矢倉と相振り飛車の組み合わせで戦うための先手番での駒組み。
初手は▲７六歩。それに対してはⅠ．△８四歩、 Ⅱ．△３四歩が考えられる。
Ⅰ．初手から▲７六歩△８四歩の場合
△８四歩ならば▲６八銀として矢倉を目指す。普通の矢倉の展開。
▲７六歩△８四歩▲６八銀△３四歩の図１の局面では▲６六歩と▲７七銀がある。
プロの将棋みると大抵▲６六歩。▲７七銀も右四間飛車や陽動振り飛車などの戦法を後手がやりにくいし（やれないことはない）有力。 少なくとも悪くなることはない。
ただし、図１の局面で▲６六歩と指すのと後にも述べるが▲７六歩△３四歩▲６六歩△８四歩▲６八銀と進めば同じ局面であるから▲６六歩の方がお勧め。
そのあとの展開は後手が追随してくれば一番多く指されている▲４六銀・▲３七桂戦法や加藤流、郷田システム、森下システム、▲３五歩早仕掛け、雀刺しなど定跡の本によくある展開になる。
ここで▲４六銀・▲３七桂戦法について私の意見を。
私は▲４六銀・▲３七桂戦法は基本的に指さない。棋風が手厚さ、受け、バランス重視なので攻めまくるといった戦型が苦手なのが一番の理由。
そもそも▲４七歩の形が気に入らない（これには異論があると思うが．．）。
それに森内流といった△８五歩を保留する指し方がある。
△８五歩を保留することで桂馬を△９三桂から△８五桂と活用できる。
△９三桂から桂馬を使えるので△７三角としやすい。
さらに△７三角と引く形は右の銀を△５三銀と活用しやすい。
超優秀。私が後手もって相手が▲４六銀・▲３七桂戦法で来るのなら迷わず森内流で戦いたい。
具体的には図２の局面。
図２の局面から▲２五桂では△４五歩だし▲９八香では△９三桂でまずい。
どうやら▲５七角が現在の最善らしい。だが万全の攻めの形のはずなのに手を待つのは何かおかしい。相手に一手指させるという高等戦術だがどういう展開になっても後手が手厚い。もっとも形勢は五分だろうが．．
序盤早々に△８五歩を決めてくれるのなら▲９八香から穴熊を目指せるので少しはまし。しかし先手番なのでいずれは攻めなくてはならず後手陣をくずすのは容易ではない。
そんな理由で私は▲４六銀・▲３七桂戦法は指さないのでこのホームページで取り上げることはないと思います。
私の指している感じだと６割は後手が変化してくる。
圧倒的に多いのが右四間飛車。これが嫌で矢倉指さない人もいると思う。
あとは陽動振り飛車、５筋交換、右玉、米長流急戦、雁木など後手は指してくる。
プロでは指されることの少ない変化だし正確に指せればどれも先手が良くなるはずである。ただ、良くなるはずであるって所が問題で受け間違って敗れ去ることはしばしば｡
以上のように後手が２手目に△８四歩と指すのならば矢倉を目指せる。
Ⅱ．初手から▲７六歩△３四歩の場合
次に２手目△３四歩。
振り飛車党なら迷うことなく▲６六歩として飛車を振るだろうし普通の居飛車党なら▲２六歩として横歩取りや対振り飛車になるだろう。矢倉＋相振り飛車の組み合わせで指すには▲６六歩。
▲７六歩△３四歩▲６六歩の図３の局面で△８四歩ならば２手目に△８四歩と指すのと同じ局面になる。この後の変化でも△８四歩と指せば常に普通の形になる。ここでは△８四歩を保留する展開を考える。
図３の局面から考えられるのは△６二銀、△３二飛、△３五歩、△５四歩、△４二銀ぐらいか（他の手考えたらきりがない）。
△６二銀ならいわゆるうそ矢倉と呼ばれる指し方になる（正確にはここで△８四歩として普通の形になってもうそ矢倉）。
△３二飛、△３五歩なら相振り飛車になる。
△５四歩、△４二銀の場合は居飛車、振り飛車両方考えられる。
▲７六歩△３四歩▲６六歩△５四歩（△４二銀）▲６八銀△４二銀（△５四歩）の図４の局面。
この局面より前に飛車を振ってくれたり、例えば図４の局面から▲６七銀△５三銀▲７七角△３二飛ならば問題なく相振り飛車になる。
▲６七銀に対して△６二銀か△８四歩と後手が居飛車で来た場合矢倉にも相振り飛車にもできない。
よって雁木か振り飛車にする展開となる。
振り飛車にすれば居飛穴に組まれることはないので特。ただし対振り飛車急戦を得意とする居飛車党には有力な指し方かもしれない。
振り飛車にしないとすると雁木になる（右玉もあるが先手番ではやる気しない）。
ここで雁木について私の意見を。
矢倉を指すようになる前には雁木をよく指した。だが棋風の問題なのだろうガンガン攻める展開は好きになれない。
金銀４枚で囲っているうちは手厚いのだが▲５七銀が▲４六銀と攻めにいった途端に見た目にも薄い玉になるし実際反撃がきつすぎる。
▲５七銀を▲６六銀に持っていく展開もあるがお互い入玉を目指す展開になってしまうのでまったくおもしろくもない。そもそも▲６六銀の形にする展開は矢倉でもできるし矢倉の方が手厚い。
そんな理由で雁木は指さなくなった。
以上のように先手番ではほぼ１００％矢倉か相振り飛車で戦える。