(p15)第三章 新ニップール国4

 黒色火薬と黄燐の混合薬に原油を混ぜた「ナラヤ ナ」という焼夷弾だった。敵は焼夷作戦に出たと見 破り、新ニップール軍は直ちに消防体制を取った。
予想した通り、ハラ国軍はアシャニを使って「アグネ ヤ」という焼夷飛槍を城内に発射してきた。
 アグネヤは先端に綿製のタンポが付いていて、そ こには原油を蒸留して得たナフサを染み込ませてい た。
 城内の至る所で火災が発生したが、水道設備の 完備している新ニップール軍は当初動揺しなかった 。
 手際よく消火作業に取りかかったが、アグネヤの 炎で引火したナラヤナは猛烈な火柱をあげ、いくら 水をかけても消えなかった。
新ニップール軍がうろたえている間に、ハラ国軍は 次々ナラヤナを投射した。
ハラ国軍はランカ市が炎上するのを確認して、今度 は原油だけ入った砲弾を集中的に投射した。
 それらの砲弾がナラヤナの消火に手間取っていた 新ニップール兵の上に降り注ぎ、激しく炎上して高熱 を発した。
 消火隊は急遽砂をかけたり、布を覆ったりして対策 を練ったが、火の手は瞬く間に広がっていった。
ランカの市域が炎上したのを確認して、バラタ将軍 はゾラフの投射を命じた。
投下されたゾラフは周辺の高熱にさらされて簡単に 誘爆し、大爆発を起こした。
轟音とともに城壁や建物が破壊された。
城内に乱入してきたハラ国軍に対して新ニップール 軍はパスパタを使用した。
 周囲が火の海だったので、この爆弾はほとんど不 発にならず効率よく爆破し、ハラ国軍の突撃隊に甚 大な被害を与えた。ハラ国軍は慌てて撤退し、再び ゾラフ攻撃を開始した。
都市の北半分が破壊され、火の手が王城に迫った 段階で、ラーバナは降伏した。
バラダ将軍はラーバナを捕縛してハラ市に連行した 。
ラーバナはラーマ王に平伏して自分の非を詫び、
「自分の本来の目的は父と兄の仇討ちにある」
 と弁解した。
ラーマ王は同じアスカ系であるラーバナの境遇に同 情した。
 ラーマ王はラーバナと天孫族がインドから退去する ことを条件に罪を許すことにした。
新ニップールの領土はハヌマット王に譲渡され、ラン カ市は「ハリ市」と名称が代えられた。ハリとは彼ら が信仰しているシバ神の別名である。
 市街は再建されたが、以前ほどの繁栄は見られな かった。

BC二千二百七十六年、ハラ国に中国の夏王朝の 使者が来朝した。
 夏王朝は山東半島の豪族禹(ウ)によって建国さ れた国で、建国してからまだ日が浅く、その経済基 盤を確立させるために交易に力を入れ、各地に使者 を派遣させていた。
 夏の使者は特産物の絹製品の売りつけに訪れて いたのである。
 使者はラーマ王に、黄河の治水がうまく行かず、禹 帝は技術者不足に悩んでいると話していた。
ラーマ王は技術者集団である天孫族の移住先として 夏王朝がふさわしいのではないかと思い、使者に打 診してみた。
使者は本国に帰り、BC二千二百七十五年、禹帝の 返書を持って戻ってきた。
 返書の内容は好意的なものだった。ただ、「本朝に 来る前に、宗主筋に当たる蓬莱国に挨拶に行き、了 解を求めて欲しい」
 と書き添えてあった。
ラーバナは蓬莱国なるものの存在を知らなかったが 、ラーマ王は熟知していた。
蓬莱国は夏王朝のある山東半島の遥か海上にある 島国で、アスカ人の宗主たる日子のいる聖地である と語った。
 その英知はハラ国など遠く及ぶものではなく、特に 不老不死の妙薬は蓬莱国以外には作ることができ ない。
 ハラ国でも数年に一度貢献使節団を送り技術の拾 得に励んでいるという話だった。
ラーバナに付き従ってラーマ王に謁見していた天孫 族の古老の中には、伝承のニライカナイを知ってい る者がいた。
 そのため、ラーマ王の語った蓬莱国がニライカナイ であることがわかった。
古老達は自分達の科学技術を遥かに凌駕したハラ 国よりもさらに高度であるという蓬莱国の技術に興 味を持った。
沖縄本島にあったアメノ常立国はBC五千年期の大 洪水によって壊滅した。かろうじて生き残った人々は 中国のニライカナイ国を頼って避難した。
 日子も死んでしまったので、ニライカナイ国の御子 が新たに日子に就任した。
 中国にあったニライカナイ国も気候変動と洪水のた めに衰退した。

 BC三千年期に、国内の常立市の住民の一部は 本州島への移住を決意した。
 当時の本州島中部地方以東の地域は、気候にも 恵まれ、照葉樹が生い茂り国土も豊饒だった。先住 民は太古に渡来したスイジン族が縄文人となり多く の部族国家を作っていた。
 沿岸部にはマレー系の海洋民族が漁労生活を送 っていた。
常立の住民は富士山麓を開墾して新常立の国であ る常世(トコヨ)国を建設した。
その後常世国は発展して本州全土に勢力を伸ばし た。

 BC二千六百四十七年には日子を迎えて、本国と した。
 中国大陸には御子(皇)に代わって帝(テイ)が置 かれニライカナイ国の防衛にあたったが、周辺には 十の漢民族系の部族国家が成立し、国力の低下し たニライカナイ国から独立した。
黄河の北方では遊牧民族の活動が活発になり、黄 河流域沿いの漢民族系国家を侵犯するようになった 。
 その圧迫を受けたそれらの国は長江下流域を支 配地にしていたニライカナイ国の領土に乱入してき た。
注: 文字用の領域がありません!




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