0
このように、デフォルトの状態では、
ルータに直接接続されたネットワークだけが認識されている。
■ スタティックルートの設定
シスコルータ上でスタティックルートを作成する。
Router(config)#ip route [desrination network] [mask]
[next_hop_address / exit_interface] ([administrative_distance] [permanent])
具体的なコマンド入力例。
Router#ip route 172.16.20.0 255.255.255.0 172.16.11.1
ルーティングテーブルを確認してみる。
172.16.0.0/24 is subnetted, 3 subnets
S 172.16.20.0 [1/0] via 172.16.11.1
C 172.16.11.0 is directly connected, Ethernet0
C 172.16.10.0 is directly connected, Serial0
左端のSは、スタティックエントリであることを表す。
また、エントリ中の[1/0]は、
そのルートのアドミニストレーティブディスタンスが1であることと、
そのネットワークへのホップ数が0であることを示している。
■ デフォルトルートの設定
シスコルータ上でデフォルトルートを作成する。
Router(config)#ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 [next_hop_address / exit_interface]
Router(config)#ip classless
具体的なコマンド入力例。
Router(config)#ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 172.16.11.1
Router(config)#ip classless
ルーティングテーブルを確認してみる。
172.16.0.0/24 is subnetted, 2 subnets
C 172.16.11.0 is directly connected, Ethernet0
C 172.16.10.0 is directly connected, Serial0
S* 0.0.0.0 [1/0] via 172.16.11.1
左端のS*は、デフォルトルートであることを表す。
また、エントリ中の[1/0]は、
そのルートのアドミニストレーティブディスタンスが1であることと、
そのネットワークへのホップ数が0であることを示している。
■ RIPの設定
シスコルータでRIPを起動するには、
グローバルコンフィグレーションモードで router rip と入力する。
するとRIPが起動し、ルータRIPコンフィグレーションモードに入る。
このとき、プロンプトは Router(config-router)# になる。
さらにnetworkコマンドで、経路表の通知対象となるネットワークを指定する。
RIPv1の場合、クラスフル境界でしか指定できないことに注意する。
具体的なコマンド入力例。
Router(config)#router rip
Router(config-router)#network 172.16.0.0 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (※)
ルーティングテーブルを確認してみる。
172.16.0.0/24 is subnetted, 3 subnets
C 172.16.30.0 is directly connected, Ethernet0
C 172.16.20.0 is directly connected, Serial0
R 172.16.10.0 [120/3] via 172.16.20.1, 00:00:04, Serial0
左端のRはRIPを使用して追加されたエントリであることを示す。
また、エントリ中の[120/3]は、
そのルートのアドミニストレーティブディスタンスが120であることと、
そのネットワークへのホップ数が3であることを示している。
(※) さらにversionコマンドを入力すれば、RIPv2を使用することができる。
Router(config-router)#version 2
■ パッシブインターフェース
シスコルータは特定のインターフェースを指定して、
RIP更新の送信を停止することができる。
ここで指定されるインターフェースを、パッシブインターフェースと呼ぶ。
パッシブインターフェースを指定するには、passive-interfaceコマンドを使う。
なお、パッシブインターフェースであっても、更新を受信することはできる。
Router(config-router)#passive-interface Serial0
■ RIP設定の確認
ルーテッドプロトコルと使用可能なインターフェースを表示。
Router#show protocols (sh p)
ルーティングプロトコルと、
ルーティングプロトコルが使用しているタイマー値を表示。
Router#show ip protocols (sh ip p)
ルーティング情報(RIP)の送受信状況を表示。
Router#debug ip rip
上記のデバッグ動作を中止する。
Router#undebug all / no debug all
■ IGRPの設定
シスコルータでIGRPルーティングを有効にするには、
グローバルコンフィグモードでrouter igrpコマンドを入力する。
このとき、各ルータに共通のAS番号を指定する必要がある。
プロンプトは Router(config-router)# になる。
さらにnetworkコマンドで、
経路表の通知対象となるネットワークを指定する必要がある。
IGRPの場合、クラスフル境界でしか指定できないことに注意する。
具体的なコマンド入力例。
Router(config)#router igrp [AS番号]
Router(config-router)#network 172.16.0.0
ルーティングテーブルを確認してみる。
172.16.0.0/24 is subnetted, 3 subnets
C 172.16.30.0 is directly connected, Ethernet0
C 172.16.20.0 is directly connected, Serial0
I 172.16.10.0 [100/160350] via 172.16.20.1, Serial0
左端のIはIGRPによって追加されたエントリであることを示す。
IGRPによる経路情報は、RIPの経路情報に優先するため、
RIPによる経路をリプレースしているのである。
また、エントリ中の[100/160350]は、
そのルートのアドミニストレーティブディスタンスが100であることと、
その経路の複合メトリックが160350であることを示している。
■ IGRP設定の確認
ルーテッドプロトコルと使用可能なインターフェースを表示。
Router#show protocols (sh p)
ルーティングプロトコルと、
ルーティングプロトコルが使用しているタイマー値を表示。
Router#show ip protocols (sh ip p)
ルーティング情報(IGRP)の送受信状況を表示。
Router#debug ip igrp events (要約)
Router#debug ip igrp transactions (詳細)
上記のデバッグ動作を中止する。
Router#undebug all / no debug all
■ EIGRPの設定
EIGRPは、
シスコ独自のハイブリッド型ルーティングプロトコルである。
IPだけでなくIPX,AppleTalkにも対応している。
シスコルータ上でEIGRPルーティングを有効にするには、
router eigrpコマンドを使用する。
このとき、各ルータに共通のAS番号を指定する必要がある。
具体的なコマンド入力例。
Router(config)#router eigrp [AS番号]
以上。
2004/01/05 pm