妹物に見る嫉妬の恋愛感情への転換
山田恵庸『チャンバラ 一撃小僧隼人』
お兄ちゃんに意中なる人物が出現すると、妹は嫉妬するものであるが、お兄ちゃんの熱を上げる相手が彼と同性である場合、つまり男であるのなら、当初は憎しみしかない関係が発展する余地もありそうである。
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山田恵庸『チャンバラ 一撃小僧隼人』
#2 P8 |
「憎々しい奴→案外良い奴→らぶらぶ♪」と云う、人格発見の大通りを軽快に通行せしめられる人格の配置である。しかし、たとえお兄ちゃんが同性愛者ではなくても、捻れた形であれば、この様式は実現しうるとも思われる。お兄ちゃんではなく、妹をホモセクシャルにしてしまえばよいのだ。
そこで、ひとつの焦点になりうるのは、敵愾心の対象たるお兄ちゃんの彼女に性愛を感じ始める自己の知られざる属性への妹自身の戸惑いだろう。『イン&アウト』とか『アリー
My Love』や香港映画の『君さえいれば』
みたいなものか。
あと、本稿とは関係のない議論だが、本作ではこんなカットも出てくる。
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同上 #2
P19 |
メイドのコスチューム・プレイを行う妹であるが、これは人格複合の事例として、記憶にとどめておくべきだろう。