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(p13)第三章 新ニップール国2

シジムの建設によりバハル国の交易範囲はさらに 広がり、特にインドに対する貿易権を独占する結果 になり、莫大な利益をもたらした。内紛による損失は 瞬く間に解消し、BC二千三百年になりタンムーズが 親政を開始したときには、バハル国の繁栄は父王の 時代を凌駕するようになった。
タンムーズは自らも頻繁にランカ市を訪れ、富の大 半を惜しげもなく市の発展のために捧げた。
 そのためにランカ市は急速に発展し、当時としては 画期的な合理的都市に成長した。
市の形態はハラ市に対抗して作られ、市の全域を上 水道が通り、中心部は高層建築が林立して、それら の各部屋には水洗トイレとダストシュートが設備され ていた。
ランカ市は物資の集散地として大発展を遂げ、BC 二千二百九十年には人口が三十万人に達し、名実 ともにインド地域第二の都市に成長した。
バハル国でのタンムーズ王の評判は芳しくなかった 。
 王があまりにもランカ市に肩入れし過ぎて自国をお ろそかにしているように思われたからである。
 実際交易で生じた利益の大部分はランカ市建設に 費やされてしまった。
 王は朝臣に、
「これは将来のためへの投資である」
 と説得したが、誰も納得しなかった。
一方、カタールで雌伏していたアダドは逞しい青年 になり、オアシス都市ジャンバルダンナの藩王になっ ていた。
 母親からタンムーズ打倒を子守歌のように聞かさ れて育ったので、タンムーズに対する憎しみは強か った。
バハル国は対岸のアラビア半島側にダンマームとい う町を支配していたが、アダトはこの町の攻略を計画 していた。
 その地を陥落させてしまえば、バハル国はアラビア 半島の足がかりを失い防衛上恐怖に晒されることに なる。
ダンマームは本土防衛上の重要拠点であるにも関 わらず、バハル国側の取扱いはお粗末で住民の不 満は高まっていた。
アダドはあらかじめダンマームの司政官を金と女で 買収しておいてから、攻略に取りかかった。
アダト軍の攻撃に驚いたタンムーズは慌てて海軍を 派遣したが、逆に裏切りに走ったダンマーム駐留軍 に港を封鎖され、軍船と兵士を奪われてしまった。
海軍を失ったバハル国は急激に弱体化した。バハ ル国の交易船は王都のマナマに到着する前にカタ ール海軍によって拿捕されてしまい、バハル国経済 に甚大な被害をもたらした。
タンムーズは急遽軍船を建造するよう命令を出した が、バーレーン島にはもともと船の材料になるような 巨木は少なく、従来輸入に頼っていた。
 それに、船大工は多数いたが、熟練した船員があ らかた捕虜になっていたので、漕ぎ手もいない状態 だった。
タンムーズは窮余の策としてシジムに停泊していた 艦隊の出動を命じる使者を送ることにした。
そうしている内に、朝臣達はタンムーズに見切りを付 け、クーデターを起こし、タンムーズを捕らえ宮廷内 に幽閉した。
 そして、カタールに使節を送り、アダドを再び国王 に迎え入れた。
アダドは罠にはまるのを恐れ、まず五千の兵をバハ ル国に送り込み、バハル国軍を武装解除させ、島全 体を完全制圧した。島民は無抵抗だった。
 アダドは安心して故国の地を踏んだ。
 島民はアダドが上陸すると熱烈に歓迎した。朝臣 達が平伏して服従を誓ったので、アダドは初めて王 に返り咲いた実感を得た。

BC二千二百八十八年、アダドはタンムーズを公開 処刑し、積年の恨みを晴らした。
前年チヤマトは病死していたので、この悲しい知らせ を聞かずに済んだ。
新ニップール国王ラーバナは兄の死に激怒し、直ち にシジムの海軍にアダド追討を命じた。
追討を命じられた提督は、自軍に数倍するバハル国 艦隊とまともに戦っても勝ち目がないことを知ってい たので、ペルシャ湾に入り、敵軍と遭遇するやいな や降伏してしまい、バハル国に亡命した。船員達は 、
「故郷に帰れる」
 と提督の英断を喝采を送った。
海軍を失い、ペルシャ湾との交易ルートを断たれた 新ニップール国の経済はたちどころにおかしくなった 。
物資の集積能力が薄れ、他のバハル国との友好関 係のある都市に交易権も移されていった。
国力を損じては復讐ができないと焦ったラーバナは 、一転して軍国主義を目指し、周辺諸国を武力制圧 することにした。
新ニップール国の主力部隊はドラビダ人主体の傭兵 部隊だった。
 ドラビダ人は楽天的でいい加減な性格だったので 、金だけ受け取りいざ戦いになると逃げ出す連中が 多かった。
 しかし、相手のドラビダ人国家の軍隊の実情も同じ だったので、資金力にものを言わせて新ニップール 国軍は勝ち進んだ。

BC二千二百八十年には、新ニップール国軍はイン ダス川下流域のシンド地方をあらかた制圧した。
ラーバナは征服した地域の住民に厳しい税金を要 求した。
 軍事行動には金がかかるので、その要求は過酷 なものだった。
ドラビダ人達は労働に駆り出されるのを嫌がりインダ ス川上流に逃亡した。
ハラ国では、当初新ニップール国と友好的な関係を 保っていたが、新ニップール国が次第に軍事的色彩 を強めて行くにしたがい、関係は悪化して行った。
 ハラ国に泣きついてくるドラビダ人の族長は後を断 たず、難民達も国内に大挙して押し掛け、ハラ市の 治安は著しく悪化した。
ハラ国のラーマ王は新ニップール国に使者を送り、こ れ以上の軍事行動を慎むように要求した。
しかし、連戦連勝でインド人の戦争の弱さぶりを見て きたラーバナは、この警告を無視しハラ国征服の野 望を持つにいたった。
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